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1部 12芒星魔方陣 編  1章 朝倉裕貴 1話

 4月14日金曜日の朝。

「ほら、起きなさい裕貴!」

 中野綾香が起こしに来ている。俺はまだ布団の中だ。

「後5分」

「またそんな事言って」

「良いじゃん、寝たって」

「良いから、起きなさい!」

 綾香は俺の布団を引き捲った。俺は布団にしがみついていて離れない。

「もう、分かったわ、そこまでするなら」

「え?ちょっと待て」

 俺は慌てて起きようとしたが綾香の方が早かった。

 俺の体は布団と一緒に浮かび上がり、そしてベッドの上に叩き落とされた。

「起きた?」

 綾香はしたり顔で俺を見下ろした。

「起きました、降参」

「全く、もう」

 綾香は『私が居ないとダメね』と言いたげに呆れた様子で俺を見ている。俺は叩き落とされた衝撃で咳き込みながらうつぶせになって起き上がった。その後ダラダラと着替えを始めた。

「もう何時だと思っているのよ、遅刻するよ」

「朝ご飯はー?」

「そんなの有る訳無いでしょ!」

「そう言うお前は朝飯どうしたんだよ?」

「食べたに決まってるでしょ」

「そっか」

 俺は肩を落としつつも時計を見た。もう7時45分、ここから学校までは30分程度掛かるから後15分で用意を済まさないといけない。

 とりあえず服を着替え冷蔵庫を開けてみる。

「すぐに食べられそうな物が無いな」

 キッチンに置いてある食パンをとりあえず食べてみる。トーストを焼いている時間も無くなっている。それを見た綾香は。

「そんなの食べている時間無いでしょ。早く行くよ」

「ふぁいふぁい」

 パンを食べながらだからする返事なんてこんな物だ。

 玄関のドアの鍵を閉めて綾香に急かされるまま走らされる。ラブコメ漫画で在りだちな『パンを咥えながら走る女子高生』の男版が完成!

 ちょっと格好悪い・・・。

「ちょっと、待った」

「何よ、そんな所で止まったら遅刻するでしょ」

「パンを咥えながら走ってたから、横腹が痛くなった」

「運動不足じゃない?中学までずっと水泳やってたのにだらしないわね」

「そう言う問題じゃ無いだろ」

 この中野綾香は幼馴染みで斜め向かいに住んでいた。この学研都市に来たのは俺が中学の時、 小学5年の時に両親が突然失踪し身よりが無くなった事と、病弱な俺には医療施設の整った病院が学研都市にあるためだった。

 綾香は昔から弱いテレキネシスが使えたが、精々ティッシュペーパーを舞い上がらす程度のレベルしか無かった。この学研都市に来た途端にレベル4までその能力を上げた。

 その為、中学までは同じ学校だったが高校になると俺は低レベル者達が通う成神(なるかみ)高校へ、綾香は高レベル能力者の大誠(たいせい)学園へ通う事になってしまった。

 その綾香だが今は10トントラック程度なら軽く浮かび上がらせる事が出来ると以前に言っていた。

 ちなみに今、俺の住んでいるマンションの隣に住んでいて、ベランダのパーテーションを外して自由に行き来出来る様にされた。

 一方、当の俺は生まれ付き比較的強い霊感が有り、『お化けが見える』と言う幼稚園の俺を気持ち悪がって母親が探し当てた霊能者と言う人が霊感を封印して以降は、幽霊やお化けの類を見る事は無くなった。

 しかし、肝心の能力は中学からこの学園で能力開発を受けているが未だに能力は無く、高校2年に成った今でもまだ能力が無いままだ。

 所で、今住んでいるこの街の名前は『経済学術研究都市』、通称『学研都市』と呼ばれている。この街の主な研究は最新科学の研究開発を行っており、その研究に合わせて街の形も次々と変えていく。

 また、最新科学以外では超能力研究やデジタル魔法の研究を行っている。

 他にも最先端の医療技術の開発を中心に行っていて、その中でも癌や事故で無くなった臓器を再生して、また元の身体に戻す技術が確立され世界中で実用されている。

 他にこの学研都市では、国の後押しもあって小中高校と大学、そのほか大学の研究機関が集中して存在し、その研究資金やスポンサーに国内だけで無く海外からも資本提供を受けている。

 その為都市の人口の7割が学生でその殆どが能力開発、いわゆる超能力者の研究やデジタル魔法の研究開発を行っている。学研都市に住む学生はこれらのカリキュラムを受けている。

 何故、学生が7割も居るのかと言うと、西暦2017年に朝鮮半島の緊張状態から近隣諸国とアメリカを含む6カ国で戦争が勃発し、日本では東京に核ミサイルが6発が飛来した。

 その内5発は撃墜できたが1発が東京都心に着弾しておよそ300万人が死亡したそうだ。

 その際に孤児となった子供達が国の戦後復興戦略で優先的に学研都市に移住し教育を受けている。

「じゃここでね」

「ああ」

 俺の通っている学校の校門の前で綾香は大誠学園へ走って行った。


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