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マジで俺を巻き込むな!!  作者: 電式|↵
Lost-311- PartA
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第5話-A END Lost-311- ひざまずく男女



「アダチさん、お待たせしました」



 オッサンの話に付き合いながらもまだかまだかと待ちわびていると、ようやくマールが俺の名前を呼んだ。厚顔無知な発言で散々俺を疲弊させたオッサンは、実はこの診療所には用がないとのこと。本人によるとただ単にふらっと立ち寄っただけだという。さっさと帰れお前。


 呼び声に返事を一つ、立ち上がるついでに手の平に食い込んだ爪の跡を見る。そろそろ爪も切らねえとな。大分伸びてきてる。マールの後に続いて二階への階段を上る。踊り場のステンドガラスには、翼を広げて光り輝く人影を中心に、ボロボロの服を着た人々が一様にひれ伏している。人影は濃い紫と深青の中間色一色で描かれていて、全体的なシルエットしか分からない。まるで宗教画みたいだ。



「綺麗でしょう?」



 ステンドガラスの前に無意識的に立ち止まって眺めだした俺に、マールが階段から声をかける。



「神使様が私達に初めて御加護を与えてくださった瞬間の絵なんですよ。

 ここには助けを求める人が集まってきますから」


「なるほど」



 つまりこの絵は“みな平等に神使の加護があるから心配無用”という意味合いを込めて埋め込まれているということか。やっぱり宗教関連か。いくら綺麗な絵とはいえ、いつまでもこの絵に見とれているわけにはいかない。全体を眺め回してある程度満足するとすぐに、残りの階段を駆け上がった。



 診察室に入ると、ヘーゲルは椅子に座って待っていた。診察室はは材質や形こそは違うものの、あの見慣れた病院の診察室に近かった。小さな机に何冊か本が積まれ、その隣には特注級(と、勝手に推測する)大本棚が構えている。専門書と思しきものがみっちり並んで、その存在感を主張している。病院特有の薬品臭さはないが、代わりに薬草なのだろうか、青臭い匂いがする。

 それ以外に特に変わったところはない。変わっているところを挙げるとすれば、天井に届かんとそびえ立つ物体が、彼の後ろに鎮座していることぐらいだ。廃材を集めて作ったらしい、ハンドメイド感漂う金属製の細長い装置である。



「どうも遠方からお疲れ様です」



 ヘーゲルはそう言って空いている席を手で示し、俺に着席を勧めた。椅子に座るとすぐ、彼はリンの現在の様子について尋ねる。何回も説明を繰り返せば、説明方法は自然と洗練され、テンプレート化された文章を吐き出す作業になってくれる。面倒臭さと苦痛を感じる反面、ある意味楽チンである。言い方はどうあれ、一通り説明を終えた。



「なるほど、そうですか」



 彼はため息混じりに立ち上がった。本棚から分厚い本を一冊取り出し、フッと一息ホコリを飛ばして、その場でページをめくる。あるページを見つけると、そこで少し手を止め、用を終えるとすぐにその本を棚へ収納した。



