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東京タイクーン  作者: ゴルゴンゾーラ
7/18

メンバーの一人が出頭してきた?

人はいつか死ぬ。

どんなに金持ちでも貧乏人でも、死は平等にやってくる。


(俺は宇宙人に殺されて死ぬのか。そんなことってある?)


(こんなことなら、仕事なんて辞めて実家の埼玉に帰っとけばよかった)

(埼玉県民なら、救世主に選ばれなかったよな?)

(ってか、選ばれるのホントに都内最強の5人なのかよ?)

(宇宙人の有利になるように、俺みたいな虚弱な奴らを選ぶのでは?)


洋一は生まれつき、ひとつのことをじっくり考えることができない。

さきほどまで「逃げ出す方法」を考えようとしていたが、それは長続きしなかった。


「し、新橋さん落ち着いてください。そんなにウロウロされると、落ち着きません」

佐藤は洋一が逃げ出すのを心配しているのだろうか。

洋一の様子を注意深く見守っていた。


部屋のドアの外には例のサングラス男が見張っている。


(俺が自殺するのも心配なんだろうな)

(最上階のスイートルームってのも、実際、逃げにくい環境かも)


洋一はウロウロしながら、テレビのスイッチを付けた。


「えー、こちら、ホテルリターン前です。救世主の一人がこちらに滞在しているとの情報を得ました」


(なにっ!?もうそんな情報が出回っているのか)

洋一は驚いて、窓辺に駆け寄った。


25階。

最上階のスイートルームなので、転落防止のため、窓は大きく開かない。

下の様子はよく見えないが、外をヘリコプターが飛ぶ音がかすかに聞こえる。

(あのヘリは、マスコミなのか!?)


「救世主の一人の情報が入りました!えー、救世主は新橋洋一さん、25歳。繰り返します。新橋洋一さん、25歳」


「うわ!俺の個人情報が......」


洋一は驚いて、テレビのほうに戻る。


高校の卒業アルバムの写真が、テレビにアップで映し出される。


「ちょっ、その写真は無いだろう!」

洋一はテレビに向かってツッコミを入れた。


アルバムの写真は、運悪く、半目になった間抜け面だったのだ。


(くっそ!よりによってあの写真!しかも何年前の写真だよ)


「えー新橋さんは、卒業アルバムにこう書いています。将来の夢は、ニート、何もしないひと......だそうです。スタジオにお返しします」


(やめてくれよぉぉぉう。全国に、生き恥をさらした!)

洋一は、頭を掻きむしった。


そのとき。

佐藤のスマホが鳴った。


「はい佐藤。......うむ。うむ。なにっ!?それを早く言え。わかった」


佐藤はスマホを置くと、洋一の方に視線を向ける。


「新橋さん、朗報です。能力者の一人が出頭しました」

「出頭!?一度は逃げたけど、自分からまた現れたってことですか?」


「そうです。さきほど、朝比奈 萌絵さんという女性が交番に出頭したようです」

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