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1部 12芒星魔方陣 編  1章 朝倉裕貴 2話

 その夕方、俺はブルーバンド、第15支部に向かった。

 この事は綾香には秘密にしている。それは、綾香を心配させたくない事と、無能力者の俺でも能力者に対抗出来る力が欲しかった為だ。

 ブルーバンドを構成しているのは主に学生が中心となって活動しており、営利組織の警備会社『シティーホーク』の管理下に在る。

 ブルーバンドで常時活動をしている学生は268人、学研警備隊だけでは十分に学研都市の治安維持が出来ない為、治安維持にブルーバンドが設立された。

 主な活動内容は個人紛争の仲介、つまり喧嘩の仲裁や万引き犯等の軽犯罪者の確保や他に巡回や困っている人のお助け等、お巡りさんがやっていた様な事に限定される。

 しかし、犯罪を犯す人の中には能力者やデジタル魔術師だったりする為、能力やデジタル魔法を一時無効化する武装や装備が支給されている。

 このため以前は以前は風紀委員と書いて『ブルーバンド』と呼んでいたが、各学校の中風紀を取り締まる風紀委員と比べると、装備が学校内の風紀委員と大きく異なる上に活動範囲も学研都市全体に及び、各学校のメンバーと協力して活動する事から組織名を『ブルーバンド』に一本化された。

 最後に風紀委員が以前「ブルーバンド」と言われている理由は、ただ単純に腕章が青色だからだ。比較的遠くからでも見やすい事からそう呼ばれるようになった。

 もちろん、日本の警察組織もこの学研都市には存在している。

 しかし先の戦争で行政機関が破壊された首都が東京から大阪に移設が進み警察活動を行っているが、急激に悪化した治安維持が十分に果たせず民間警備会社やブルーバンドの様に任せないと治安はまだ十分に維持されないのが実情だ。

 さらに警察組織にも権益が絡んでいるらしくまだ警察として十分な機能を果たしていないのが現状だ。

 俺の所属する第15支部は通常のオフィスエリアに在り警備範囲はかろうじてプラザタウンの東端のダイヤモンドダクトがエリア内に掛かる。

 プラザタウンにも第20支部が在り殆どはそこのチームが警備している。ちなみに第20事務所の警備範囲はここ15支部より狭い、それは大型ショッピングモールがあり人が集まりやすい為だ。

「おつかれー」

 俺は事務所に入ると浅野結花子と久田真沙子の二人が部屋の整理をしていた。浅野はみさわ高校の1年、俺からは後輩で見た目はある程度身長はあるがそれ以外典型的な幼女体型で本人はその事を気にしている事を知っている。

 一方の久田は舞藤女子中学3年で浅野と殆ど同じ背丈だが太っている訳では無いが・・・少しぽっちゃり?と言った感じだ。2人を端から見ると先輩後輩が逆転して見える。

 その浅野は俺の声で振り返った。

「朝倉先輩お疲れ様です」

「随分散らかしてるな」

 応接スペースの机の上を一杯に書類が積み上がっている。それと同じくらいにお菓子も散らかっていたりする。

「学研警備隊から今月の活動記録の提出するように言われて今までの警備記録を整理していた所なんです」

 浅野は声を裏返しながら重たそうに幾つものファイルを両手で持って机やテーブルに並べている。

「それはそこのパソコンにデータが集計されているだろ?」

 俺は自分の机に有るパソコンの電源を入れた。

「それはそうなんですけど、今月は何かと忙しかったので、それにパソコンを使い慣れた人が」

 久田のフォローをするように言った。俺も余りパソコンを使い慣れていない、精々ワープロと簡単な表計算。後はインターネットをするくらいだ。

「確かに、俺も余りパソコンは使い慣れてないしな、でもなブラインドタッチ位は出来るぞ」

「そんなの出来て当たり前です」

「そう言うなよ」

 久田の苛立ち気味な言葉に俺は苦笑いした。

「仕方無いな」

 俺は机にファイルの1冊を持ってパソコンのデータの照合を始めた。幾つか抜けているファイルの内容をパソコンに打ち込んでいった。

「3月分の出動記録を終わらせたぞ」

 一通りのデータを入力を済ませ俺は久田に言った。

「先輩、これ?」

 久田はファイルの資料を俺に見せながら訪ねる。

「どうしたんだ」

「この事件ってまだ解決してなかったのでしたっけ?」

「これは、あの連続ハッキング事件だな、銀行の預金データや大学の研究データが盗まれた」

「あの事件ってマジックアローが関わっていたって言う噂ですよ」

「デジタル魔法を悪用している不良集団の事だよな」

「そうです、でも噂なので真相ははっきりしないのですけど」

 事件の内容は銀行の預金データの改ざんや大学で研究中のデジタル魔法の記録、製薬会社の機密情報の流出があげられる。

 それらの情報テロが何故統一犯かというと、わざとハッキングした痕跡を残し『Y・B 』とイニシャルを残していった。


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