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百从(ひゃくじゅう)のエデン  作者: 葦田野 佑
第五章  嘴人 と 鱗人(はしびと と うろこびと) 篇   第一節 「巨樹の本末」
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◆ 百从名鑑 【登場人物紹介】 第五頁 嘴人と鱗人 篇 ◆

 本項「百从名鑑ひゃくじゅうめいかん」は、『百从ひゃくじゅうのエデン』に登場するキャラクターのプロフィールをまとめた人名録です。


獣人ししびと」と呼称する本作の登場人物は、地球上に暮らす動物をモチーフとしております。

 描写から想像していただければ何よりですが、拙文ではその特徴や魅力を十分に形容し尽くせません。

 簡単な紹介とともにモチーフとした動物を記載しますので、予備知識として必要な読者さまはこちらをご覧になった上で本編へお進みください。

 紹介文には物語の展開や重要な部分が含まれておりますので、ご不要の方は本項を飛ばして本編をお読みくだされば幸いです。


 ※モチーフになった動物の画像の掲載されているウィキペディア(英文)のURLを併記しますので、よろしければそちらもご参照ください。




   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




エデン(Eden):

このお話の主人公である少年。


記憶を持たない状態で目覚め、あてどもなくさまよい歩いていたところを彪人のアシュヴァルに拾われる。

彼のもとで生き方や人としての強さを学び、よく似た姿の持ち主である少女ローカと共に、自身の出自と由来、失われた過去と記憶を取り戻すための旅に出た。

彪人の里を発って幾多の種の暮らす自由市場へとたどり着いたのちは、自らを呪われた血統の持ち主だと語る蹄人の男女ラバンとラヘルのもとに身を寄せる。

ローカと共に自由市場で暮らすうち、世界各地を旅して回る行商人である嘴人のマフタやホカホカ、学ぶ機会を持たない子供たちに学問を教える先生、そして自身やローカとよく似た姿形を有した少女シオンと出会った。

こつぜんと姿を消したローカを連れ戻すため、シオンと共に自由市場を離れてはるか北の大地にあるという人類発祥の地「大伽藍だいがらん」を目指す旅に出たのち、流浪の楽団シェアスールとの邂逅を果たす。

楽士であり歌姫でもあるマグメルを道連れに加え、「都」と呼ばれる東の大集落を次の目的地に定めて街道を進むが、その途中で吠人たちの暮らす草原に迷い込んでしまう。

吠人の長代行を務める少女カナンとの出会い、若き吠人ユクセルとの衝突、「技比べ」と呼ばれる競技会への参加などを経て、カナンを旅の仲間に加えた。


外見はこの世界に暮らす他の人と大きく異なっており、身体全体を覆う被毛や鋭い牙や爪、角といった器官も持ち合わせていない。

楽団シェアスールの団長であるインボルクから「間人はざまびと」の呼称を提案されて以降は、稀有の種である自身らをその名で呼んでいる。

温厚な性格で他者への共感性に優れる半面、突然思い立ったように行動する向こう見ずな面も持ち合わせている。

戦うための力や手にした剣を扱う技を持たないが、目の前で誰かが傷つくところを見過ごせずにあらん限りの勇気を振り絞ることも。

彪人の女たちに見立ててもらった旅装に、異種殻を鍛えた「祀火ホーマの剣」を携える。

伸びた髪はローカの残した紐細工で結わえている。


モチーフになった生物:ヒト

https://en.wikipedia.org/wiki/Human




ローカ(Loka):

このお話のもう一人の主人公である少女。


先生の蔵書の一冊から何らかの情報を知り得てしまい、突然エデンの前から姿を消した。




シオン(Sion):

