05 私、もしかしてピンチです?!
「ああぁ〜生き返るぅうう……」
この時点では大分強い大物『ブルースライム』さんをなんとか撃破した私は、拾ったポーションを開いて頭から浴びていった。
別に外傷はどこにも無かったが、気分はとても安らかなものになった。
回復アイテム様様です。
そして戦ってもいないマックスさんが血を噴いてぶっ倒れていたので、彼の仲間たちは激しく心配していた。
「マックス! おいマックス! どうした! 酷い怪我じゃないか! 誰にやられたんだ!」
「う……うう……ス、スライムが……」
「な、なに⁉︎ スライムだと⁉︎ ……ゆ、許さん! スライムというスライムをこの俺が叩き切ってやる!」
「マックスさん〜しっかりして〜」
マックスさんの垂れ流した血を拭き取って彼らはやるせない怒りに暴れまわっていた。
……違います。私のせいなんです。
私のせいっていうか、元を辿ればスライムさんのせいなんだけど。
真実を語ろうにもなんか更なる誤解を生みそうだから、スライムさんには悪いけど、このままマックスさんの仇としてパーティーから恨まれてもらおう。
一階がドタバタしているのを尻目に、私は2階の部屋で休むことにした。
「さーてステータスステータス」
名前:ミランダ・クロスフィールド
職業:町娘
種族:人間
性別:女
年齢:18
Lv8
HP 41
MP 48
こうげき力: 30
ぼうぎょ力: 14
すばやさ : 42
まほう力 : 30
しんこう心: 29
うんのよさ: 0
きようさ : 35
固有スキル :なし
取得済みスキル
『不屈のタフガイ』、『土人形愛好家』、『幸運の女神』、『武器なきものの魂』、『忍耐の心』、『永久の土人形ハンター』、『お色気』
習得済み特技:『小回復魔法』、『火魔法』
装備
頭防具:花の髪飾り
上半身:かわいいドレス
右 手:銀のブレスレット
左 手:なし
下半身:かわいいドレス
足防具:皮の靴
装飾品:おまもり
相変わらず運の良さは安定の0だが、とうとう初期加入状態のミランダさんにまではレベルを上げ切る事に成功した。
なんかこうしてみるとえらい物理特化したミランダさんになっちゃったが、本業魔法使いの彼女ならいずれ魔力の方に逆転するだろう。
ところで先程魔法を駆使してどうにか倒せたスライムさんだったが、実は『火魔法』にクリティカル判定が出ていたようで、防御耐性を無視して焼き尽くせたようだ。
また、大物討伐に際してなにやらスキルを獲得したらしく、開いてみる事にした。
【スキルを獲得しています】
ジャイアント・キリング
効果:対戦する相手が自分よりも10レベル以上高い場合、戦闘開始時全ステータスが3倍になる【要・非永続効果】
取得条件:自分よりも10以上レベルの高い相手と戦って勝利する。
これは嬉しい。これからの戦いは強敵との死闘が続くことが予想されるからだ。
ちなみにあのスライムのレベルは20であったらしい。
討伐モンスターリストにそう書いてあった。
気まぐれな性格で、積極的に襲ってくることはないそうだ。
あれはじゃれあいの一環であったらしい。
だとしたら退治して申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
仲間の匂いを嗅ぎつけて、遊ぼうとしてじゃれてたら火責めに遭うなんて……。
「いやでもそんなこと言ってられないって決めたばかりだし……なんとしてでも強くなって生き延びないと……」
目標到達レベルまであと4。
そのくらいあればこの周辺の敵とは一通り渡り合えるだろう。
後は地道にコツコツ初心者の部屋でレベルを上げていこう。
次は動く土人形さんでも相手にしよう。
しかし一階に降りた私を待っていたのは、驚天動地の新事実であった。
「おお来たかミランダ。そろそろ出発するぞ。次の目的地は『ガルガンドラ』に決まった」
「な、何ぃ⁉︎」
ここより遥か東に位置する絶壁の登山道――その先に聳える龍国家『ガルガンドラ』。
そこはレベル30超の強敵ひしめく地獄の魔窟であった……。