「“彼女が何かに怯えている様子を見せる”ということですが」



 ヘーゲルは椅子に座る動作と平行して切り出した。



「やはり先日の事件が関係している可能性が高いと思いますね」


「それは、どういう意味です?」


「160年ほど前、隣国と一時武力衝突が起きたこと、あなたもご存知だと思います。

 今の本は、当時軍医として働いていたある医者が書いた本なんですけどね」



 隣国と武力衝突? 武力衝突という言葉に初耳の感覚。そんなの聞いた覚えがない。あ、待て、聞いたかもしれないが、やっぱり聞いてないかもしれん。



「“兵士はいつ攻撃されて死ぬか分からない不安から、

 不眠や興奮状態に陥ることがしばしば見受けられ、

 事態が収束して数月経た今もなお、同症状を患う者がいる”と記されていまして」


「はあ」


「彼女も同様、危ない目に遭ったわけですから、同じ症状が出てもおかしくないと私は思います。

 ただ、彼女の時間感覚では、危険な目に遭ったのがつい昨日の事のように感じているはずです。

 なので、現時点では正常な反応かどうかの区別は付けられません。

 これからしばらく様子を見てみなければ、なんとも」



 そんなやつ、テレビでやってたのを見たような気がする。PTなんちゃら、だったか。



「普段の生活の中で可能な限り事件を想起させないように、配慮してください」



「へいっ、どうも」



 ルー、姉さん、ヘーゲルと、それぞれ主観的、一般的、医学的な見解を示してくれたが、果たしてこの中に正解はあるのだろうか。特に姉さんの言い分も、ヘーゲルの言い分も、なかなかの説得力がある。原因というものは、シンプルにこれだと単純に求められるものではなく、もしかするとグラデーションのようなものかもしれない。本人に聞かなければ明確な判断はできないが、考えれば考えるほど、どれも皆正解のような気さえする。


 なにか質問や気になる点はないかと聞かれ、俺は特にないと答える。彼はいわゆるカルテと思われる紙に走り書きを残し、手伝いを呼び出した。すぐに見た目12,3歳前後の少年がヘーゲルの背後から現れた。そいつに紙を渡してよろしくと言う。少年は受け取ると分かりましたと礼儀正しく一言、部屋から出ていった。



「精算はあとで、家内か近くの方にお願いします。

 今回の診察料2000レルを合わせて確か……1万2000レルですね」



 ……清算しにきたつもりが診察室に通されたもんだから、タダで話を聞いてくれるのかと思っていたが、ちゃっかり金取りやがった。



「と、そうなるのが普通なのですが、医学を含む学問は、主に学者の探究心と知的好奇心によって発展しています。

 前回あなたの魔力量を検査したときの異常な反応は、文献をあたってみたものの該当する記述はなく、

 私という一学者の知的好奇心を大いにくすぐるものでありました。

 差し支えがなければ、あなたには今後の医学の発展に貢献していただきたいと思っています。

 もちろんタダとは言いません。

 賛同していただるならば、本日分の診察代を無料にさせていただきたきます」



 ほう、そうつなげてくるか。なかなかの策士じゃねえかお前! でもやってること詐欺まがいだ。そう提案するヘーゲルは、まるで俺がオッケーしたかのような嬉々とした顔している。預言者かお前は、と心の中でツッコミを入れる。まだ俺は何も答えてねえぞ。ま、眼鏡越しにキラキラと輝く目と、2000レルが手元に残るメリット、予定ではこれからあと数時間ほど暇潰しすることになっていることを考えれば、双方の利害が一致しているのは簡単に分かるがな。



「いいっすよ」



 それを聞くとヘーゲルはありがとうの言葉も忘れて、椅子から飛び上がるようにして立ち上がる。このはしゃぎようは半端じゃない。後ろに立っている金属のガラクタ――失礼、マールの言っていた“測定器”らしきものに手をかけると、俺の前に引きずり出してきた。重そうな装置だが、車輪がついていないのだ。床が痛んでかわいそうだと、変なところに同情してしまう。



「これが、あなたのために設計した魔力量の測定器です」



 自慢げに胸を張って、その測定器を手で叩いた。四角柱の金属フレームの外側には金属の網がかかっていた。その中に、さらに細長い四角柱のフレームが入っている。底には握り拳大ほどの橙色の丸くてテカる物体が入っていた。その物体の下にはメタリックグリーンの金属板が敷かれ、外側のあるフレームまで一繋がりになっている。ヘーゲルは外側まで引かれている緑の金属板を指さした。



「ここに触れると魔力量が測定できます。

 幼児からあなたのような方まで幅広い範囲の魔力量を検査できる、画期的な道具です」


「その仕組みは?」


「よくぞ聞いてくれました!」



 なんか、もう俺にはエリートの医者というより、ただの興奮している青年にしか見えない。この豹変っぷりは何なんだ。ヘーゲルはポケットから革手袋を取り出した。それをつけて机の引き出しを開け、そこからフレームのものとは別の橙色の球体を手に掴んで、俺に見せた。



