表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/67

3.1:Kidnapping - Epi41

ブックマーク・評価★・感想・レビューなどなど応援いただければ励みになります! どうぞよろしくお願いいたします。

 見るからに、ラディミル・ソロヴィノフの護衛の一人と判るような、体格である。タキシードを着こもうが、普段から身についている、ボディーガードの癖が丸出しである。その眼付きからして素人ではなくて、歩き方も、構え方も、拳銃を保持している動きそのものが明らかだった。


 金持ち連中が揃うパーティーなだけに、その金持ち連中も、危ないボディーガードを揃えているのか、慣れているのか、あまりにパーティーにそぐわない人間がいようが、誰一人、注意を払う者はいない。


 向こう側で、無言で控えているボディーガードの姿を見て、ラディミル・ソロヴィノフは会話を離れ、バーから動き出していた。


 こんな大勢集まったパーティー会場で、何かを仕掛けられでもしたら、たまったものではない。


 パーティーも終えていないのに、一体、何をやらかすのか――と警戒の為、クインは動き出していた。

 クインも気配を殺し、ラディミル・ソロヴィノフを追うように足を進めて行く。


 表側の入り口に向かう様子ではなく、なんだか、ラディミル・ソロヴィノフは裏口の方へと足を進めているようなのだ。


 気づかれないように、クインもラディミル・ソロヴィノフの後を追い、ラディミル・ソロヴィノフが出て行った裏口の隣にある空室に忍び込んで来た。


 亜美には、クインとはぐれた場合の脱出方法も知らせているし、この場でドンパチを起こす気がないクインは、またすぐに会場内に戻っていく予定ではあるのだ。

 それまで、亜美は言われた通り動かず、クインを待っているはずだろうという目論見はある。


 今夜は誰も使用していない部屋が空室で、鍵もかかっていなかった。

 暗い室内を真っすぐに進んで行き、窓側でクインは外を確認してみる。


 どうやら、この寒空の中、ラディミル・ソロヴィノフはコートも着ずに外に出たようである。

 そして、黒いリムジンが静かに近づいてくる。


 ラディミル・ソロヴィノフの前でリムジンが止まると、後ろから隠れていたような男二人が揃って出現した。


「なっ――!?」


 そして、その腕の中に抱えられている赤いドレス――


「なにを――!?」


 あれは、今夜、亜美が来ていたイブニングドレスだ。

 クインが見間違えるはずもない。


 二人の偉丈夫の男に挟まれて、亜美の姿は確認できなかったが、動きもしない、ダランとした体勢を見ても、亜美が気絶していることが一目瞭然だった。


「気取られた――?!」


 まさか、亜美の素性がバレたというのだろうか。


 ラディミル・ソロヴィノフは、二人の男に抱えられているような亜美の顔を一度だけ上げさせ、亜美の顔を確認したようだった。


 すぐに、赤いドレスが抱えられ、リムジンの中へと押し込められていく。

 ラディミル・ソロヴィノフもすぐその後を続いていた。

 ラディミル・ソロヴィノフが乗ったリムジンは、跡形もなくその場から消え去っていく。


 クインがすぐに自分の携帯を取り出していた。

 携帯のアプリを立ち上げると、すぐに、赤いマークが浮き上がって来る。


 亜美の携帯に仕掛けたGPSは無事なようである。それなら、亜美を追うことは、まだ可能だった。


 まさか、クインが目を離した隙に、あの亜美がラディミル・ソロヴィノフに攫われてしまう状況になるなど、一体、誰が想像できただろうか。


「くそっ――」


 雪崩に続き、第2弾のピンチ、である。


 納得のいかない状況でも、亜美はラディミル・ソロヴィノフに攫われた。その事実だけは変わらない。

 クインは裏口を飛び出して行き、レストランの裏側にある駐車場に入って行った。


 クインは駐車場まで走り込んで、そこにあった車を勝手に拝借してしまう。盗難防止の警報装置がついていようが、少々、拝借する程度なら、クインだってお手の物である。


 エンジンをふかすと同時に発進して、クインもラディミル・ソロヴィノフの車をすぐに追っていたのだった。


「Call the Control」


 クインは車のスピードメーターが並ぶガラスに自分の携帯電話を押し付け、会話の指令だけで“組織”のコントロールに電話をかけていた。


「コントロール」


 一度の呼び鈴で、すぐに相手が出て来た。


「アミ・サトウがラディミル・ソロヴィノフに捕らえられた」

「捕らえられた?」


 ふざけたことを抜かすな、とでも言いたげな冷たい返答が返される。


「休憩中に(さら)われた。あの様子だと、気絶させられてるな」

「身分が発覚したのですか?」

「いや、それはない」


 ――はずだ。


 今日の亜美は金髪で変装しているし、瞳の色だって青色に変えている。


 ドレスを着込んで、派手な化粧をしているから、普段の亜美の姿を知っていようが、簡単に身元がバレるはずはない――はずだとクインも考えている。


 だから、クインには、亜美の(さら)われた状況が、どうにも今一つ納得がいかなくて、亜美と兄の晃一の関連性などこの場ではゼロに近いのに、なぜ、いきなり亜美が(さら)われたのか、意味をなさない。


「ラディミル・ソロヴィノフの経歴を、もう一度、洗い直してくれ」


 無言だけが返された。だが、コントロールがものすごい速さで、キーボードの上で手を動かし、ラディミル・ソロヴィノフの情報を洗い出しているのは間違いないのだ。


「ラディミル・ソロヴィノフ。国籍、出身、ロシア。現在32歳。性別、男。登録されているビジネスは、国際貿易、及び、オイルタンカーの保有・運航の海運事業です――」


 その説明は、アラスカにいる時も聞いた。



読んでいただきありがとうございました。

Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)


ई उपन्यास पढ़बाक लेल धन्यवाद

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングタグ、クリックしていただけたら嬉しいです (♥︎︎ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾
小説家になろう 勝手にランキング

その他にも、まだまだ楽しめる小説もりだくさん。
Funtoki-ATOps-Title-Illustration
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