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47 私、かけだしの戦士です!

「よぉよぉミランダ、それにレイブン。元気そうでなによりだぜ。……ところでよミランダ。また一段と逞しくなったんじゃねぇか? なんかすごいオーラを感じるぞ」


「え、えへへ。そうですかね? マックスさんやスラッシュさんもレベルアップしたんじゃないですか?」


 久しぶりの乙女に向かって出る感想が「逞しくなった」とは。

 まぁ可愛くなったねは百歩譲ってあり得ないにしろ、もうちょっとこう、女の子らしい要素はなかったのだろうか。

 無理もないか。

 今のミランダさんは炎と氷に毒麻痺混乱無効の重戦車。

 ミサイルにダイスになんでもありの、HP・素早さ・防御力四桁台の化け物へと進化を遂げてしまったのだから。


 あの暴君戦よりだいぶ強くなっている。

 もちろんレイブンさんも強くなったのだろうけど、明らかに成長速度というかそういうのに差がありすぎる。

 そりゃあ一目瞭然だろう。

 男子三日会わざればなんていうが、これでは〝漢〟になってしまう。

 もう勇者さんとも合流したし、これからは可能な限りは自重しよう。うん。


「あれ? そのちっこい子は連れか?」


「…………龍人、みたいだな」


 スラッシュくんがぼそりと呟いたように、ジーカちゃんは龍人だった。

 そういやお初になるのかな、私が2人を紹介すべく彼女の前に立った。


「こちらは龍人の女の子、ジーカちゃんです。私たちの目的地『ガルガンドラ』に住んでいるらしいんですが、たまたま私たちと下で出会ったものですから。ジーカちゃん、こっちが私たちの仲間でちょっとはぐれちゃってたんですけど、なんとか再会できました。この人が戦士のマックスさん、あちらの方が勇者のスラッシュさん」


「お前ら。ミランダの仲間だろうが、こいつはジーカの言いなりですから、その仲間ならまとめてジーカに着いてきやがるですよ。いいですね」


「お、おう……」


 いきなりジーカちゃん節全開のパフォーマンスだったが、なんとかマックスさんは大人の対応をした。

 スラッシュくんは内心どう思っていたのか分からなかったが。

 怒ってはないと思う。多分。

 まぁ初対面だと間違いなく面食らうだろうなぁこの態度。

 しかし私の予想を超えて海よりも広い心の持ち主である皆さんは、ジーカちゃんを容易く受け入れていた。


 第六層からは外の景色がちらほら見える。

 覗き込んでみると、大分高いところまで来ているようだ。

 ここまで決して『安全』とは言い難い旅路であったが、いかんせん唯一の侵入経路なので、一気に登り切るしかない。

 半分だったパーティーがフルメンバーになったことで、敵さんもいよいよ本気を出してくる。

 中ボスだった黄金竜さんをちょっと大きめにしてくすませたようなドラゴン、『大地竜(グランド・ドラゴン)』さんが出現する。

 彼らの最大の特徴と言っていいのが世にも珍しい『地属性』攻撃を使ってくることだ。

 地属性は対策手段の少ない属性攻撃だ。

 守備力を無視して岩石をバンバン投げつけてくるので、もう痛いのなんの。

 耐性持ちのジーカちゃん以外はダメージを受けることになった。

 素の攻撃力や守備力も高いが、こちらはまだ何とかなる。

 厄介な岩石攻撃に対しては、カウンターで乗り切る事にした。

 だが、度々不意打ちで襲ってくる分にはどうしようもないところがあった。


 もう『小回復魔法』では回復が追いつかないな。

 全体回復魔法が欲しくなるところだが、まだ誰も習得していない。

 仕方ないので数少ないハイポーションに手を出す事にした。


「すまねぇミランダ」


 どうせ出し惜しみしていても袋の肥やしになるだけだ。

 ポーションや小回復魔法だけで個別回復してもいいが、それだと最終的に回復が足りなくなる。

 全員の傷が瞬時に癒えていくと、再び上へ向かって突き進んでいった。


「そうだ。マックスさんに教えてほしいことがあるんですが……」


「ん。どうしたミランダ」


「マックスさん、戦士として歴長いですよね。剣での『全体攻撃』を教えてほしいのですが……」


「なんだそんなことか。『なぎはらい』とかそんなのだろ? お安い御用だぜ」


 やった!

 もちろん直接マックスさんが全体攻撃をここで教えてくれるわけではないが、これで私には『戦士』の『心得』が身についた。


 これ多分親密度関係イベントだったと思う。

 親密度が高いパーティーメンバー同士だと、転職に先んじてそれぞれの職業の『心得』を教えてもらえることがあるのだ。

 マックスさんなら『戦士』の、レイブンさんなら『魔法使い』の。


 プレイヤーキャラクター=勇者なので、本来はこれ勇者さんが仲間と親密度あげて色々覚えるってイベントなんだけど。

 別にだからといって他の仲間同士で出来ないこともない。

 その場合私がスラッシュくんから『勇者』の心得は学べないけど、一応彼からも習得できる特技はある。

 この親密度システムで本来は習得できない特技が使えるようになったり、割と早い段階でプレイヤーの個性が出るようになってる。


 しかし快速プレイを目指すものにとっては、大抵己がスキル、己が身一つで戦うことになるので、やりこめばやりこむほど周回プレイだと見向きもされない要素になるのが悲しいところだが。


 かくして私はマックスさんから『戦士』の心得を習得し、その後ひたすら迫り来る敵を『剣で』倒していった。


 これも色々条件があって、たしか『戦士』だと『剣』、『斧』、『ハンマー』とかを装備した状態で敵を倒さないと職業としての経験にならないのだ。

 そうして条件を満たして職業としての経験を積むと、その職業固有の特技が習得できるというわけだ。



【ミランダの戦士としてのレベルがあがりました】


 まず50体突破で初レベルアップのアナウンスが鳴り響く。

 続いて特技習得に入る。



【特技を習得しました】


なぎはらい

効果:敵全体に剣による攻撃を行う



 剣装備時にのみこの技が使用可能になり、MP消費無しの状態で全体攻撃が可能になった。

 刀による通常攻撃が全体攻撃になったのだ。

 これは最強である。

 早速覚えたてのこの技で、ドラゴンたちに先手で大車輪攻撃をかましていく。

 攻撃力『210』程度なので一撃では倒し切れない敵もいるが、やりこぼしはジーカちゃんやスラッシュくんがなぎ倒してくれるから問題なし。


 本当はモードチェンジからの守備力全攻撃力にして粉砕していきたいんだけど、それだと一手挟む必要があって時間効率がすこぶる悪い。

 そういうのは処理が厄介な硬めの敵相手に使いたい。

 それに今のままでも火力は十分だ。

 クリティカルも出るし。


 なんだか魔法使い・僧侶ポジションとは思えないほど前線でバリバリ活躍しちゃってるけど……大丈夫だよね。


 めっちゃ攻撃飛んできて全部かわしちゃったけど大丈夫だよね。

 反撃に新しく『なぎはらい』入れておいてよかった。

 これで剣系スキルの恩恵を直に受けられ、懸念だった攻撃範囲も広がったし。

 毎度毎度凄まじい勢いで倒し続けていると、それを見ていたジーカちゃんからある提案を受けた。



「おいお前。その剣で戦うならジーカと一緒に『わざ』やるですよ」


「『わざ』……? もしかして……」


 そう。

 このパーティーでは初となる『連携技』の解禁だ。

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