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1.1:Ami Satou - Epi01

今回は、現代もののシスコン・ブラコン兄妹のお話にしてみました。Anti-terroristを掲げる秘密結社のエージェント、世界を跨いで、次々に事件を解決――なのか、事件に首を突っ込んでいくのか?

ど根性を見せて、前を突き抜ける亜美の活躍、よろしくお願いします!

「あぁ、もう、遅くなっちゃったよ。スミスさんの奥さん、帰ってくるの遅いんだもん」


 亜美(あみ)は買い物袋を抱えながら、ダッシュで家の中に飛び込んだ。


 ベビーシッターのアルバイトはいいのだが、仕事の都合で親が帰ってくる時間がずれると、亜美の方にもその影響が降りかかってくる。


 まあ、時間外で働いた分は、しっかり払ってもらっているので、文句は言えないが。


「今夜は、手早くスパゲッティー~、ってね」


 ちょっと、いつもより帰りが遅くなったので、今夜の晩ご飯は手軽にできるスパゲッティーでどうだ。


 亜美はキッチンで手早く買い物袋を開けて、今夜の夕食作りに取り掛かりだす。


 亜美は、兄の晃一(こういち)と二人暮しである。

 亜美の両親は、亜美が幼い時、仕事関係の移動中の飛行機事故で亡くなっている。


 それ以来、10歳離れた兄が一人で亜美を育ててくれたのだ。両親がいなくなって寂しい思いをした時もあったが、兄の晃一が亜美をたくさん愛してくれたので、そんな寂しさもどこかに吹き飛んでしまった。


 10歳も離れているせいか、亜美の成長過程でも、兄の晃一はいつも大きな存在で、大人だった。

 いつも、背の高い兄を見上げて、追いかけて、それで、抱っこしてもらいながら家に帰ったものである。


 亜美の兄は、()がつくほどいい男である!


 エクスクラメーションマークが一つじゃ足りなくて、二つ、三つ、つけてもいいくらい、



()いい男!!」(注:“!”マークが三つである)



なのである。


 昔は、よく、チビだチビだといじめられたらしいが、成長した兄の晃一は背が高い。足も長くなった。

 丁度いい具合に筋肉がついて、草食系男児では決してない。草食系男児だったら、今頃、亜美だってあまりに悲惨で泣き崩れていたことだろう。


 頭が良く、性格は優しくて、強くて、しっかり者である。


 兄の晃一は高校出たての時に両親を失い、まだ幼い亜美を育てることになったから、自然としっかり者になったのかは亜美も定かではないが、いつも亜美が頼れる、たった一つの居場所である。


 亜美が泣いている時も、困った時も、いつも兄の晃一が手を差し伸べてくれた。


 おまけに、掃除・洗濯・料理も得意で(亜美を育ててきた結果なのだが)、お裁縫だって、亜美よりも上手だ。


 昔は、よく亜美の誕生日にケーキまでも焼いてくれたほどである。


 家に残っている両親の写真から見て、兄の晃一は、あまりどちら似とも言えない容姿をしている。


 昔は、亡くなった両親や、今ではあまり繋がりの薄い親戚達が、お父さんの父親――つまり、亜美の祖父に当たる人物に良く似ていると話していたらしい。


 だが、亜美の知っているおじいちゃんの話は、昔で言う“プレイボーイ”タイプだったらしい。その顔がよかったのか、女性に上手いことを言うのが得意だったのかは知らないが、若い頃はかなりの遊び人だったらしい。


 それで、結婚したおばあちゃんがどんなに苦労したことか――とは、ずーっと昔に聞いたような話である。


 キリリとした眉に、キリリとした目鼻立ち。頬骨が高く、その涼しげな容貌が美形と言うのなら、昔のおじいちゃんが今の兄の容姿をしていたなら、女泣かせ――とか言う異名を取ったらしい噂は納得がいける。