自由市場の準市民区に暮らしていた学者見習いの少女。


エデンが出会った自身によく似た姿を持つ二人目の少女で、姿を消してしまったローカを追う旅に同行を申し出た。

師であり育ての親でもある先生の意志を継ぎ、世界と人類発祥の地である大伽藍を自らの目で見ることを望んでいる。

冷静で理知的な性格に見えるが、短気で子供っぽい部分も目立つ。

本人は努めて理論家であろうと心掛けてはいるものの、本心を隠し切れずに感情を表に出してしまう場面も少なくない。

幼い頃から学問とともに先生から教えを受けていたため、弓矢の扱いにも長ける。


桂皮や丁子を思わせる褐色の肌と漆黒の髪が特徴。

長く量の多い髪を幾つかの房に分けてくくっており、弓を射る際は動きやすいように後頭部でまとめる。

身を包むのは踝ほども丈のあるだぼっとした長衣と帽子で、意匠は先生とおそろいで色は紫色。

極度に視力が悪いため、視力を矯正するために異種殻を加工して作られた眼鏡を掛けている。

ローカ同様に異形の力の持ち主であり、音の波で構成された空間へと身を置くことで、人や物が持つ固有の音をたどることが可能。

使用時の体力の消耗の度合いがローカよりも激しいのが難点。




マグメル(Magmell):

大陸中を旅して回る吟遊楽団シェアスールの楽士である少女。


エデンの出会った自身によく似た姿を持った三人目の少女で、天真爛漫で溌溂奔放な性格の持ち主。

物怖じしない性格で誰とでもすぐに打ち解ける反面、甘えたがりで我がまま、空気を読まずに何でも口にしてしまう部分もある。

蹄人たちの暮らす村では音楽を通じて打ち解け合った友人との別離を経験したのちは楽団を離れ、「なんとなく」という理由でローカを探す旅に同行する。


毛先の跳ねた短めの髪、色は橙に近い明るい茶色、団栗のようなつり目と八重歯が特徴。

体格は小柄で細身、肩紐付きの半袴はんこをはき、丈の短い筒状の上衣に上着を重ねる。

楽士としては縦笛を担当する他、歌においてもその才覚を遺憾なく発揮する。

軽業師のような身軽さと、二本の短剣を器用に扱う技を有し、異種との戦いでは優れた戦士としての一面も見せた。

幼い頃から他者の過去や心象に触れる異形の力を持つが、ローカやシオンのように自身の意志で操ることはできずにいる。




カナン(Canaan):

草原に暮らす吠人たちの長代行を務める狩人。


エデンの出会った自身によく似た姿を持った四人目の少女で、義を重んじる気高い精神の持ち主。

長イルハンによって育てられた拾い子でありながら、他の子供たちと同様に吠人として育てられ、次期の長と目されるほどの成長を見せる。

吠人であることに誇りを持ってはいるものの、常に自身の存在に懊悩している部分もある。

冷静さと激しさを兼ね備えた根っからの戦士気質だが、思慮深い一面も併せ持つ。


吠人の戦士である「狩人」が得意とする槍の扱いに長け、素早い身のこなしから繰り出される一撃は異種の外皮を貫くほど。

背丈はエデンよりもやや長身であり、腰辺りで尾のようにくくった灰黒の髪は膝裏まで伸びる。

立襟で左側に合わせのある瑠璃色の衣装は、動きやすさを重視するため筒状の下衣の片側に深い切れ込みを入れている。

他の少女たちと同様に異形の力を有しているようにも見えるが、その力はいまだ謎に包まれている。




テポストリ(Tepoztli):

樹上集落をすみかとする「東の嘴人」の一人。


嘴人はしびとの中でも、攀人すがりびとと呼ばれる種に属する。

人当たりが良く真面目な性格で、長からの信頼も厚い。

長チャルチウィトルの補佐役として、細かな雑務や来訪者への応対などを行う。


全身を包む黒く艶のある羽毛と顔周りの白い羽毛、青色の瞼に縁取られた宝玉のような瞳と、頭部よりも大きな橙色の嘴が特徴。

身にまとうのは穴を空けた一枚布をかぶる簡単な作りの貫頭衣。


モチーフとした動物:オニオオハシ(トゥーカン)

https://en.wikipedia.org/wiki/Toco_toucan




チャルチウィトル(Chalchihuitl):