「仕組みは非常に簡単です。このフショクセキを用いて測定します」


「それが、フショクセキ?」


「そう、触れない石、不触石です」



 ヘーゲルが持つ橙色の球体は、触れない石らしい。球体になるように磨いたということか。しかし彼は触れない石を手に持っている。手袋越しに、という所がミソのようだ。



「この石を素手で触ろうとすると――あ、ちょっと下がっていてもらえますか。

 もうすでにあなたの魔力量に反応してしまっているので」



 よく分からん俺は、言われるがまま席を立ち上がって診察室のドアまで下がった。彼も同じように部屋の奥まで下がる。おもむろに手袋を外し、外した片手でその石をわしづかみにする。素手で触れてんじゃねえか。もう片手の手袋も外し、その石を持ったまま、手で水をすくうような形をとった。



「いきますよ?」



 そう言って石を掴む指を離した次の瞬間、俺はその挙動に度肝を抜かれた。その石は投げ上げたわけでもないのに、水中から飛び出した魚の如く勢い良く跳ね上がったのだ。石は最高点まで達するとゆっくりと下に降りていく。ある点まで降下した時点で、その石は空中静止。ヘーゲルの手の平の上で回転しながら宙に浮いている。おお、何この珍素材。まるでマジックハンドだ。



「この特殊な石は、魔力を持ったものから離れようとする性質があるんですよ。

 下に落ちる力と、離れようとする力が等しくなると、このように宙に浮くんです。

 石が離れようとする力は魔力量に比例します」


「つまり、魔力量が多ければ多いほど高く宙に浮くと」


「その通り!

 我々人間は魔力を持っていますから、触ろうと近づくと転がって逃げてしまう。

 特殊な手袋か何かで魔力を遮らないと、触れない。不触石の由来です。

 あんまり宙に浮かせっぱなしにすると相当な熱を持つので、もうこのあたりで」



 彼は宙に浮かせたまま、片手に手袋をはめた。もう片手の魔力を受けて宙に浮いている石を、手袋をはめた手で掴みとって元の机にしまいこんだ。



「そしてこの器具の端の緑の金属。

 これは最先端の技術によって、魔力をよく通すよう加工が施された金属です。

 装置の全容、もうお分かりですね?」



 なるほど、この緑の金属に触れると俺の魔力が金属を伝って、中の不触石を中に浮かせるってわけか。不触石の反発力は魔力に比例するから、その高さで量が測れると。中の細長いフレームは、石が垂直方向にのみ移動できるように軌道を作っている。単純な仕組みだ。



「この装置の設計自体は他の発明家のものですが、あなた用に一手間加えるのが大変でした。

 金属に流れる魔力量を自由に減らすことができる機構を、触れるところから不触石までの間に挟んであります」



 ヘーゲルが指さしたのは、特殊な金属が三角形の形に切り出され、向かい合うようにして接触している単純な部分だ。



「ここの接触面積を変えると、流れる量がそれに比例して変わるんです。

 この機構のお陰で、不触石の高さと接触面積とを掛け合わせれば、

 あなたの魔力量を一般的な魔力量と比較することが可能になるのです!」





 はは~ん、つまり接触面積を変えて倍率を変更するんだな。彼が言いたいのはこういうことだ。


 不触石の高さ÷(最大接触面積÷接触面積)=魔力量


 簡単な例を挙げるとすれば、例えば普通の人「A」が接触面積最大のとき、不触石が20センチほど浮いたとしよう。この場合、


 20÷(1÷1)=20÷1=20


 という数値が出てくる。魔力が20だ。普通の人「B」が、接触面積が4分の1のとき、20センチほど浮いた場合は、


 20÷(1÷4)=20÷0.25=20×4=80


 となり、Bの魔力量は、Aよりも4倍の量がある結果になるということだ。使われている高さの単位を知らんからセンチを使ったが、そこらへんは単位を知っている現地人ヘーゲルが頑張って計算してくれる。計算するのは俺じゃないし、分かっても分からなくてもどっちでも構わない。大掛かりな割には単純な装置だ。



