7:00
俺は昨日るあくんの家に泊まって体を休め、今日もまた夢衣の家に行く。
今日のるあくんはヘアセットをしっかりしてピアスも前のようにたくさんつけていて、前のるあくんに戻ったようだった。
るあ「とりあえず夢衣ちゃんを外に出すところからだね。」
一「うん。昨日朝カフェ出来なかった、で押し通してみる。」
俺はインターフォンのカメラが映さないところにるあくんがいるのを確認し、何度か鳴らすと応答してくれた。
『はー…い?』
と、夢衣ではなく寝ぼけた桃汰さんがだるそうに言う。
一「昨日朝カフェ行けなかったんで、今日も来ました。」
桃汰『えー…?夢衣ちゃんお疲れなんだけど。』
一「俺だったら疲れてても行ってくれます。」
桃汰『…なにそれ。また喧嘩販売中?』
一「そんなとこです。」
俺は通話時間が切れるごとにインターフォンを鳴らして、そのうるさい音で夢衣が目を覚ましてくれないか願っていると桃汰さんがマイクから離れた。
すると、わずかだけど夢衣の声が聞こえる。
一「おい!朝カフェ行くぞ!今日は俺が連れてきたい場所があるんだ!だから準備して来い!」
『…んと、…た…。…で?だっ…』
夢衣は遠いところで桃汰さんと話しているのか、かすかに言い争ってるのが聞こえる。
すると、隠れているはずだったるあくんが俺の隣に来た。
るあ「桃汰、久しぶり。元気だったー?」
桃汰『…誰?…あぁ♡』
と、桃汰さんがカメラの映像を見たのか嬉しそうな声を上げる。
桃汰『シンジだぁ!お久しいね♡』
るあ「るあだよー。名前間違えんなよ。」
桃汰『シンジこそ、自分の名前間違えんなよー。ジジィの頭になったー?』
るあ「お前こそ、アル漬けの脳みそちゃんは正常に動いてんのー?」
桃汰『喉通ってくから脳みそには届いてくれないんだよー?人体の勉強しないとお仕事のなくなっちゃうよっ。』
2人が謎の言い合いをしながら罵り合っていると、桃汰さんは気分が変わったらしく夢衣と一緒に部屋から出て来てくれることになった。
俺はインターフォンのマイクが切れたあと、るあくんに感謝してまた昨日と同じ時間待っていると2人が出て来た。
一「むぅちゃんおはよ。」
夢衣「おはよー。」
少し火照ってた夢衣の頬の上にあるクマがちゃんと寝れてないSOSを俺に伝えてくる。
桃汰「シンジ、ひーくんおはよー。」
るあ「瑠璃の瑠に愛で瑠愛って名前なんだ。もう1回その名前言ったらその舌引き抜くね。」
桃汰「はーい。シンジくぅーん♡」
その一言で瑠愛くんは笑顔だった桃汰さんの口に手を突っ込み、本気で舌を引き抜こうとする。
けれど桃汰さんは動じずに瑠愛くんの手に容赦なく噛みついた。
一「瑠愛くん!やめなって!」
夢衣「桃汰!瑠愛くん痛そうだよ…。」
すると、桃汰さんが瑠愛くんに噛みつくのをやめて少し血のにじむ歯を見せながら夢衣を見る。
桃汰「夢衣ちゃんは俺の心配してくれないんだ。」
桃汰さんがそう言うと、夢衣は急に地べたに倒れ込み昨日よりもはるかに快楽の波が早くなってしまっていることが一目で分かった。
瑠愛「大丈夫…!?」
瑠愛くんは夢衣の耳を抑えて桃汰さんの声を遮断してくれる。
一「…やめてください。」
桃汰「ん?なにが?」
一「夢衣の名前、呼ばないでください。」
桃汰「なんで?可愛い名前なのに。」
一「テメェが洗脳して夢衣がおかしくなりかけてんだ。これ以上夢衣に近づくな。」
桃汰「俺、彼氏だもん。元彼のひーくんに言われてもなぁ。」
わざとらしく困り顔をしている桃汰さんの顔を本気で殴りたくなるのを必死で抑える。
桃汰「とりあえず、4人で遊ぼっかぁ。まずは腹満たそうぅ♡」
そう言って桃汰さんは夢衣を少し乱暴におぶり、歩き始めてしまう。
瑠愛「今日、絶対引き離そう。」
一「うん。」
俺たちは桃汰さんが勝手にどこか行かないように、夢衣の服を掴みながら朝飯に向かった。
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