大森林の樹上集落をすみかとする「東の嘴人」たちを治める長。


嘴人はしびとの中でも、攀人すがりびとと呼ばれる種に属する。

光の加減で緑色にも青色にも見える美しい羽毛と、地を擦るほど長い尾羽を持つ。

歩くときは常に尾羽を持ち上げる侍従を随伴させている。


本来は争いごとを嫌う気高く穏やかな性格で、他の東の嘴人の例に漏れず本人も踊りを好む。

複雑な刺繍の施された貫頭衣を身にまとう。


モチーフとした動物:カザリキヌバネドリ(ケツァール)

https://en.wikipedia.org/wiki/Resplendent_quetzal




トラトラツィニリストリ(Tlatlatzīniliztli):

大樹を守る衛士たちを率いる「衛士長」。


嘴人はしびとの中でも、雉人きぎすびとと呼ばれる種に属する。

集落随一の勇者であり冷静沈着な性格の持ち主で、衛士たちの指南役も務めている。

空中から槍を投擲する戦い方を得意とし、戦闘時は槍担やりかつぎと呼ばれる衛士見習いを随行させる。

そのすさまじい戦いぶりから「雷公らいこう」の異名を取る。


胴部の羽毛は褐色で翼は赤みを帯びる。

青色の皮膚が露出した頭部から伸びる冠羽は長く、後方に向かって反り立つほど。

胴の脇を紐で結ぶ形の貫頭衣を身に着けている。


モチーフとした動物:ツメバケイ(ホーアチン)

https://en.wikipedia.org/wiki/Hoatzin




落羽おちばね(Apteros):

樹上集落を追放された隠者。


嘴人はしびとの中でも、雉人きぎすびとと呼ばれる種に属する。

大森林の片隅に位置する小屋で隠遁生活を営んでいる。

落羽という蔑称を気に入り、本名であるイルウィカトル(Ilhuicatl)の名は捨てている。


以前は嘴人たちに伝わる神話や歴史、医学や薬学などを学ぶ研究者だったが、片翼の腱を斬られて飛行能力を奪われている。


モチーフとした動物:オオホウカンチョウ

https://en.wikipedia.org/wiki/Great_curassow




大樹を守る番兵たち:

金色の羽毛のコスティク(Cōztic )と銀色の羽毛のイスタク(Iztac)は、似た者同士の義兄弟。


嘴人はしびとの中でも、雉人きぎすびとと呼ばれる種に属する。


モチーフとした動物:キンケイ、ギンケイ

https://en.wikipedia.org/wiki/Golden_pheasant

https://en.wikipedia.org/wiki/Lady Amherst's pheasant




衛士長を補佐する嘴人たち:

熱血漢である赤色の羽毛のトレトル(Tletl )と冷静沈着な青色の羽毛のセクトリ(Cectli)は、正反対の性格をした親友。


嘴人はしびとの中でも、攀人すがりびとと呼ばれる種に属する。


モチーフとした動物:アカコンゴウインコ、ルリコンゴウインコ

https://en.wikipedia.org/wiki/Scarlet_macaw

https://en.wikipedia.org/wiki/Blue-and-yellow_macaw




テクシストリ(Tēcciztli):

樹上集落に暮らす孵卵役。


嘴人はしびとの中でも、游人すさびとと呼ばれる種に属する。

心優しく穏やかな性格の持ち主で、次世代のために日々卵の世話に勤しんでいる。


モチーフとした動物:マゼランチドリ

https://en.wikipedia.org/wiki/Magellanic_plover




ネフリティス(Nefritis):

岩窟集落をすみかとする「沼の鱗人」たちを治める長。


鱗人うろこびとの中でも、抓人かきびとと呼ばれる種に属する。

磨き込まれた緑色の鱗が特徴で、細身でしなやかな身体を持ちながらも戦士としての力は集落一。

自ら陣頭に立って兵士たちを率いる。


モチーフとした動物:アオキノボリアリゲータートカゲ(アブロニア)

https://en.wikipedia.org/wiki/Abronia_(lizard)




カプニアス(Kapnias):

「沼の鱗人」の兵士たちを率いる「兵士長」の一人。


鱗人うろこびとの中でも、顎人あぎびとと呼ばれる種に属する。

三人の兵士長の中では積極的な攻撃の任務を得意とし、極めて高い戦闘能力を持つ。

沼の鱗人の中でも随一の巨体の持ち主であり、ネフリティスに次ぐ実力を有する。

鱗の色は黒い帯模様の入った黄褐色。

先端に向かうにしたがって細くなる長い口吻、背面に規則的に並ぶ大型の鱗、太く長い尾が特徴。


モチーフとした動物:オリノコワニ

https://en.wikipedia.org/wiki/Orinoco_crocodile




オフィオイディス(Ofioeidís):

