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1部 12芒星魔方陣 編  3章 争いの胎動 1話

 翌日の風紀員第15支部に俺は居た。渡邊は例の如く何処かへフラフラとパトロールへ出かけている。俺もそろそろパトロールに出かけよう。

「朝倉君、行くのちょっと待って」

 藤井先輩に呼び止められる。

「はい?何か有りましたか」

 今日は確か学研警備隊とブルーバンド、警察との合同ミーティングが行われていた筈だ。その先輩は沢山の資料を持って事務所に戻ってきている。

「ただいま戻りました」

 渡邊が帰ってきた。それを見て先輩はみんなの机にクリップで留めたプリントを配り全員が見える窓際にホワイトボードを用意した。

「では会議を始めます」

 藤井先輩の声が響いた。

 議題は2点、1つめは学研警備隊にやっと能力者の人員が補充されると言う事が決まった。能力者は今年大学を卒業した新人で研修を終えゴールデンウィークから配属される事になった。デジタル魔術師は以前がから居たが人数が少なく、悪質化していく犯罪の検挙率を上げる為人員の補充が急務だったからだ。

 議題の2つめは、昨日起きた銀行強盗事件に付いて、犯人は2人でどちらもデジタル魔術師だった。そこで問題になった事が使用した魔法の威力がプログラムされていた通常の3倍有ったそうだ。

 その魔法はどうやって入手或いは作成したか分からないが、パソコンのプログラミング技術の有る者かハッキングが出来る者になるが今回2人はその知識が無かった。

 従って共犯者若しくは地下組織が有ると可能性が高いと言う事に成った。

「地下組織?不良集団って事?」

 浅野は聞き返した。

「マジックアローってやつか?」

 渡邊は有る可能性を示した。

「そのマジックアローって言うの?どんな組織?」

「まあ不良集団でデジタル魔法を使って暴れている連中の事だよ。中にはテロを起こす様なやばいのが居るらしい」

「そういえば『Y・B』って有ったよね」

 藤井先輩はマジックアローと聞いて何かを思い出しみたいでパソコンでブルーバンドの活動記録を検索し始めた。

「あった有った。先月に銀行強盗事件が有ったわね。その中で壁に『Y・B』って書かれていたんだっけ」

「Y・Bって確かブルーバンドの活動をよく思って無くて目の敵にしている所だったような」

「それじゃあ、ブルーバンドが主に襲撃を受けるって事?」

 渡邊の言った事に藤井先輩が問い詰める。

「先月からブルーバンドに怪我人が出ているって聞いているだろ」

「ええ、確か昨日の様な強盗事件で負傷者が出ているって聞いてるわ」

「それが、マジックアローと関連が有ると言う事か?」

「そう言う噂があるって事は確かだ」

 藤井先輩は渡邊の言葉を黙って聞き、「んー」と言いながらスマホにメモを取った後。

「その件に付いては、学研警備隊から調べておくわ」

 藤井先輩は机に置いて有ったペンを口元に当てながら話を切り上げた。

 俺は席を立ち。

「それじゃパトロールに行ってくるけど」

「朝倉君ちょっと待って、私も一緒に行くから」

 俺はパトロールのローテーション表を見た。忘れていたがパトロール担当は俺と藤井先輩になっていた。

「あっ、忘れていました」

 藤井先輩はE-メールを何処かに送った後、俺の居る武器保管庫に入ってきた。

 戦後、急激に悪化した治安を維持するため

 学研警備隊と同じくブルーバンドでも高校生から拳銃等の武器の携帯を暴許可さていれる。但し使用弾丸は相手を殺傷しないよう麻酔弾またはゴム弾を使用していて、銃をブルーバンド以外の者が使用出来ないように銃を持つ手首にICチップの入ったベルトを付け無線で銃のセーフティーロックが解除される。

 しかし、ブルーバンドと言えど中高生に武器を持たせるのはどうか?という事と、逆にブルーバンドが標的になり武器を奪われるリスクをどうするのかと言う議論が有るがうやむやになっている。

 藤井先輩は、ワルサーP99を取り出しショルダーホルスターに入れ、他に対デジタル魔法戦のアンチデジタルチャフグレネード弾、通称「チャフ」を2個、対能力者用の特殊な手錠を3個取り上着の内ポケットに入れた。俺も武器保管庫からH&K VP70を取り出し上着に入れた。

「さて、朝倉君行きましょか」

「はい、じゃあ渡邊、パトロールに行ってくるぞ」

「おう、中野がお前を探しているかも知れないから気を付けろ」

「分かった」

 事務所を出てプラザタウンとは反対側へ曲がり成神高校の方へ進んだ。

「朝倉君はブルーバンドの事、中野さんにまだ秘密にしているの?」

「そうですね、あいつ、俺がこんな事やってるの分かると怒るから」

「それでも、続ける気なのね」

「ええ、俺は誰からも助けを借りずに生きられるように・・・って言うか出来るだけ1人で生きられる力を付けたいんです」

「でもそれって・・・」

「分かってます。多分、やっぱり綾香が羨ましいんだと思います。レベル4のテレキネシス、最近は空気まで操れる様になったとかで・・・」

「空気を?」

「空気も物じゃないですか、と言っているんです」

「空気を操る?念力で?」

「そうらしいですよ」

 2人は成神高校の横を抜けビル街へ向かう。

「このビル、落書きが多いな」

「朝倉君、治安の悪化は落書きからって知ってる?」

「何となく分かる気がします」

 アメリカの地下鉄の電車に描かれた落書きを根気よく消した事から治安が良くなった例は聞いた事が有った。

「行ってみましょう」

「え、行くのですか?」

「パトロールよ」

「わ、分かりました」

 俺達は落書きの有る廃ビルの敷地に入った。開発途上のこの街は途中で破棄された建造物が意外と沢山在る上に、学校で落第した学生達も結構多い。そんな学生をサポート出来る体勢が未だ十分に整備されていない事も問題になっている。


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