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東京タイクーン  作者: ゴルゴンゾーラ
13/18

救世主がそろった

「なんで、あたしが救世主なんだよ!」

佳代子はそんなふうに叫びながら、政府に捕まった。


佳代子は家から飛び出して逃げ回ったが、

パトロール中の警官に見つかり、あえなく確保。


それでも72歳とは思えない俊敏さで、警察も舌を巻いていた。


一方、川田守はと言うと、キャバクラの女の家に

かくまってもらっていたが、その女が警察に密告。


「まもるっち、ごめ~ん。悪いけどぉ、地球のために闘ってきてぇ~」

キャバクラの女は川田に向かって、両手を合わせて

「救世主さまぁ」と拝んだ。


「ちょい、ちょい、りなタン。そりゃないよ~」


そんなわけで、とうとう救世主が5人揃った。

5人は、都内の「ホテルリターン」に集まり、それぞれ自己紹介をしていた。

戦いの2日前。

午前10時のことだった。


ようやくだ。

佐藤は5人の救世主を揃えたことで、

とりあえず一安心していた。


「アークデンキ販売員の新橋洋一です」

「あ、あたしは、倉庫で働いている朝比奈萌絵っていいます」


「若造ばっかりじゃないか。

あたしが救世主っていうのは、やっぱり間違えじゃないのかい?」

佳代子が、不機嫌に佐藤のほうを見る。


佐藤はタブレットを見ながら言う。

「田辺佳代子さん。72歳。間違いないです」

「ちょっと!みんなの前で年齢を言うこと無いじゃないか」


「俺は、川田守。生命保険の営業マンなんだけど

みんな死亡保険には入ってる?

宇宙人と闘って死んだ場合、てのは、保険おりるかビミョーだけど」


一人自己紹介もせずに、ソファにふんぞり返っている男がいた。

刑務所にいた桜田海斗だった。

どうやら桜田は、他の連中に挨拶する気はないらしい。


佐藤が変わりに

「彼は、桜田海斗さんです」

と紹介する。

桜田の異様な雰囲気にみなは黙り込む。


「さて、朝比奈さんと新橋さんはもう飲みました。

みなさんもこの錠剤を飲んでください」


例の超能力に目覚める錠剤を佐藤は救世主たちに配った。


「血圧の薬も飲んでるんだけど。

飲み合わせは、大丈夫かねぇ」

佳代子が佐藤に聞く。

「さぁ......どうなんでしょう」

佐藤は困っている。


「しかし、この薬を飲まないと

あなたがたは、いわゆる丸腰状態で宇宙人と闘うことになります。

武器を持たずに素手で戦うようなものです。

早いところ飲んで、能力に目覚め、訓練をしなくては」


「素手で戦うようなもの」

このワードが救世主たちの心に刺さった。

皆は次々と、錠剤を飲み下す。


意外なことに桜田も、抵抗せずに薬を飲み込んだ。

実は彼には、「ヤクザの組織」から密かに命令が下っていた。


「救世主として一人だけ生き残れ。

そして政府から金をふんだくるんだ」

というような命令だった。


桜田は、戦いの終盤の方で、

他の生き残りの救世主もドサクサに紛れて

殺すつもりでいた。

アメリカのヒーローマイケルのように

一人だけ生き残り、大金をせしめる計画なのだ。


ただし、戦いが不利になるのは困るので、

初っ端から仲間を殺そうとは、もちろん思っていない。


他の奴らにも、宇宙人殺しには協力してもらう。

そしてある程度、勝利の確信をつかんだところで

仲間も殺してしまおう。

そういう算段だった。


(だがどいつもこいつも、弱そうなやつばかりじゃねえか

ばぁさんに、ヒョロガリの電気屋、それに保険の色男

あとは、ちょっと可愛い姉ちゃんか......)

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