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3.2:At Last - 02

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 兄の晃一探しで、ロシアくんだり誘拐されに来たのではないのだ。


 亜美はベッドから飛び起きて、窓辺に駆け寄った。

 窓ガラスを押しても開きそうにはなく、鍵穴があるから、鍵つきの窓がついているのだろう。鍵をぶち壊して、ここから逃げることが可能なのだろうか。


 窓越しから、階下を覗いた亜美の視界には、暗闇と、雪が降り積もった庭のようなものしか目に入らない。

 だが、雪があるのなら、雪の上に飛び降りたら、それほどひどいショックを受けないのではないのだろうか。


 それなら、あの男が戻ってくる前に、窓をぶち壊すものを探さなければならない。

 その窓辺を離れかけた亜美の視界の端に――奇妙な、なにか腑に落ちない光景が入ったような感じだった。


 それで、亜美が、また、窓に顔を押し付けるようにして、外を覗きこんだ。

 暗がりの向こうで、目をこらすようにして、チラッと、目に入った人影だったのだろうか――を探してみることにした。


 亜美が覗き込んでいる場所からはあまりよく見えなく、亜美は一番端の窓側に移っていた。

 そこから外を覗きこむようにしても、屋敷の横側に、男達らしき塊が集まっているような気配だけしか伺えない。


 うーん……と、顔を更に押し付けて、亜美何が起きているのか、横側の建物の方に目を凝らしていく。


「――お兄ちゃんっ!!」


 亜美の瞳が大きく見開かれ、亜美が咄嗟に窓を叩きつけていた。


「お兄ちゃんっ!! お兄ちゃんっ!!」


 まさか、亜美が誘拐されたまさにその場に、ずっと探してきた兄の晃一がいるなど、誰が知り得ようか。


 クインとて、アラスカの秘密研究所の一つで名前が挙がってきた、ラディミル・ソロヴィノフに探りを入れるべきだろう――と、最初の憶測をつけただけなのに、まさか、その憶測どおり、あの男の屋敷に兄の晃一が捕らわれているなんて。


 顔を押し潰す勢いで、横側の屋敷の一角を確かめようとする亜美の視界の前で、男達に囲まれて、雪山に投げ込まれた兄の晃一は、そこに倒れこんだまま起き上がりもしない。


 バサッ――と、バケツから水でも投げかけられたのだろうか。


「お兄ちゃんっ!!」


 バンバンバンっ――と、激しく窓を叩いても、そんなうるさい音でさえ、外には全く届いていないようだった。

 必死で、亜美が窓ガラスを叩き壊すように叩き続ける。だが、割れるどころか、全く、身動き一つしない。


「お兄ちゃんっ!! お兄ちゃん、目を開けて――」


 必死の懇願も空しく、亜美の叫びでさえも、遥か向こうの視界にいる兄には全く届いていない。

 全身、ずぶ濡れになった兄の晃一を、また、そこにいた男達が担ぎ上げるようにする。


「お兄ちゃんを連れて行かないでっ!!」


 だが、その叫びもむなしいまま、亜美の視界の前で、大事な兄の晃一が、また、向こうの屋敷の方に連れ去られていってしまう。


 バンバンバン――と、窓を何度も叩いているのに、全く動じない。

 亜美は側にあるカーテンに自分の手を包み込んで、それから、思いっきり拳を握って窓を殴りつけた。


 バシンッ――!!


「いたっ――!」


 これだけ激しく叩きつけても、動じもしない窓で、亜美の手が激痛に襲われて、咄嗟に、亜美の方が自分の手を握り返してしまっていた。


「なに……。強化、ガラスなの?」


 防音された強化ガラスのせいで、亜美が叩こうが、殴りつけようが、その窓は全く壊れもしないのだ。

 亜美の手だけでは、全く相手にならなかった。


 亜美が後ろを振り返り、なにか武器になりそうなものを、サッと、探し出す。

 向こうの椅子に、まだ、亜美のバッグが無造作に放り投げられているのを見つけて、すぐに亜美が駆け寄っていた。


 亜美を(さら)った悪人が、バッグの中身を確認しても、目に付くものが入っていないので、そのまま持ち去らず、椅子に放り投げたのだろう。


「ラッキー」


 亜美は大きなバッグの口を空けて、手早く中身を確認しだす。

 見たところでは、何一つ、亜美の所持品は取られていないし、盗まれてもいない。


「ラッキー」


 これは、運がついているようだった。


 亜美は、バッグの一番下にあるヘアドライヤーを取り上げていた。それから、小さな横のポケットから、小型のドライバーセットも取り出した。


「今時の女子高生は、ドライバーセットだって持ち歩くのよ」


 悪人がそんな小物を確認して、変には思わなかったのだろうか。

 あまりに、小型のドライバーセットで、武器になるものでもなし、変な趣味がある女だ、とでも締めくくったのだろうか。


 役にも立たない小さなドライバーでは、家の錠を壊せるはずもなし。それで、一体、何ができるのか、と。


 だが、その武器にならないドライバーが、亜美には最大の武器になるのである。


 亜美はそのドライバーを器用に動かしながら、いきなり、自分のヘアドライヤーを分解し始めたのだ。

 手慣れた様子で、一分もしないうちに、全部のパーツを簡単に分解してしまう。


 鉄製の、重いだけで、かさばって、場所も取るし、トラベル用としてなど呼べない、普通のヘアドライヤーである。



読んでいただきありがとうございました。

Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)


Ačiū, kad perskaitėte šį romaną

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