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東京タイクーン  作者: ゴルゴンゾーラ
6/18

戦いの開始は3日後

「えー?ほとんどのメンバーはまだ見つかってない!?」

洋一は、驚いた。


「なにやってるんすか!もう捜索が始まって数時間経ちますよね?政府の力なら簡単じゃないんですか!?」


洋一を捕まえた背の低い中年男、佐藤は首を振った。

「数人に逃げられましてねぇ」

「もしかして、サングラスに黒いスーツで行きました?」

「はぁ、行きました」

「そりゃ、逃げられるでしょう。次から宅急便の格好で行ってください」


佐藤は目を丸くする。

「なるほど!さすが、救世主さま」

洋一は呆れる。

「それくらい、誰だって思いつきますよ!」


洋一と佐藤がしゃべっているのは、都内にある「ホテルリターン」だった。

このホテルは今回、救世主のために貸し切りとされている。

ホテルの最上階、スイートルームのひとつが洋一の部屋となった。


「はぁ~~、どうしようどうしよう」

もともと、落ち着きのない洋一は、さらに落ち着きを失い、部屋を行ったり来たりしていた。

「あっ、友達からのラインに返事しなきゃ。いやっ、親に連絡するのが先か?」


「新橋さん、落ち着いてください。まぁ座って」

佐藤は、ソファに座るように洋一を促す。


「それで、俺はいつ、能力に目覚めるんですか?」

洋一はようやくソファに腰を下ろすと、不安げに佐藤を見つめる。


「救世主たちには、この錠剤を飲んでいただきます」

佐藤は、小さな小瓶を上着の内ポケットから出した。


「宇宙人が言うには、これを飲むと能力に目覚めるらしい」


「やった!じゃあ、後のメンバーが逃げ続ければ、永遠に戦いは始まらないじゃないですか」


「そう甘くないんです。戦いの開始は3日後と決められてしまいました」


「そそそんな。メンバーが集まらなかったら?」


「あなたは一人で闘うことになるでしょうなぁ」

「え~~~~~またまたぁ」

アハハハハハハ、、、、

洋一は信じたくなくて、笑い飛ばす。


だが佐藤は、眉間にシワを寄せ、神妙な顔をし続ける。


「はぁ~ん、そうなんですね~。宇宙人5人と俺一人が闘う?ふぅ~ん」

(ここから逃げる方法はないだろうか?)

洋一は頭をフル回転させていた。


どう考えたって、宇宙人と真っ向から勝負するより、逃げ続けたほうが得策じゃん。


「新橋さん、この錠剤を飲んでしまいませんか?」

佐藤は小瓶を、洋一の目の前のローテーブルに置いた。

小瓶の中には、水色のカプセル状の薬が入っている。


「いや~、まだ心の準備がね」

「早めに飲んで、超能力を操る練習をしなくては!」

「う~ん。ちょっと今、花粉症気味で体調も悪くって」


洋一はなんとか逃れようと苦しい言い訳をした。

能力に目覚めてしまったら、もう戦うしかなくなる!


なんとか先延ばしにしなくては。

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