12:00
俺はるあくんに貸してもらったスペアキーでるあくんの家に入り、今日分の仕事を終えたとメッセージで伝えてくれたるあくんを待つ。
この時間、夢衣は今何をされているんだろうとずっと考えてしまい、TVで流れるワイドショーの言葉はまともに入ってこない。
そんな無駄な時間を過ごしていると玄関が開いた音が聞こえた。
一「おかえりー。」
るあ「ただいまー。」
仕事を終えたるあくんから姐さんの家にあったはちみつ石鹸の匂いに似たものが漂っていて、自分の優先順位が夢衣から姐さんにすり替わりそうになる。
るあ「今日は昼までの予約だけで助かったぁ。」
と、るあくんは俺の膝に頭を乗せてそのままソファーに寝転がる。
一「お疲れ様。俺の分まで働いてくれてありがとう。」
るあ「一くんは仕事より大切なことがいっぱいあるからね。俺が稼ぐ基盤固めておくから、安心して今やるべきタスクこなしていこうね。」
一「…うん。ありがとう。」
俺はそう言ってくれたるあくんに今日の朝見た夢衣の様子と桃汰さんの様子を説明した。
るあ「え…、そんなに?」
一「うん。潮吹いてた。」
るあ「だいぶ進んじゃってるな…。しかも2人でまたやるって言ってたんでしょ?」
一「日課って言ってたけどそうだと思う。」
るあ「夢衣ちゃん相当遊ばれてる。…明日、どうにかして桃汰と1日距離置かせたいな。」
るあくんは頭を抱えて作戦を練り始める。
一「奏たちみんなと遊ぶのはダメ?」
るあ「奏くんたちも身辺調査されちゃうからやめたほうがいい。」
そんな奴がなんで夢衣に興味を持ったんだ?
しかも俺のことも調べ尽くしてたっぽいし…。
一体、何がしたいんだ。
るあ「…よし。俺と明日夢衣ちゃん家に行こう。」
一「え?仕事は?」
るあ「明日は顧客獲得のアポばっかだから、ずらしても大丈夫。」
一「それ大事なことじゃん。」
るあ「人1人の命の方がお金より大切だよ。」
一「…桃汰さんって夢衣に何しようとしてるの?」
俺は昨日からるあくんにこのことだけはぐらかされてきた。
俺は奏たちがいないこの2人だけの空間でもう1度聞いてみる。
るあ「…人身売買。」
一「え…?」
るあ「内臓とかじゃなくて欲を満たす道具として今夢衣ちゃんは調教されてるって感じ。…ロングスパンでお金が稼げるからそうしてるんだ。」
一「ど、どうしよ…。夢衣、助けないと。」
俺が立ち上がろうとするとるあくんはものすごい力で俺の体をソファーに引き戻す。
るあ「焦ってあっちに逃げられたらもうどうしようもなくなる。だから明日までに作戦しっかり立てて夢衣ちゃんを助けよう。」
一「…でも、今日いなくなるかも。」
るあ「いなくなる時は桃汰のことにしか言うこと聞かなくなるくらい洗脳されてからだよ。まだ大丈夫。」
一「俺…」
るあ「一くんだから本当のこと教えたんだ。俺と一くんの演技で桃汰を騙して夢衣ちゃんを元の場所に引き戻そうね。」
一「…うん。」
俺はそのあと、るあくんの家で出来る限りの作戦を考えて明日に備えることにした。
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