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提示された第一の手段

「要はまぁ、肝心のヨットクルーが『お嬢さんには付き合いきれない』と言ってけんか別れになっちまったんで、なんとかして飛行機だの何だの『化石燃料を動力にしない物』を使ってアメリカに行きたいと」

「ええ、そうなんですよ。それで"裏庭の科学者協会"の皆様方のお力をお借りしたいと思いまして、はい」

「ま、そういうことでしたらお引き受けいたしますが」

「江入さん、簡単に受けて良いのかい?」

「国さん。我々の発明はこんな時のためにあるのではないのかね。こんな時じゃなきゃ、我々の成果をおおっぴらに発表できないじゃないか」

「そりゃそうだけども」

「力を貸していただけるのですが?」

「もちろん」

マネージャーの問いに明確に応えた灰人は

「じゃ早速」

と言いながら裏庭に消えていった。

しばらくして、つなぎ服-"裏庭の科学者協会"の代表である田中(たなか)義人(よしと)が作った超軟式パワーアシストスーツ-に着替えた灰人が集会室の裏庭にみんなを案内した。

そこには、電話ボックスのような物が二つ置いてあった。

「江入さん、これは確か……」

「そう、電話回線使用式物質転送機。これを作ったのは良いが、使い道がなくて倉庫にしまったのを思い出したんだ」

「うまく動くと良いんだが……」

そうつぶやきながら、灰人は一方にクラッシュダミー人形を入れてドアを閉め、もう一方が空なのを居合わせたみんなで確認した上でドアを閉める。

そして両方の機械のスイッチを入れて、クラッシュダミーを入れた側の機械にある"送信"ボタンを押した。

のぞき窓越しに見えたクラッシュダミー人形がだんだんと実体が見えなくなっていき、やがて完全に見えなくなった。

しばらくして空の箱ののぞき窓から、クラッシュダミー人形が見えた。

やがて「転送終了」と言う言葉と共に両方の箱が開き、クラッシュダミー人形を入れた箱は空になり、空だった箱にはクラッシュダミー人形が入っていた。

灰人がみんなに「何のごまかしもしてません」とアピールするように箱を開けてクラッシュダミーを取りだし、型番が同じ事を一同で確認する。

「やったぞ!成功だ!!」

灰人が思わず快哉を上げる。

「これなら、化石燃料を使わずとも太平洋を横断できますね」

通訳兼マネージャーが一言添えた。

「で、これどうやってアメリカまで持っていくの?」

少女が至極まっとうな指摘をして、

「そりゃ、これ自体を電送するわけには行かないから飛行機で空輸して……あ゛」

灰人が少女に返答をしている途中で矛盾に気がついて思わず絶句した。

「それじゃ意味ないでしょっ!」

激高する少女に背を向けて灰人と突貫斉は思わず愚痴をこぼす。

「「これだから最近の若いもんは……」」

それを聞いた少女が激昂した。

「良くもそんなことが言えるわね!」

「と言われましても……。そう言えば国さん、『アレ』があったじゃないの」

「ああ『アレ』ね」

「皆さん。町外れにある試験場に行きましょう。そこに『アレ』がありますので」


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