転移
「ベテルさん、超空間、亜空間、通常空間のエネルギーが上がっています。おそらく、転移すると思います」
「そうか、わかった。すぐに、転移警報を出してくれ。」
「分かりました。」
すると、さっきの部下が急いで部屋を出た。
「さてと、今回はーっと。うわー最悪だ。こりゃ確実に長期滞在だな。後で、計画立てないとな。」
そういったのもつかの間
「転移まで5、4、3、2、1転移」
転移直後に少し揺れたがいつもより揺れていない。そんなことは気に留めず、腕につけてある多機能デバイスの無線機能を立ち上げて、塔内放送に切り変えた。
「おめら、今回は長くなりそうだ。確実に。そこで私は暫くの間暮らせるように生活の基盤を固めたほうがいいと思った。だから、今回は、出し惜しみなしでやるぞ。宇宙開発部は、早速だが各種衛星を打ち上げてもらう。いつもの通りにリニアカタパルト使え。軍部は、周辺を探索をしろ。良い結果を待っている。」
「ふう、やっと終わったよ。でもこれからなんだよねーホント。毎度毎度で飽きてくるよ。マジで。」
そう言ったのは、この人工塔の国家「アースガルド帝國」の良き独裁者である
ベテル・アンドロメダ・ブリュンヒルデ・ヴァルキュリアである。なぜ独裁者なのにいいかというと、
国民に利益は還元されるからだ。そして、どうやって利益を追求するかというと、元々は、アースガルドという国は、ギルドという傭兵会社だったからだ。そのため、雇ってもらい報酬を受け取る。このため基本的に黒字決済である。そして、なぜ「塔」なのかというと、直径300km高さ607kmの円筒形のビルなのだから。まあ芸術的センスは全くないため、外観はかなり無機物ということを感じさせられる。
「時空間エネルギー探知しました。おそらくこの形は日本です。日本が転移します。」
最後の方は力を込めていった。
その頃日本はというと、混乱していた。例えば、取引先の外国企業と商談の日時を決めていたら突然電話が切れたり、海外のサイトにアクセスできなくなったりしていた。
そんな混乱がその日は続き、電話会社等のカスタマーセンターも営業時間を伸ばして対応していた。
そして次の日政府は、閣議を行った。