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一なつの恋  作者: 環流 虹向
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12:00

「やっぱり、岩盤浴の後は汗えぐいなー。」


そう言いながら、奏はシャツで風を体に送り冷やしていく。


一「だな。でも酒抜けた気がして気持ち良かった。」


奏「水3リットルも飲むやつ中々いないだろ。驚いた。」


一「飯食ってなかったから水入れるしかない。」


奏「え?朝ご飯食べてないの?お姉さんとこに泊まったって言ってたじゃん。」


昨日、あの女を待つ口実で姐さんの店に行くからと言ってみんなと別れたんだったと思い出す。


一「泊まったけど、姐さん冷蔵庫に調味料しか入れてない。」


これは本当。


この前、俺が酒に潰れた時に家に入れてくれた。

その朝、冷蔵庫開いたらお茶も水もなく調味料しか置いてなかった。


奏「外で買う前提なんだな。」


奏は実家で暮らしてるからいつも冷蔵庫パンパンなんだろう。

ひとり暮らしは自炊しないと買っても腐らせてしまうから無駄になるんだよな。


俺たちはこの時間でも空いていたバルに入って昼飯を食べることにした。


一「アヒージョあるじゃん。」


奏「また熱いの?あ、でもエビ入ってるんだ。食べよ。」


2人で好きな物を頼んで、小さい丸テーブルいっぱいになるほどの料理を頼む。


俺はどこかの国のサッカー試合をぼーっと眺めながら奏と話していると、奏は質問してきた。


奏「一はもう1回進学?それとも就職?」


一「あー…、どうしよ。奏は?」


奏「俺は留学しようかと思ってる。」


…そっか。

まあ、奏は外国の風景描くの好きだからな。

そう思ってたよ。


一「俺も外国行きたいなー。」


奏「旅行?留学?…移住?」


一「それもありだけど、どう稼ぐか分かんないよな。」


確かにな、と奏は薄いピザにかかった大量のチーズに苦戦しながら食べ進める。


奏「俺は一に絵を描き続けてほしいと思ってるよ。」


一「俺も奏に描き続けほしいと思ってる。奏の描いた街、好きなんだ。」


奏「ありがとう。俺も一の男の子の絵、好きだ。」


…やっぱり気づくか。


保育園から一緒で絵の素晴らしさを教えてくれた奏。


俺は風景画は苦手で、奏は人物画が苦手だったからよく合作を描いていた。

だから気づいてしまうんだろう。

一年以上よく黙ってたなと思いながら俺はコーラを飲む。


奏「テストの絵、思い出の雨粒の6割が俺との思い出だからすごい嬉しかった。てっきり女の子との思い出の方が強いと思ってた。」


一「女は思い出よりも触り心地が重要だ。」


奏「…あっそ。彼女作んないの?」


一「いい感じの子いたけど他の男好きっぽい。」


奏「そっかー…。残念。」


一「まあ、邪魔するけどね。」


奏「一らしいな。頑張れ。」


奏は笑って俺の終わりかけた恋を応援する。


俺がいつもくじけそうな時、奏は声をかけてくれる。

俺の顔が勝手に何か言ってるのかもしれないな。


そのまま奏と将来の話をしたけど、全く俺の未来は見えなかった。

俺は奏たちと一緒いられれば十分幸せだから仕事も住む場所も何でもいい。

ちゃんと俺を見てくれるお前らが好きだから卒業してもずっと一緒にいたいんだけどな。


けど、金を稼がないと生きていけないからそれぞれの道を歩まないといけない。


それがとても寂しい。


せっかく出会えた仲間なのに全く別の道を行ってしまう事を冬が終わった俺は耐えられるんだろうか。


奏と夏休み何をするか話しながら俺は1人勝手に寂しくなった。




→題名のない今日


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