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4.1 : My Dearest Brother - Epi67

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「……物知り、なのね……」

「別に、この程度の情報は普通だろ」


 いやいや……。全然、普通じゃないよ。


 亜美は、ソヴィエトの歴史があったことは覚えているが、そこまで詳細に……強制収容所のことまでなんて、勉強したこともないし、知らなかったのだから。


「……なんだか、怨念があり過ぎるよ、そういう場所は……。お化けが出たら、どうするの?」


 まさか、この亜美からその一言が出てくるとは思わず、マークもまじまじと亜美の顔を見返した。


「アミ、お前がお化けを信じてるのか?」

「だって……、お化けが出てきたら、どうするのよ」

「お前の兄貴に、お化け退治の道具(メカ)でも作ってもらえばいいだろ」

「お兄ちゃん、できるの、そんなの?」


 ふむと、晃一の方も腕を組んで考え込む様子をみせる。


「お化けの原理が何か判れば、作れないこともない」

「そうなのっ?! さすが、おにいちゃん。すごいねっ」

「原理が判れば、それほど問題でもない」


 マークは、亜美をからかうつもりで出した一言だったのだ。なにも、そこに座っている――マッドサイエンティストの興味に火をつけた覚えはない。


 ギロリ、とものすごい冷たい――殺気を飛ばした冷気に近い気配が、マークを睨みつける。


「話が逸れたが」


 ものすごい冷たく、絶対零度の圧度で、そこの部分を強調するジョンだ。


「次の目的地は、Solovki(ソロフキ) Islandだ。St(セント).Petersburg(ペテルブルグ)からArkhangelskにダイレクトフライトがあるが、現状を考慮して、必要のない限りロシア圏内に入るのは避けるべきだろう。FinlandのHelsinki(ヘルシンキ)(首都)経由で、Arkhangelskに向かう。そこから、チャーター便に乗り換え、Solovki(ソロフキ) Islandに上陸する。出発は今から1時間半後」


 次から次に、亜美には聞き慣れない場所の単語ばかりが羅列されて、亜美だって、それが一体どこなのか、どっちの方向なのか、どのくらいの距離なのか、全く想像ができない。

 想像ができないから、理解もできていない。


 そうなると、食事を終えて、このブリーフィングが終わったら、一人で、自分の携帯を見ながら、またマップで移動先の検索だ。

 ペラペラ説明だけをしていないで、マップでもちゃんと用意してくれたら簡単なのに。


「まさか、全員で乗り込む気なのか?」


 気乗りしなさそうに、クインが口を挟んで来た。

 その口調の端々に、またも素人をOpにぶち込む気なのか、なんていう皮肉が聞こえないでもない。


 亜美だって、好きで対テロリストのOpに首を突っ込んだ訳ではない。亜美の目的は、初めから兄の晃一を探し出すことで、見つけたら、いち早く救出することだけだったのだ。


 その過程で、いらぬ――テロリストの介入、なんて厄介事が紛れ込んで来ただけである。


「いや。アドキンズとアミは、チャーター機内で待機だ」


 まあ、亜美は素人なのだから、テロリストが潜んでいるかもしれない隠れ家に潜入、突入なんて、そんな無謀なことはできないだろう。


 そんな無謀なことは、させないだろう。


「Mr.アドキンズって、どなたですか?」

「俺。エリック・アドキンズ。よろしく」


 亜美の向かい側の椅子に座っている男性が軽く手を上げた。短く刈り上げた髪の毛は濃いハニーブロンドに近く、瞳はダークヘーゼル。年齢だって、兄の晃一の年齢に近い(たぐい)の男性ではないだろうか。


 そう言えば、ジョンとマークの自己紹介はあったが、その他残りのメンバーの紹介はなかったはずである。


「もしかして、名前とか、隠してるの?」

「いや」

「じゃあ、なんで、きちんとした紹介がないの?」

「アミ・サトウ。全員が知っている」


 それは、亜美がそう紹介したからではないのか?

 なのに、その亜美には、全員の紹介をする必要がないとでも、言いたいのだろうか。

 ムカムカと、また腹が立ってきてしまう。


「アミ、気にするな。大抵、いつもこうなんだ」

「そうなの? なんか、失礼よね。きちんと挨拶したり、紹介したりするなんて、常識でしょう?」

「そうだな」


 その口調からすると、挨拶もせず、紹介もしない男達は“非常識”だ、とでも言われているかのようだ。

 男達からの冷たい視線が向けられるが、ツンと、亜美もそっぽを向く。


「なんだか、“組織”とか言う割には、非常識よね。礼儀がなくて失礼だし」

「そうだな」

「お兄ちゃんも、そんな会社、さっさと辞めちゃいなよ。お兄ちゃんには合わないよ、そんな会社」

「そうだな。その通りだ、アミ」


 それで、さっさと無駄なエージェントの仕事から解放すれ、と無言で暗黙の圧力が晃一から向けられている。


 誰に――向けられているのか。


 この手の会話は今日が始まったことではないので、ジョンも晃一の無言の圧力を無視し、続ける。


「Arkhangelskに到着後、アミはアドキンズと共に、Opの監視・連絡役をする。アドキンズの指示を聞くように」

「は~い」


「お遊びではないんだ」

「わかってます」


「一人で勝手に動かないように」

「わかってます」


「監視・連絡役は、最低でも耳を3つ持つ。目は、それ以上だ」

「――――はっ?」



読んでいただきありがとうございました。

Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)


Tank yuh fi read dis novel

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