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おっぱい好きな古武術少年が、異能力者の学園に入学したんだが。  作者: アッキ@瓶の蓋。


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11/13

よくある、はなし。

「――――爆発っ?!」


 有栖川聖歌を対処して俺は校舎の方に、武蔵坊弁天なる俺を嵌めた女の下へと向かっていた。その最中に、俺は爆発を感じた。

 爆発、それは丁度新居智恵理が言っていた新聞同好会の部屋がある方角からだった。


「絶対に、なにかあるよな……」


 嫌な予感を感じつつ、階段を昇って行く。階段を昇りきった俺の目に映ったのは、爆弾によって半壊してしまった部屋とその部屋の真ん中に立つ少し赤めの長髪のFカップ巨乳少女と、その場に倒れ伏した新居智恵理の姿がそこにはあった。多分だがあの赤い髪のが武蔵坊弁天とやらで、先程の爆発は彼女が起こして、それによって新居智恵理がやられたという感じだろうか。

 そして赤髪Fカップ少女は俺の方を見て、ニヤリと笑っていた。


「あれれぇ? 可笑しいなぁ、一応君の方にはそれなりに強いのを、ゾンビメイクした有栖川聖歌を送っといたはずだけど?

 やっはろー、とりま自己紹介でもしときましょうかねぇ? 私の名前は武蔵坊弁天、一応新聞同好会の代表で、君を幼女犯罪者に仕立て上げた黒幕って事かな。後はゾンビとか、この部屋の現状とか?」


「……武蔵坊、弁天」


 学生新聞にて俺の事を幼女を襲う乱暴者と書いたのが、まさかここまで立派なものをお持ちなのが相手だとはな。敵であるのが残念だと思うべきか、それとも古武術を使って堂々と触れるのを羨ましいと思うべきか……。


「とりあえずは、何故こんな事をした。俺はお前に恨まれる事をしたつもりはないんだが?」


 露骨なまでの悪意を持って書かれただろう、あの記事からは俺に対しての強烈なる悪意を感じた。どこかであった事があるのかと思ったが、何度思い出しても「武蔵坊弁天」という名前も、それから弁天の姿も見た事がない。だから余計に気になったのだが……。


「いやはや、そんな事はないんだけど? 私の目的なんて分かりやすい位シンプルだよぉ?

 ――――こーんな大事件が起きればさらに新聞に注目が集まるかなぁ、後その方が面白いかなぁという野次馬根性だから別に気にしなくて良いよ」


 あっけらかんとした口調にて、割と大事な事をさらりと言う武蔵坊弁天。

 たったそれだけの理由で狙われた事に怒りを覚える俺。自分が楽しむため、そんな目的のためだけで女だらけのこの学園で性犯罪者の汚名を着せられたなんて……お前、沢山いる女子から蔑みの視線で見られて見ろ? 興奮するか、あるいは空しくなって来るぞ。ちなみに俺の場合では前者3割、後者7割くらいの気持ちで感じていた。


(ん……? 待てよ、さっき彼女は「君を幼女犯罪者に仕立て上げた黒幕」と言っていたよな? もしかして――――)



「あの有栖川の襲撃から、お前が仕組んだという事か?」



 ずっと変だと思っていた。何故あの時、有栖川が襲って来たんだろうって。

 皆が始業式を受けている中で、彼女は来るかどうかも分からない道で俺を襲ったのか。そして俺が有栖川を襲った時に感じた妙な高揚感、有栖川を倒した時に急に現れた警備員。

 ……その全てが、こいつの仕組んだ行為だと言うのか?


「自分でマッチで火をつけ、火事となるくらい大きくなったのを見届けてポンプで水をかけて消す。

 こう言うのをマッチポンプと言うんだけれども、私の場合は水をかけたりしないんだ。それで慌てる人達を撮って、悦に浸る。それが私なんだよ」


 そう言って彼女は懐から手に収まるくらいの大きさの、丸い物体を取り出す。その球状の物体の真ん中には電子モニターが取り付けられており、どう見ても爆弾である。


「――――爆弾?」


「私の『ラブストーリーは突然に』は、電撃を操る能力ではあるんですけれどもぉ、電気信号にて人を洗脳するというのよりも、爆弾作りの方に役立つから好きなんだよねぇ。爆弾が不発しないように、静電気を除去するのに重宝するんだよ、私の能力」


