11 私、ドーピングします!
名前:ミランダ・クロスフィールド
職業:町娘
種族:人間
性別:女
年齢:18
Lv13
HP 70
MP 90
こうげき力: 45
ぼうぎょ力: 32
すばやさ : 78
まほう力 : 60
しんこう心: 70
うんのよさ: 0
きようさ : 66
固有スキル :なし
取得済みスキル
『不屈のタフガイ』、『土人形愛好家』、『幸運の女神』、『武器なきものの魂』、『忍耐の心』、『永久の土人形ハンター』、『お色気』、『ジャイアント・キリング』、『筋肉の加護』、『カウンター』、『雷耐性アップ』
習得済み特技:『小回復魔法』、『火魔法』、『筋トレ』、『マッスルサイクロン』、『まねる』、『覚える』、『氷結魔法』
装備
頭防具:花の髪飾り
上半身:かわいいドレス
右 手:銀のブレスレット
左 手:なし
下半身:かわいいドレス
足防具:皮の靴
装飾品:おまもり
大分まともに戦える強さにこそなったものの、先程のサンダーバッファローのような事が起きれば中々難しいものがある。
あれがもし即死攻撃だったらと思うと背筋が凍りつく。
今の私にはあらゆる状態異常攻撃を防ぐ手立てがない。
いや厳密には1回だけならあるが。
初期装備ゆえ耐性がまるで無いので、集団で即死、麻痺、混乱とか使ってくるやつがでてきたらばたんきゅーする。
いかんせんこちらが『行動不能』系状態異常を患っている時は、頼みの綱のカウンターが発動しないのだ。
そりゃ動けないんだから反応できたらおかしいというのはわかるんだが……。
最低限使用者たる〝私〟の意識が必要という事だろうか。
ちなみにカウンターでは本来消費するはずのMPが消費しないという一見バグのような特性がある。
これで待ちキル戦法とかやれば基本ノーダメージでくぐり抜けられそうだが、先程の戦闘からも発動までの待機時間が長く実戦にはまだまだ改良の余地を重ねる必要がありそうだ。
それにステータスでまだ100を超える能力値が一つもないというのも気になる点ではある。
唯一MPだけ100に届きそうな圏内ではあるが……。
普段のゲームとかならミランダさんのレベルを上げて気に入らない能力値だったらリセットして即レベル上げ〜を繰り返せば最強のミランダさんを吟味できたりするんだが、現実では流石に不可能な手法である。
万が一にも低すぎるステータスアップで今後乗り切らないといけないんだとしたら……。
「………………生ける地獄……」
それから私は例の『サンダーバッファロー』(おそらく別個体)さんに再遭遇し、『雷魔法』を覚える事に成功した。
サンダーの消費MPは8。
これまた嬉しいグループを選ばない全体攻撃なので、今後も重宝するだろう。
雷属性は耐性を持っている敵が少ない。
かくいうサンダーバッファローにも実は効く。
電気を溜める習性があるんだから電気与えたらやばいんじゃないか疑惑があったが、どうやら少々事情が異なるようだ。
そしてまたまた『ウイングホーク』さんに巡り合い、兼ねてより彼の十八番である『竜巻魔法』も覚えさせてもらった。
風魔法ウインドに比べると、トルネードは対象を選ばない強さを持つものの、ダメージにムラがあるという特徴がある。
また前列、中列、後列とダメージが後ろに行けば行くほど少なくなるという欠点もある。
ちなみに魔法によるダメージはステータス『魔法力』と敵の耐性によって決定する。
魔法力はそのまま貫通力とか威力に影響するため、めちゃくちゃ魔法力が高くて相手の防御力を上回っていれば、強引にダメージを与えられたりする事がある。まぁ滅多にないことだが。
着々と持ち駒を増やしていき、私はとうとう薬草の洞窟に到達した。
「あ〜ようやく着いた〜」