「それでは、ゴタクもいいところでしょうから、そろそろ測ってみましょう」



 俺の心情を先読みされて、一瞬こいつエスパーかと思ったが、客観的に考えてこれだけ説明されれば言われても文句ないと思って安心する。



「まずは、手の大きさを測らせてください。こことの接触面積も考えなきゃいけませんので」



 あ、そうかここも計算するのか。すっかり忘れていた。



 手の大きさを測り終え早速握ってみる。通常の人を計測するときの倍率、つまり面積最大の状態では、だいたい5シュほどの高さだという。高さは100シュが基準で、平均的な成人男性の身長に相当するらしい。


 ところが、俺が触った瞬間、150シュと範囲に余裕をもたせた設計にも関わらず、石は勢い良く頭打ち。これは俺も驚きである。



「万一のときは倍率を変えられるようにと思って設計したのですが、

 本当に倍率を変更しなきゃいけないとは、まるで夢を見ているよう。信じられない!」



 ヘーゲルの興奮度はマックスまで達し、階下の待つ人にも聞こえてきそうなぐらい大声を上げていた。こいつは変人なのか、ただの普通の学者なのか、俺には区別がつかない。驚異的な数値に興奮する理由は、何となく俺にも分かる。なんつうか、スポーツ選手がすげえ記録を叩き出したような、そんな感じだ。


 倍率調整のお陰で無事に計測を終えられた俺は、再び椅子に座って、ヘーゲルの計算結果を待った。計算に間違いがないか何度かやり直し、そして彼は鼻息の荒いまま結果を俺に伝えた。



「一般人の230倍! 過去にここまで数値の高い人間の話を、私は聞いたことがありません!」


「に、230倍――!」



 その結果を聞いて俺はガク然とした。なんだよこれ、どこぞの勇者物語でアリガチな展開じゃねえか! 話を聞きつけたお偉いさんによって、俺は勇者かなにかに指名され、「魔王倒してらっしゃい、さあ!」とか言われないだろうか? そんな願いをされたら当然、満を持してオコトワリする。魔物の前で息絶えて餌になるより、お偉いさんの目の前で殺されたほうが、死体の破壊率が少なくて済みそうだ、というのも理由の一つだが、やはり一番の理由は「ダルい」これで決まりだ。




 その後、俺はひと通りの精算を済ませ、病院の近くのマッサージ店に飛び込んだ。姉さんの予告通り、この近辺でもその店はかなりキツメのマッサージ店として有名だったようだ。寝台の上に寝かされて変な匂いのする、ハッキリ言えば俺のオヤジのくしゃみのような、えらく臭い草を泥状にすり潰したやつを背中じゅうに塗りたくられた。


 俺の凝った体をマッサージしてくれているのは、体格ガッチリ、アラフォーあたりのオッサンである。その濃い筋肉から搾り出されるパワーは、俺に刺すような痛みを与える。あの店はマッサージというか、プロレスの締め上げに近いような気がした。とにかく歯を食いしばり、そのマッサージを耐えぬくしかなかった。



「思ったよりも軽くなるもんだな……」



 軽快になった体で家を目指す。マッサージ店の待ち時間もバカにはならなかったのだ。人気店だけに相当待たされた。俺もサービスを受けた身、プロレス効果は折り紙つきであることは確かだと言える。見上げる空は赤みを帯び始めている。



「ありゃなんだ」



 日が完全に暮れ、風情ある炎に照らされた夜の街。帰り道の前方に、そんな風情とはまったく場違いな真っ白い閃光が、空を浮いていた。見覚えのある光。俺が変に有名人になってしまったあの夜の事件、通報を受けて駆け付けた警邏隊隊員の一人が持っていた、あの水銀灯のような光。あの先で事件か何かがあったのだろうか。妙な胸騒ぎがする。


 帰宅経路上の俺は、足を速めて一歩づつその光源に近づいていく。光源の近くでは人だかりができているのが見えた。上から明るく照らす光の真下の建物を見た瞬間、背筋が凍った。