 だが、亜美の兄の晃一は、『女泣かせ』 などという『たわけ者』 ではない。

 浮気するような『ちんけな男』 でもない。


 女心も理解して、老若(ろうにゃく)男女(なんにょ)問わず、果ては赤ちゃんにまでも、心の広い誰からも好かれる男性なのだ。


 亜美の兄の晃一は、



「世界一のいい男!」



なのである。


 ()ブラコンと言われようが、過激すぎると言われようが、一体、それが何だと言うのだ。


 亜美には兄の晃一が一番で、それ以上の男性など、まだお目にかかったことがない。

 それ以下なら、腐るように見てきたが。


 ふふん、ふふんと、気分も良く鼻歌を歌いながら、今夜の夕食の支度をしている亜美は、片手を伸ばしてサッとテレビのリモートコントロールに手を伸ばした。


 パチッと、テレビをつけて、音でも聞きながら、さっさとご飯の支度をしてしまおう。


 キンコーン――と、家の呼び鈴が鳴って、亜美は壁にかかっているインターホンのテレビをちょっと振り返った。


 その小さな画面に映っているのは、見知らぬ男である。

 若い男、だ。


「なあに? ご飯前にセールスなの? やめてよねぇ。スパゲッティーが伸びちゃうじゃない」


 グルグルとお鍋の中をかき混ぜながら、亜美はうるさいセールスマンを無視することにした。

 スパゲッティーを煮込んでいる鍋の横で、フライパンの中に刻んだトマト缶を注ぎいれる。


 ふふん、と器用に両手を動かしながら、夕食の準備も順調である。


 キンコーン――とまた呼び鈴がなった。


「しつこいのねえ。さっさと帰れば?」


 あのセールスマン。諦めずに、まだ玄関前にいるらしい。


 スパゲッティーの硬さは、もう少し煮れば丁度言い感じだ。

 モグモグと一本を飲み込んだ亜美は、トマトソースもかき混ぜる。塩をもう少し入れて、ちょびっとハーブも入れ込んで、

「うん、いい感じっ」


 スパゲッティーの麺の硬さもOKである。両方のコンロの火を止めて、スパゲッティーの麺をザルに移しかえる。


 オリーブオイルを垂らして――


 キンコーン!


「しつこい男ね。まだ諦めないの。呼び出しにでないってことは、でたくないってことなのよ。そこら辺の理由くらいわかりなさいよね」


 気分よく料理中の亜美を邪魔して、まったくムカつく奴だ。


 キンコーン、キンコーン!


 これだけ言っているのに、まだ判らないらしい。


 キンコーン、キンコーン、キンコーン!


 なんでもかんでも、呼び鈴を鳴らせばいいと思っているのだろうか。ムカつく上に、礼儀も知らないときている。


 キンコーン、キンコーン、キンコーン、キンコーン!


 さっきよりも、段々と、相手の行動がエスカレートしてきている。


 あっちもムカつくままに、家の呼び鈴を鳴らすようだった。


「うるさいわね――」


 キンコーン、キンコーン、キンコーン、キンコーン、キンコーン――


 呼び鈴が連打で押され続けて、プチンと、亜美の堪忍(かんにん)(ぶくろ)の緒が切れていた。


「うるさいわね! 呼び鈴にでないってことは、家にいないのよ。さっさと帰りなさいよ」


 応答のボタンを押した亜美が、一気にそれを叩きつけていた。


 玄関前に立っている若い男が、その顔をカメラの方に少し近づけてきた。


 画面に映る顔は、まだ若い男である。暗くなり出しているとは言え、亜美の前に出されたその瞳は、空の色が透けて見えるほどに真っ青な蒼い瞳だった。


「アミ・サトウ?」


 見知らぬ男は亜美の名前を知っているらしい。


「セールスならお断り。さっさと帰って下さい」


 ブチッと、亜美はインターホンのスイッチも切っていた。黒くなった画面を満足げに見やりながら、またキッチンに戻りだす。


 まだ一歩しか足を進めていないのに、またも、キンコーン、キンコーン、キンコーン(連打の数々) と、耳うるさく呼び鈴が鳴らされた。



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更新は、2週間に一度程度を予定しています。


Siyabonga ngokufunda le noveli

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