1話:転生 ーおはよう、知らない天井だー
「なあ、大好きだよ、リリス」と言った画面の中の男、ライテル・メイチャッツ。
画面に浮かぶ3つの選択肢。
▶「私も、あなたが大好きよ」
▶「ごめんなさい、友達としか思えない」
▶「他に好きなひとがいるの」
勿論一番上。選択。
「私も、あなたが大好きよ」
「嬉しい、相思相愛だな」
ノイズが走る画面。…ああ、そうだ。こうこなくっちゃ。やっと成功した。ずっとクリアできなかったんだから…
「だから、大事に殺してあげる。」
「きみが他の人間を見るのも、他の人間に見られるのも許せない」
ナイフを持った、ライテル。
そのままこちらにゆっくりと歩いてきて、恍惚の表情を浮かべたまま私の操作キャラクター…リリス・フローゼリテの腹部にナイフを刺す。
目を見開き、倒れたリリスの髪に指を絡め、ナイフを自分の心臓へと突き立て、彼はこう言った。
「嫉妬深い男に愛されて、お前も可哀想だなあ。」
―――「やっと全ルートクリア〜〜!!」
私・二ノ宮雷花はベッドの上に倒れ込んで伸びをする。顔の横に無造作に置かれたゲーム機には何度も見たスタッフロールが流れている。
「いやぁ、ライテルルートはバドエンとメリバエンド入りやすいからまっじ大変だったわ…」
誰にも聞かれない独り言をボソボソとニヤケ顔で呟く。
「…まあ、パケに載ってる悪役令嬢が出番全然なかったのは残念だけど…」
つ、と指先でパッケージをなぞる。何回同じ事をしたか。少しよれてきている。明日は休日なんだから、保護シートでも貼ろうか。
「とりあえず幸せだし寝るか」
倒れ込んだ姿勢のまま、ゆっくりと瞼が落ちていく。明日もきっと、いい日になりますように…
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ぱち、と音のするぐらい素晴らしい目覚めだった。
ベッドがいいんだろうな、そうそう、いつも通りのふかふか…ちょっと待って?うちのベッド、こんなにふかふかじゃない。というか、布団だし。
落ち着くために深呼吸をして、天井を見る。
「知らない天井だ……!」
もはや感動である。本当にこんなことがあるのか。
つまるところ転生ってやつか?ふむ、私は漫画を読むのも趣味だ。ちなみに最近アツいのは悪役令嬢モノ。
――何を言いたいかって?
そりゃあ…私が悪役令嬢に転生した可能性があるということだ。いや、転生ってことはそっちの可能性のほうが高い。いいな。普通の高校生にも飽きてきたところだ。
家族はちょっと惜しいけど。転生しちゃったからには頑張ってみよう!!
ふっかふかのベッドから身体を起こして、信じられないぐらいデカい鏡に向かって歩く。
どんな悪役令嬢だろうなあ。髪ぐっるぐるのやつがいいなあ。
……ふむ。
くりくりのお目々、癖一つないストレートな茶
髪。
――「待ってこれリリス・フローゼリテ!!??」
悪役令嬢ではなく、ヒロインに転生したようです。
ここで思い出そう。わたしが好きなゲーム…『スノードロップと婚約と私と』…通称『スノわた』のエンドは…心中のハッピーエンド。一方的に殺されるメリバエンド。殺してしまう、バッドエンド。
…ぇ、終わった?




