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1部 12芒星魔方陣 編  2章 デジタル魔法の本領 1話

 その女は辺り一帯のランダムに飛来する炎の玉を防ぐシールドを張っていた様だった。

「助かったの?」

 爆発を交わす為とは言え、俺は久田を押し倒した様な格好になっている。その久田が俺の下から訪ねている。

「あ!悪い!」

 俺は慌てて久田の上から避けくるりと返り久田の横で背を向けながら体を起こした。

 こちらに歩いてくる女はウェーブかかったロングヘアーで一見するととても大人びた雰囲気を持っている。

 何処かの学生らしく、割と綺麗な制服を着ていてそれが余計に彼女を大人びた雰囲気に合っている様に見えた。

 その女子高生は俺達を素通りして学研警備隊の指令車に向かう。

「ここは危険だから離れて」

「何だ、お前は!ここは部外者立ち入り禁止だぞ」

 数人のた隊員が口々にこんな言葉を飛ばす。

「何言ってるの?この程度の事態の収拾も付けられずに」

 女子高生はとても余裕そうに見える。

「中に人質が居るんだ」

「何人居るの?」

 女子は隊員の話を一切無視して話しを進める。

「犯人が2人組と人質が5人ですけど・・」

 唐突な彼女の言葉に隊員の1人が口を滑らした見たいだった。

「そう、それだけで十分よ」

 彼女はスカートのポケットからスマートホンを取り出し画面を操作した後、再びポケットに入れ持っていた革の鞄からステッキを取り出し鞄を足元に置いた。

 そこから2、3歩いて何かを念じていた様に見えた。

 するとステッキを左手に握りしめるとステッキから青い光が現れ弓の形が出来上がっていく。

 ロングボウと言うやつだろうか、ただ青いだけじゃ無い、青の中にも模様が有りとても綺麗だ。

 そのロングボウに右手を掛けるとそこから炎の矢が具現化してくる。それを制止させようとする1人の隊員に他の隊員が肩を持って止めた。

「どうして止めるんですか」

 彼女を取り押さえようとした隊員が抗議する。

「あの人はシフト・フレイムだ」

「シフト・フレイム?」

「デジタル魔法1番の使い手でシフト・フレイムの異名を持つ浦多香子だよ」

「シフト・フレイム?て学研都市の1位?あの女子高生が?」

「そうだ、彼女のする事を黙って見てろ」

「は、はい」

 この隊員のやりとりを聞いていた久田はその浦を見ながら体を起こし、俺の後ろから両肩を持って身を隠すようにしていた。

「あの人、そんな凄い人なの?」

「俺も良く知らない」

 確かにシフト・フレイムなんて聞いた事が無い。知らない。

 そう言っているうちに、浦は炎の矢を引いて銀行のシャッターを狙っている。それで一体どうする気なんだろうか?

 そんな疑問を感じさせる前に浦は矢を放した。ただの矢では無い。放った途端にソニックブームを放ち、その衝撃で辺りに突風が巻き起こる。

 放った矢は真っ直ぐにシャッターを突き破りその直後に男の悲鳴が聞こえた。

 矢が通過したその熱で溶けた様な穴が広がっている。

 浦はまた直ぐに矢を引くと、今度は炎の矢を2本同時に引いている。その手を放すとまたソニックブームを起こしシャッターを突き破り。その後、さらに弓を引く手前でしばらく銀行の方をずっと見ている。

 浦は目を閉じ気配を伺った後、ゆっくり目を開けて言った。

「片付いたわ」

 浦は斜め後ろで固唾を呑んで様子を見ていた隊員に伝えた。

「え、もう」

「早く犯人を捕まえた方がいいわよ」

「すごい」

 久田はぽつりとこぼした。

 浦のセリフもそうだが学研警備隊が手こずった相手をいとも簡単に解決させる魔法の力に俺は言葉を失った。

「なんてやつだ。一体、どうなっている」

 これがデジタル魔法なのか?学研都市の1位とはいえ次元が違いすぎる。能力者のレベル5で戦車1個小隊のおよそ4両と同等の能力が有ると言われているがその位はありそうだ。

 学研警備隊が突入を開始した。

「これで解決なのか」

「多分」

 何だかとてもあっけない幕引きだった。

 浦は構えた腕を戻すとくるりを返り鞄を拾い上げると俺に一言。

「ありがと」

 俺は何が何だかサッパリ分からないが何だかさっき見たより表情が明るく見えた。

 銀行から犯人が連れ出されて来る姿が見えた。黒いシャツの黄色のバンダナをした男と背が高く髪を後ろで括った男が警備車両に連行されていった。


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