その名の通り薬草の洞窟には、様々なタイプの『薬草』がそこら中にゴロゴロしており、入り口からでももう不思議な甘い香りが漂ってくるほどだった。
中に足を踏み入れると、さながらわくわく密林ジャングルと言うような奇妙な色をした草木に囲まれる事になる。
こんな奇抜な見た目をしているが、触れても毒などの害はない。
モンスターも多少は出るらしいが、それよりもここの道中の方がまだなんぼかきつい。
というのもこの洞窟ではほとんどグループエンカウントが発生しないのだ。
最大で精々2匹くらいのものだ。
それにエンカウント率も低い。安心して探索が行えるというわけだ。
追加で嬉しいことに、この洞窟にはHP補強の『スタミナ草』や『スピードキノコ』といったドーピングアイテムも目白押しなのだ。
自生でもしてるんだろうか、よくわからない生態系をしてる洞窟だが間違いなく『薬草の洞窟』を名乗るに相応しいラインナップだ。
「よしよし。毒消し草に麻痺治し、混乱治しに目覚め草……と」
ポーションにまみれていた私のアイテム欄に、新たに回復の草草が詰め込まれていった。
とにかく持てる限り限界まで拾っていこう。
全てを私の、ミランダさんの糧とするのだ。
何が何でも生き残るために。
そうして吸い込まれるよう奥へ奥へ進んでいくと、念願のドーピングアイテム地帯にまで到達した。
「はっ、はわわわわわわ〜! す、すごい! こんなにたくさん‼︎」
あちこちに天然物のドーピングアイテムが生え揃っており、目移ろいしそうだった。
まずは取りやすい『キノコ』からひたすら抜き取っていき、『スタミナ草』を傷つけないようにぽんぽんとむしっていく。
「よーし。取り尽くしたぞー。ほんじゃま、この辺敵も出ないしおやつタイムといきますか」
ドサッと地面に腰を下ろして、私は先程調達した採れたてほやほやの獲物を片っ端から口に放り込んでいく。
スタミナ草の味を一言で語るなら『苦い』。
こう言うと例えが悪く諸君らの気分を害してしまうかもしれないが、なんか汗だくの人から一通り汗を回収してそれに苦虫をすり潰して混ぜたような味がするのだ。
酸っぱいようなニオイと丸薬さながらの苦味の悪夢のコラボレーションといったところだろうか。
しかし背に腹はかえられぬ。生きるためだ糧にしよう。
「ぼえええ……」
次に食す『スピードキノコ』の方はというと……。
味の面はそれほど問題ではないのだが。
「臭‼︎ うげっ臭いよ!」
なんかもう本当に申し訳ないのだが、犬のフンや公衆便所を煮て詰めたようなニオイがするのだ。
こんなもの食べまくって人に会って「おはよう」などと喋ろうものなら余りの異臭に人々は鼻を摘み、私ことミランダさんは歩くスメハラ女として歴史に名を残してしまう事になるだろう。
一刻も早く口をゆすぎたかったが、水らしい水も無いので我慢する。
後で臭いが取れますように。口臭は乙女にとってたいへんデリケートな問題なのだ。
ストレートな言葉のショックもさることながら、自分が相手に不快な思いをさせてしまっていたという事実も追撃で襲ってくるのだ。
精神的ダメージで死別エンド迎えるとか笑えないぞ。
なにせ中の人はミランダさんと違ってクソザコメンタルなのだから。
そうして一通り食し切った私のHP、素早さは共に念願の100を超える事に成功した。
「やったね……うぷ」
ちなみにドーピングアイテムを食してもその後成長段階に影響が出ることはない。
よっていつドーピングするかは完全に個人の裁量に委ねられる。
しかし私自身の体調には影響が見られたかもしれない。
ふらふらと吐き気を堪え千鳥足で歩いていると、背後からガサガサという音がした。
「誰っ‼︎」
まさか、同業者の方々だろうかっ。
背後を取られるとは不覚なり!
私は音の主に向かって勢いよく振り返ってみた。




