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天使のような君に恋をした  作者: 雨のち晴れ
第一章 君を好きになる
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恋のはじまり

 バスを乗り都市部から少し離れた公園を目指していた。河川敷にある公園でサイクリングを楽しむ人やランニングを楽しむ人、カップルの憩いの場として訪れる人は多い。夕日が川に反射して風景がオレンジ色に染まっていた。川沿いのベンチに座りさっき買って来たフラペチーノを飲みながら話すことにした。


「さっきはありがとう」


先に話し始めたのは春奈だった。チューと苺フラペチーノを飲む春奈を見ていた。やっぱり可愛い。


「気にすることはないよ」

「勝利君は優しいね」

「そんなことはないよ。で、話って?」


苺フラペチーノをベンチに置いて顔を近づけてきた。恥ずかしくて俺は顔を逸らしてしまった。


「私のこと覚えてない?」


春奈の真剣な眼差しを感じて頭をフル回転させて今までを振り返る。俺が覚えているのは野球の事ばかり。女の子との思い出は0にちかい。


「ごめん覚えてない………」

「そ、そうだよね」


悲しそうな顔を見せる春奈を見て俺は申し訳ない気持ちになる。俺はチョコフラペチーノって飲む。甘くて少し苦い味だった。


「私ね、勝利君の隣の中学のマネージャーしてたんだ」

「そうなんだ。と言うことは練習試合で会ってるね」


隣の中学つまり春奈の出身中学はレベルが違いすぎてあまり試合をしたことはない。年に一度か二度くらいだったと思う。


「私さ確か転んじゃってその時に勝利君が大丈夫って絆創膏貼ってくれたんだ」

「そんなことあったかな」

「勝利君はやっぱり優しいよ」


少し照れてしまった俺は空を見上げる。カラス達が鳴きながら空と言う大地を駆け抜けていく。少し強めの風が春奈の髪をなびかせる。


「私ずっと勝利君のこと見てたんだ!」


胸がグッと締め付けられた。


「勝利君は本当に馬鹿真面目だよね。誰よりも準備も片付けもするし、仲間を真剣に応援する」

「普通のことじゃない?」

「当たり前なことをできる人はすごいと思うよ。それに、誰よりも努力してた!家の近くの公園ずっとバットを振ったり、壁にむかってボール投げてたし」


中学時代を思い出していた。あの頃の俺は本気で全国制覇を目指していた。それに青龍高校からの推薦をもらうために毎日一生懸命に練習して、自分磨きをしていた。何かに夢中になると一日が終わるのが早い。そんなことを最近気づかされた。俺は人にコソ練しているところを見られるのがあまり好きではなかった。だけど今は俺の努力を見てくれている人がいて、褒めてくれる人がいる。そんなことがなんだか嬉しかった。俺はベンチから立ち上がり、大きく振りかぶって腕を振り下げた。


「ストライク!かっこいいね!」


あの夕日よりも君の笑顔は眩しく見えた。


「もっと春奈に野球してる姿を見せたかったよ」

「もしさ、もしだよ」


少し間が空いてから君が言ったんだ。


「また野球が出来るならしたい?」

「当たり前だよ!」


俺はベンチに座りチョコフラペチーノを飲む。なぜだろう俺の弱った心臓が激しく鼓動を響かせる。まるで俺に何かを伝えているように。


「あ、あのさ………好きな人とかいる?」


少し驚いた顔で「なんで?」と尋ねる君。焦りを隠せていない俺は答えた。


「高校生と言えば恋愛かなぁって思って」

「勝利君恋愛なんて興味無いと思ってた」

「野球馬鹿だしね」


二人でクスクスと笑いあった。


「私好きな人いるよ」 


また胸がギュッと締めつけられる。自分の中でも気づいているんだこの気持ちはきっと。


「もしかして翔飛って人?」

「さっきの話聞いてなかったの?違うよ」


少しホッと安心した。


「私さ、小学生の頃ずっと好きな人がいるんだ」

「へー、すごいね。一途に思ってるんだ」

「うん。でもきっとその子は忘れてるよ」


春奈はずっと遠くの空を眺めているように見えた。届かない思いはきっと辛いだろうな。


「勝利君はいるの?」

「うーん。どうだろうね」

「何それ」

「初恋は小学生の頃だったと思う。でも今は好きって感情がイマイチ分からなくて」


春奈はベンチから立ち上がり言った。夕日のせいか春奈の後ろ姿は眩しく見えた。


「好きになるきっかけはあっても、好きになる理由はないと思う。気がつけば好きになってた。そんなもんだよ」


今でも覚えている。その姿はまるで天使のように美しい後ろ姿だった。絶望の毎日一筋の光が現れたように君は俺の人生を華やかにしてくれたよね。


「そろそろ帰ろっか」

「そうだね」


公園を後にして最寄り駅まで二人で歩いた。隣を歩く君を見って思った。ずっと君が隣にいてくれたらなって。スマホじゃなくて君の手を握りたいって思ってしまうんだ。こんな気持ちは初めてだ。きっとこの気持ちは恋と言うのだろう。俺は君が好きだ。きっと君はこの燃え盛る気持ちに気づいてないよね。


「私ここだから降りるね。バイバイ!」

「おう!バイバイ」


扉が閉まり電車が動き出す。君が見えなくなるまでずっと見ていた。また明日会えるのに寂しくなるのはきっと君に恋してるからだ。この電車のように俺の恋も動き出す。

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