「沼の鱗人」の兵士たちを率いる「兵士長」の一人。


鱗人うろこびとの中でも、它人くちなわびとと呼ばれる種に属する。

三人の兵士長の中では臨機応変な遊撃の任務を得意とし、三叉戟以外に自らの分泌物をまとわせた吹き矢による暗殺能力を有する。

頭部から胴部までが一本の縄のような細長い身体から伸びる手足は短く、素早く歩く際は足を使わずに胴をくねらせるようにして進む。

鱗に覆われた茶褐色の肌には菱形の斑紋が並び、頭部の脇に走る黄色の横線が特徴。


モチーフとした動物:チュウオウアメリカハブ(テルシオペロ)

https://en.wikipedia.org/wiki/Bothrops_asper




ヴァサルティス(Vasáltis):

「沼の鱗人」の兵士たちを率いる「兵士長」の一人。


鱗人うろこびとの中でも、蔵人くらびとと呼ばれる種に属する。

三人の兵士長の中では徹底的な守備の任務を得意とし、両手に盾を持った鉄壁の守りで敵を迎え撃つ。

鱗甲で覆われた鱗人の中でも、穹窿きゅうりょう状の「背甲」と呼ばれる硬質な鱗を背に負っている。

持ち前の鱗に加えて全身を装甲で覆っているため動きは鈍重だが、圧倒的な防御力は生半可な攻撃を受け付けない。

身体の前後を覆う甲羅や巨体に比して小ぶりな頭部は褐色、手足には黄や橙の斑紋を有する。


モチーフとした動物:キアシガメ

https://en.wikipedia.org/wiki/Yellow-footed_tortoise




カマル(Qamar):

安住の地を求めて大陸を流れ歩く渡り者。


潤人うるかびとの中でも、蛙人くくびとと呼ばれる種に属する。

エデンの膝丈ほどしかない小柄な体格ながら、口が悪く好戦的で血気盛ん。

同じく蛙人のヒラール、バドルとはおたまなじみの関係で、軽口をたたきつつも信頼を寄せ合っている。

頭部から胴部は赤、手足は青と、色鮮かな二色に分かれた身体を有する。

敏捷性に優れ、自身の分泌物である毒を塗った短剣を両の手と舌で自在に扱う。

ヒラールやバドルの口ぶりから、高貴な生まれであることをうかがわせる。


モチーフとした動物:イチゴヤドクガエル

https://en.wikipedia.org/wiki/Strawberry_poison-dart_frog




ヒラール(Helal):

安住の地を求めて大陸を流れ歩く渡り者。


潤人うるかびとの中でも、蛙人くくびとと呼ばれる種に属する。

頭脳明晰で常に冷静な知性派であり、カマルを補佐する侍従を務める。

無駄な肉のそぎ落とされた痩身と、世にもまれな半透明の皮膚の持ち主で、周囲の景色に溶け込む「隠形おんぎょうの秘術」を得意とする。

自ら戦いに臨むことは稀だが、有事の際は手の平に握り込んだ一対の「隠し爪」を扱う。

カマルのことは「若」と呼び、その我がままぶりに手を焼きつつも絶対の信頼を寄せている。


モチーフとした動物:グラニュローサ・アマガエルモドキ(グラスフロッグ)

https://en.wikipedia.org/wiki/Cochranella_granulosa




バドル(Badr):

安住の地を求めて大陸を流れ歩く渡り者。


潤人うるかびとの中でも、蛙人くくびとと呼ばれる種に属する。

小柄な体格を持つ者の多い蛙人だが、エデンが見上げるほどの巨体の持ち主。

跳躍力と巨体に物を言わせた肉弾攻撃を得意としながら、優れた薬師をしての才能を併せ持っている。

カマルを「若さま」と呼んで慕う。


モチーフとした動物:ナンベイウシガエル

https://en.wikipedia.org/wiki/Smoky_jungle_frog



   ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


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