「俺の家じゃねえか!」



 何があったんだよリン! 思うよりも身体が先に走り出した。事情はよく分からないが、まずいことになっている雰囲気しか感じない。家の近くまで駆け寄ったものの、塊のような野次馬が邪魔で、これ以上は進めなかった。



「裏道から行くか……」



 表通りを断念して裏道に潜り込み、建物の間を縫うように走っていく。状況が飲み込めるにつれて、俺の中で事実が迫真化していく。もうリンに何かあったとしか考えられない。



「ダメだ! 中に入れることはできない」



俺の家の裏口まであとは角を曲がるだけというところまで来たとき、大きく図太い声が聞こえた。角を曲がろうとした体を押さえ込んでとっさに立ち止まり、角に身を潜めた。建物の角から声のした方を覗き込むと、俺の家の裏口に、金属の鎧に剣を持った二人の兵士が立ち、一人の男を塞いでいた。



「私は記者です。職業上、立ち入りに関して特権を所有してます。

 ですから取材のために中に入れてください」


「この住居は我々が押さえている。

 重要事案ゆえ、特権職とはいえど、あなたを通すことはできない」



 二人の兵士は冷たく言い放った。



(家を差し押さえられた、だと!?)



 差し押さえといえば、家宅捜索をしたりとか、借金や税金滞納とかで裁判所が命じたりするやつだ。家差し押さえられたのか~! これから俺ストリートボーイになるのか……ロイドの奴、税金は年の始めか終わりのどちらか忘れたがそれぐらいの時期に払えと言ってたじゃねえか! その場で膝を折り、両手を地面につけた。



「マジか……」



 一人呟いて、心の中で「ああ、ガチモンらしい」などと意味なく自答。どうにもならない溜め息を吐き出す。詳細は不明だが、この家に住んでいる以上、俺は当事者から免れることはできなさそうだ。



 俺は立ち上がって意を決して角から飛び出して、今だに問答を繰り返す三人の前に立った。なにはともあれ、情報の収集が最重要かつ最優先事項だ。



「すみません、何があったんすか?」



 俺が兵士に問うと、彼らは顔を見合わせた。



「彼か?」


「彼らしい」


「しかし彼であることを保証できない」


「彼女に確認させるか?」


「最善だ」



 顔を見合わせたまま無機質な会話を広げたかと思うと、一人は自称記者の男の腕を掴み、もう一人の男が裏口を開けて俺に中に入るように指示した。俺が部屋に入ったのに続いて、裏口を開けた兵士も入って、俺に店の区画まで進むように言う。


 極度の緊張で冷や汗を噴きながら店まで歩いていくと、リンとロイドの姿があった。事情を知っているに違いないロイドに話を聞こうと前に進もうとすると兵士は俺より一歩前に飛び出して「これ以上近づくな」と暗に示した。兵士はロイドの前で俊敏な動作でひざまずく。



「彼と思しき人物です」



 見た感じリンは健康そうで、倒れたとか、また事件か何かに巻き込まれたとか、そういう状況ではなさそうだ。では一体何があってこの家を差し押さえているのだろうか。ロイドは俺を差して彼で間違いないですかとリンに聞いた。



「間違いないです」



 下がっていいです、ロイドが兵士に言うと、兵士は足早に元の持ち場へ戻って行った。



「まずこれは一体どういうことなんです?」



 俺は開口一番、ロイドに聞いた。受賞とか戸籍作成とかの各種書類は二日後に取りに来る約束だったはずだ。俺の本人確認が終わった彼は、いきなり今度は俺の前でひざまづいた。続いてリンまでひざまづく。……何がどうなってるんだ?



 ――なんとなくだが、超展開の匂いがする。



超グダグダ感があった第5話-Aパートですが、ここで一旦完結です。

次話から第5話-Bへ進みます。


B話では、コウを取り巻く状況が大きく一変し、

第5話計画の中では最もアクティブに活動する話になります。

A話にはない新鮮さと、大胆さを表現できるよう、頑張っていきたいと思います。


プロットをしっかり立て直し、グダらないよう気をつけていきたいと思っています。

これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

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