仮面優等生
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
どす黒い、子供の本音。
可愛くない、子供時代。
大人に喧嘩売った、私自身への皮肉を交えた耽美奇譚です。
【キーワード、媚びを→媚を】 先生達は、大人達は知らない。子供という生き物を、女という生き物を、何一つ知らない。いや、自分の偏見に身を任せ、知ろうとしないだけかも知れない。それはとても幸せな事なのかも知れない。何れ、寝首を掻き切られれば良いと思う。
この、不公平な世の中で生き抜く為には、演技と嘘が必要不可欠だった。お道化とお化粧の仕方を学ぶ必要があった。やりたくない事も笑顔で受け入れて、納得出来ない事でも肯定して、大人達に取り入る必要があった。
其れが出来ない子達は、皆大人達から標的にあった。目の敵にされていた。私はそんな愚かな真似はしない。上手に取り入って、上手く利用して、使い潰してやる。
今日も言われた事は忠実に、逆らわず、ただ機械的に熟す。余裕があれば媚びを売る。餌を強請る猫のように。そうしていたら、獲物が一人、引っ掛かった。
「――さんはとてもいい子ね。皆も見習うように」
はにかんだ笑顔で謙遜し、直ぐにその場を後にした。
今の笑顔は何点だろうか? 七十点? 八十点? 百点とは言えない。本気でやるならもっと頬の上に乗った紅を増す必要がある。瞳を潤ませる必要がある。まだ、まだ足りない。
そうして優等生の座を欲しいままにして、公立の中学校へ。此処でも似たような事ばかりしていた。けれどもこの頃になると皆、お道化とお化粧が私のように上手くなっていた。それは先生立達に限らず。友達の間でも。
皆、友人間の間でも仮面を被せた。対面して悪口を言うことはない。陰で悪口を叩くのだ。大人になった。余りにも早く、私達は大人になった。
ある時、文化祭での体験実習に子供が一人。自信が無いようで、はにかんだ笑顔で、私に全ての選択権を委ねてきた。何時もの笑顔で対応し、良質な作品が出来た。当たり前だ。殆ど私が作業した様なものなのだから。
ふと、自分があの子供の笑顔に惑わされ、利用されているのに気が付いた。すべて終わった後に、利用された事に気が付いた。あぁ……私も……見下して来た大人の一人になったのだ。
「利用して大人になったの筈の癖にね……」
私の呟きを聞くものは誰一人として居なかった。
やたら嘘つきに付いて書くことが多いのですけど、それは幼少期に帰すると言いますか。
大人に気に入られる為には、良い子で居なきゃいけないんです。
嫌だと思っても、我儘一つ言わずに受け入れなくてはならないんです。
そうして気に入られるように振る舞うのって、嘘つきと大して変わらないなと。
他の子がどうだったかは知りませんが。
子供って、大人が考えている程甘く無いと思うんですよ。
私達が考えているよりも、ずっと賢くて渡り方を知ってそうです。上手く隠してるだけ。
大人という立場に胡座書いてる私からの感想です。
耽美奇譚のシリーズは
「胡蝶が好きそう」
に限ります。