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第62話 父になる

 夕方の5時までは病院の放射線技師として働く。自宅に向かう途中、リミの職場前で路上駐車しながら妻の勤務が終わるのを待って一緒に帰る。リミは料理ができない。米をお湯で洗い研いだことがあるし、包丁も使えない。


自然と夕飯作りは私という事になる。自分で作った夕食を食べずにアルバイト先に向かう。アルバイト先を飲食店にして食費を半減させる。水曜日と木曜日は生協でも働いた。数百ある商品をピッキングして梱包していく。余った食材がもらえるので、またまた生活費が安くできる。


深夜は洋菓子屋の配送をした。ここでも洋菓子は必ず残るからお持ち帰りができた。


お中元の季節には時給が高い宅配の荷物を仕分けるアルバイトを入れた。汗でびしょ濡れになりながら蚊に血を吸い取られて働いた。Wワークならぬフォース・ワークである。


 『あっ!という間に・・・』とまでは言わないが1年間で200万円近い貯蓄ができ、いよいよ一戸建ての購入を本格化させる事にした。


 内見したのは全部で3軒、新築物件が2つ、中古物件がひとつである。


 父が亡くなり、母がひとりで暮らしている事とリミが外国人であるという2つの理由から実家に近い中古物件を35年ローンを組んで購入した。間取りは4LDKで30坪を超える土地がある。おまけに売主が、ある有名企業の重役であり、もともと注文住宅で建てた物件だと教えてもらえた。家具付き、空調付き、カーテンも置いていかれるという事だった。


 注文住宅は建売物件と違い天井高が大きく取ってあるので窓も特注であるからカーテンもオーダーメードしなければいけなくなる。


 この『カーテン付き』が決め手になった訳ではないが、売り主さまが「売った後でのトラブルは避けたいから給湯器は最新式の新品にしてからお引き渡しいたします。」のご配慮が気に入った。


➖金持ちは違うなぁ➖


 まだ居住中の物件にお邪魔させていただき内見をおこない、その場で購入の確約を結んだ。


この物件にはすでに購入希望者が決まっていて私たちは2番手だったが、1番手の方が契約後になって頭金の工面ができていなかったらしい。だから売り主の唯一で絶対条件となったのが『購入者はホワイト・カラーか国家資格の所有者に限る。』になっていた。


 私とリミはこの年の8月に婚姻届を提出し、受理された。子供は9月30日ではなく25日に生まれた。戸籍上、婚姻してから僅か1ヶ月後に赤ん坊が生まれた事が謄本に記載されている。


 強いて望んだ子ではないし、待望の出産という事でもない。出来てしまったものは仕方がない。成るようになるさ、とくらいにしか思っていなかったが、いざ生まれてくると可愛い。


自分でもこんなに子煩悩だったけかな?と思うほど子煩悩ぶりを発揮した。

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