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それでも彼女に踏まれたい。  作者: おしぼり
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最終回「最終決戦、目覚めの時」その4

 目を覚ますといつもの手狭なアパートの部屋の中だった。

 カーテンを開け、日差しを部屋の中へと入れる。

 それにより自分もこの部屋も目を覚ましたような気分になる。

 あれから一ヶ月ほどの時間が過ぎた。

 オロチから元の姿に戻った俺はアイボリーによって連れて行かれた。

 そこで治療を受けながら、事情聴取や身体検査のようなものを受けていた。

 だがいくら体の中を調べても異常は特になかったようで、研究者の人たちも困っているようだった。

 もしかしたらピンクスタンプの浄化能力ですべて消えてしまったのかもしれない。

 ブラックカンパニーの件に関しても、自分の知っている限りのことをすべて話したが、なにぶん証拠が何もないので、それも相手を困らせる原因となっていたようだ。

 結局、しばらく監視が付いたり定期検診に通うようにはなるそうなのだが、日常生活に復帰しても大丈夫だろうと家に帰された。

 会社に連絡すると、かなり心配してくれていた。

 せっかく決まった会社だったのに、無断で何日も休んでもうクビになっているかと思っていたが、復帰できるようになったらいつでも帰っておいでと言ってくれた。

 ホントにいい会社に巡り会えたようだ。

 そんな時部屋のチャイムが鳴る。

 玄関を開けるとそこにはラフな格好の内空閑さんが立っていた。

 

「内空閑さん?」

「おう、元気そうね」

「うん。おかげさまで」

「アンタが退院したって聞いてね。でもアンタが一連の騒ぎを起こしていたウーダッツで、あのオロチだったって知ったときはびっくりしたよ」

「それはごめん。でもいろいろ巻き込まれて」

「いいよ。いろいろあったしね」

「でも内空閑さんがブルーソバットだったって知った時も驚いた。助けてくれてありがとう」

「いいよ。その為に戦ってたんだから。それより、エターナルファイブのメンバーもみんなアンタのこと心配してるよ。特に萌はこの一ヶ月ずっとアンタのこと心配してた。あってあげなさい」

「うん。わかってる」

「、、、いいなぁ、、、」

「ん? 何か言った?」

「ううん。何でもない。もしエターナルファイブのメンバーで飲みに行くときはアンタも誘うからさ。絶対においでよ」

「わかったよ」


 そう言って内空閑沓子は帰っていった。

 

「なんだったんだいったい、、、」


 そうつぶやきながら俺は胡桃さんに連絡をとってみることにした。



 河川敷を歩く。

そこには、土手に座って河のそばで遊ぶ子供たちを見ている美しい女性の姿があった。


「胡桃さん!」

「卯立さん!」


 女性は立ち上がりこちらへと走ってきた。

 

「そんな、胡桃さんがこっちまでこなくても、、、」

「卯立さん、体はもう大丈夫なんですか?」

「はい、もう大丈夫です。おかげさまで何ともないです」

「でも卯立さんだと知らずに、私たちあんなにひどいことを、、、」

「大丈夫です。自分その時、意識なかったんで」

「でも本当によかった」


 心底ホッとしたように胡桃さんは息をつく。


「でも卯立さんがあのウーダッツだったなんて、、、」

「自分もピンクスタンプが胡桃さんだと、まったくきづきませんでしたよ」

「ふふっ、そうですね。お恥ずかしい」

「そうですか? 可愛いと思いますけど」

「そう言ってもらえると嬉しいです。でももう変身する必要はなくなってしまいましたけどね」

「いいじゃないですか。平和なのはいいことですよ」

「それもそうですね」


 胡桃さんはニコニコと笑う。

 彼女の笑顔はやっぱり可愛い。


「あっそうだ卯立さん。お願いがあるんですけど」

「なんでしょうか?」

「もう隠し事は無しにしましょうね」

「うっ、わかりました。じゃあ僕の隠し事、1つ言ってもいいですか?」

「なんでしょう?」

「胡桃さん。いえ、萌さん。アナタのことが好きです。付き合ってもらえませんか?」

「えっ、ちょっと考えてもいいですか?」

「考えるんですね」

「冗談です。いいですよ。こちらこそよろしくお願いします」

「ホントですか。嬉しいです」

「それに卯立さん、いえ、八雲さんがもしまたウーダッツになるようなことがあれば、私がすぐに元に戻してあげられますから」

「極力そのようなことがないようにはしますけど、そのときはよろしくお願いします。思いっきり踏んづけて下さい」

「わかりました。思いっきり踏みつけます」

「嬉しいです」

「えっ嬉しい?」

「いえ、何でもないです」

「ちょっと今、隠し事したでしょ。ダメですよ隠し事は。お仕置きしますよ」

「お仕置き? それはアリかも」


 そんなことを考えながら、俺は心の中にピンク色の何かが芽生えているのを感じていた。



                了


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