第3話:正義は、ひとつじゃない
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激突する光と闇。
だが、ぶつかり合う拳の一撃と共に、ふたりの意識が、過去の記憶へと引きずり込まれていった。
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そこは、ある火災現場だった。
「……やめて……お願い、誰か……!」
小さな少女――レナ。
泣き叫ぶ声は、炎の中に飲み込まれていく。
両親は閉じ込められ、助けを求めても、誰も来なかった。
あの時、レナは**“ヒーローなんて来ない”**という現実を知ったのだ。
炎の中で、燃え尽きる希望。
そして、ぽつりとブレスレットが転がっていた。
「……これが、あれば……!」
そのとき、ナイトメアクロウの原型となる闇のブレスレットが、レナを選んだ。
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意識が現在に戻る。
ひより(ライトフェザー)は、息を呑んで立ち尽くしていた。
「……そんな……そんな過去が……」
「見たのね。私の記憶を」
レナは静かに笑う。
「でも、だから何? あなたが“かわいそう”って思ったって、過去は変わらない」
「違う……かわいそうなんて、思ってない!」
ひよりは叫んだ。
「私は……あのとき、あなたの隣にいたかった……!」
言葉が空気を震わせる。
> 《同期率上昇:ライトフェザーの進化条件を満たしました》
《新フォーム解放:「フェザー・セラフィム」》
その瞬間、ひよりの姿が変わる。
羽根が輝きを増し、黄金の光が体を包み込む。
「レナさん……もう“ひとり”で、闘わないで――!」
「……甘いのよ、あなたは」
レナは爪を構え、なおも突撃しようとする。
しかしその足が、震えているのを、ひよりは見逃さなかった。
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その時、街の遠くから、新たな衝撃音が響く。
> 《新たなブレスレット反応、確認》
《カテゴリ:災厄級ヴィラン、コードネーム「パンドラ」》
空に、漆黒の亀裂が走った。
そして――“本物の悪”が、笑いながら現れる。
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▶ 次回予告:第4話「悪とは、選ばれし存在か」
――現れた“パンドラ”は、レナすら圧倒する存在。
「善」と「悪」のブレスレットが共鳴し、未知の融合が起きる!?
そして、第三の意志「システム・ブレスリンク」の真意とは――