 人を洗脳するよりかは、爆弾を作るのに便利だと語る弁天。

 俺からして見れば、洗脳の方が厄介だと思うのだが。


「私は電気使いの爆弾人間、それをうま~く使えばこんな事だって出来るんだよ?」


 そう言って彼女は俺の方に近付いてひょいっ、と無造作に爆弾を投げつけてくる。そして爆発が起きて、俺と弁天の2人の身体を爆風が包み込む。

 俺は後ろへ下がり、弁天は避けもせずにただその場に立っていた。


(自爆? それにしては、爆弾の被害は受けてないようだが……)


 妙な戦い方だと思っていると、彼女はなるほど、と勝手に1人で納得して懐から今度はまた別の爆弾を取り出していた。今度の爆弾は指と指の間に収まるくらいの、ちょっぴり小さな赤い爆弾。

 指と指の間に片手に4つ、両手で8つ構えて、そのうちの右手に持っていた1つをバンッと地面に叩きつける。それと同時に爆弾が破裂して、辺りにガラス片が飛び散っていた。


「さっきの感じからして、これくらいで良いかな?

 ――――さぁ、今から見せて上げましょうかね。千近い武器を持ったとされる武蔵坊弁慶を祖先に持つ、武蔵坊弁天の戦いってのを」




 そう言ってダンッと床を蹴り、そのまま右手に持っていたうちの1つを俺と自分の間へと叩き付ける。床に叩き付けた衝撃にて、中に入っていたガラス片が俺と弁天に襲いかかる。

 襲い掛かって来たガラス片に、慌てて目を防ごうと腕を盾のようにして構える。すると襲ってきたガラス片は、ぶすりっと俺の腕へと深々と突き刺さる。


「ッ……! 痛ッ!」


 ただ、深々とガラス片が刺さったという感じではない。ふしゅぅ~、っと防いだはずの俺の腕から白い煙が出ている所から見ても、何らかの薬品に浸かっていると考えて間違いないだろう。


「よっ、と……」


 しかしそんなガラス片の中を颯爽と歩いて、こちらに殴って来るのはいったいどういう事だろう? ふしゅぅ~と煙が立ち上っている腕に対し、素手で殴りかかって来ていた。


 ……こいつには、恐怖心と言うものがないのか? 


「――――武蔵坊流七僧爆破術、ボンバーアタックってね。正式に言えば武蔵坊七僧抜刀術、目潰し乱刀という所でしょうか。

 ところで、どう? 私の技は良く響くでしょう? この、私自身が自ら作り上げた武蔵坊流七僧爆破術のお味と言うのは」


「抜刀術ってお前……お前が今投げたのは爆弾で、それに今のも殴り技の一種だろう? どこが抜刀術だよ」


 まぁ、その辺は彼女の認識の問題だろう。手の平を用いて刀のように打ち込むことを手刀と言うが、そのように腕を刀のようにして用いる技と言うのは結構ポピュラーである。有名である。

 自分が開祖となって流派を切り開くのも、長い歴史から見ればそう珍しい事ではない。


 問題があるとすれば恐らく……。


「さて、一発だけでは面白くないよねぇ? ではでは、続きましては武蔵坊流七僧爆破術、ジャグリング・エイト!」


 懐から2つ付け加えて8つとなった炸裂弾を全て上へと放り投げ、遥か天空にて炸裂弾が破裂する。炸裂弾が破裂すると同時に、白い蒸気を放つガラス片が降り注いで来る。

 ガラス片が落ちるのにはなんら規則はなく、不規則に落ちて来ていた。そこになんら小細工などは感じられず、ただただ爆弾を投げつけただけだった。


 けれどもそれが今は怖かった。

 なにも小細工などせず、素手で危機的状況に身を置けるというのが怖かった。


「くっ……!」


「おっと、逃げる気? それならこちらとしてはこう言うのをやるしかないよねぇ? 武蔵坊流七僧爆破術、退路遮断爆撃」


 弁天は少し大きめの黄色い球状のものを俺、そして自分の後ろへと飛ばす。地面に落ちるとそれは大きな壁となって立ち上がり、2人の退路を封じていた。相手である俺の退路を封じるならまだしも、自分の退路を封じるのは変だと思うが……こいつの戦い方は既に分かった。


(自分を死地へと追い込む事で技のキレを増すタイプの変わり者……。厄介な事この上ない)

こういう戦い方も好き。

自滅のように見えて、計算してる感じが。

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