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東京タイクーン  作者: ゴルゴンゾーラ
1/18

戦いのなかで

燃えさかる炎。


洋一は萌絵のほうに手を伸ばす。

「萌絵!こっちだ」


萌絵は洋一の手を必死でつかむ。

「一緒に逃げよう」

二人は手と手を取り合って、長い廊下を走り抜ける。

出口はもうすぐのはず。


はぁ、はぁ、はぁ。


「洋一、もう走れない。足首が痛む」

萌絵が立ち止まってしゃがみ込む。

「もう少し頑張って。あと少しだから」

「置いていって。洋一にまで死んで欲しくない」

萌絵は、涙をいっぱいためた目で、洋一を見上げた。


どうして、こんな立場で、こんな風に、俺たちは出会ってしまったんだろう。

普通に出会えていたら、どんなに幸せだったか。


「だめだ。死ぬなら一緒に死のう」

洋一は萌絵を立ち上がらせ、ぎゅっと抱きしめる。

「洋一」


「さぁ、俺がおぶっていくから」

洋一はしゃがみこみ、萌絵に背中を向けた。

「ほんとうにごめんなさい」

萌絵は、洋一の背中にしがみつく。


洋一は、ガリガリに痩せて非力だった。

だが歯を食いしばり、踏ん張る。

彼の両足は生まれたての子鹿のように震えていた。

しかし、なんとか立ち上がることができた。


とてもじゃないが、萌絵をおぶって走ることはできそうになかった。

彼はゆっくりと一歩ずつ、出口へ向かって歩みを進めた。



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