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美少女な俺様が世界を救う!  作者: 青咲りん
ミッション2:海底神殿を攻略しよう!
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美少女な俺様が神様に解禁される!

 デカパイ縦ロールことエリザベスたち一行の嵐が過ぎ去った後、俺たちは依頼を受諾し、依頼主の元へと向かった。


 冒険者の仕事は基本、ギルドで依頼の受諾処理を終えると、依頼主のところへ行って仕事の詳細を聞いてからスタートする。

 依頼主がギルドの場合は別だが、基本はこのスタンスだ。


 しかし今回引き受けた依頼は、『ナマコ掃除』と『マナビルディングの潜入調査』、それから『海中にできたダンジョンの調査』の3つ。

 彼らは全て、民間の依頼なのだ。


 4人で話し合った結果、3つ目の依頼は、依頼主がマーフォークで、水中都市区に住んでいるので最後に回すことになり、まずは『ナマコ掃除』の依頼から詳細を聞きにいく事になった──のだが、生憎俺はナマコが苦手だ。


 気持ち悪くて見ていられないのだ。


 というわけでこの依頼は俺はパス。

 その間、俺だけ教会に挨拶に行って、終わったらそこで待ち合わせ。

 そして次に『潜入調査』の依頼主の元へ向かうという段取りになった。


「ここが、サウスポーティアの教会か」


 いくつもの船を木の板で橋渡ししたような景観の港町だからだろう。


 ここの教会は木造の巨大な船の中にあった。


 少しだけ入るのに躊躇するが、意を決して扉を開き、席について神様に祈りを捧げる姿勢をとった──次の瞬間。


「やぁ、待ってたゾ、水銀ミカネくん」


 不意に声が聞こえて顔を上げると、十数日ぶりに、あの何もない真っ白な空間に立っていた。


 見上げれば、見覚えのある真っ白なのっぺらぼうが、少し離れたところであぐらをかきながら、何やら雑誌みたいなものをペラペラ捲っているのが見えた。


 よく見ればコンビニとかでよく売られていそうなエロ本だった。

 表紙に映っているのは、裸の俺とレンで──って……!?


「──何読んでんだこの変態ッ!?」


 叫びながら、それを取り上げようと飛びかかる。

 

 しかし飛びついた先にはすでに神の姿はなく、背後からペラリとページを捲る音が聞こえてくる。


「いやぁ、ホームシックになってないか心配だったケド、どうやら杞憂だったみたいだネ」


「このっ!?」


 ニヤニヤと笑みを浮かべながら、あちこち瞬間移動しながらからかってくる神に、俺は渾身の力を込めて取り上げようと動き回る。


 しかし悲しいかな。

 全く捕まえることができず、俺は荒い息を上げるのみに終わる。


「クソッ……。

 何でそんなもん読んでんだよ……」


「もし将来君に子供ができたら、どんな運命を辿らせてあげようかと思ってネ」


「こ、子供!?」


 からかってくる神に、俺は一瞬だけ、レンと同じ髪色の俺に似た少女と、俺と同じ髪色でレンに似ている少年の姿を妄想して、頭を振って急いでそのイメージを消し去る。


 たしかに俺はあいつの事が好きだが、しかしまだそこまではまだ考えた事がなかった。


 しかしそうか。

 ちゃんと出来ないようにしているとはいえ、まだこの世界の文明レベルは未熟。

 用法さえ守っていれば絶対、なんてことは無いわけで。


(あいつの、結構威力強めだから、破れたりしたらそういう可能性もあるんだよな……)


 出されている感覚を想像して、腹の奥が少しだけ切なくなるのを感じる。


「……マ、安心してヨ。

 魔王が討伐されるまでは、君に生理は来ないようにしてあげるからサ」


「……え、それって──」


 神様のその言葉にその先のことを想像して、一瞬思考がフリーズする。

 彼はそんな俺の想像を肯定するように、意味ありげにニヤリと笑みを浮かべた。


「さて、そろそろ本題に移ろうカ」


 閑話休題。

 パンパン、と手を叩き、神様は話題を切り替える。


水銀ミカネくん。

 海中神殿にできたダンジョンを攻略し、奥の魔力溜まりを聖痕に封印しなサイ。

 やり方は魔力溜まりに触れて聖痕に魔力をちょろっと注げば、後はガイドラインが全部勝手にやってくれマス」


 言われて、そういえばと最初に教会で神様が言っていたことを思い出す。


 たしか、魔道廃墟街を封印してまわれ、だっけ。


 今回のはその為のチュートリアルってことか。


 俺が『わかった』と頷くと、神様はニコリと笑顔を浮かべて、最後にこう付け足した。


「期待してるヨ、水銀ミカネくん。

 終わったら、多分ガイドラインの新しい機能が使えるようになるはずだから、頑張ってネ!」


 神様の声を全て聞き終えるのと同時。

 ガクッ、と高いところから落ちるような浮遊感を感じて、俺は目を開けた。


 どうやら元の教会に戻ってきたらしい。


(あのガクッてなるやつ、どうにかなんないのかな……)


 そんなことを思いながら、黙祷のために組んでいた指をほどく。


「それにしても、新しい機能……か」


 言われたって、結局ガイドライン──俺の精霊なんて、今まで一度も使ってないんだけどな……。


(はてさて、次からは一体、何ができるようになるんだか)


 俺は席を立つと、そのまま教会を後にした。


⚪⚫○●⚪⚫○●


 その後、3人と合流した俺は、4人揃ってマナビルディングの潜入調査を依頼してきた人物に会うべく、場所を移動した。


 やってきたのは、いくつもある船の家のうちの1つだった。

 そこそこ大きめの船で、足元の感覚からして、どうやら船底は海底と柱か何かで繋がれているらしく、揺れをあまり感じない。


 他の道路や建物の中も大体そんな感じだったけど、ここは特に揺れが少なかった。


 おそらく、周囲に船、というか柱が密集しているせいで、波が分散されて弱くなっているのだろう。


 そんなことを考えながら、目的地にたどり着いた。


「お待ちしておりました、レンウォード殿御一行様。

 お話は伺っております、ささ、中へどうぞ」


 迎え出てくれたのは、マーフォークの少年だった。

 青い、やや湿ったような質感の長髪。

 薄く青っぽい肌には透き通るような鱗が全身を覆っていて、魚のヒレに似た耳を持っている。

 よく見れば顎関節の下にはエラっぽいものまで見えた。


 おそらくこのエラのおかげで水中でも暮らしていられるのだろう。


 彼らマーフォークは主に水中都市区で暮らしているって話だったしね。


 それはともかくとして。


 中の応接室のような場所に通された俺たちは、クッションが縫い付けられたベンチに腰を下ろして、依頼人の話を聞くことになった。


「先ずは、こちらの手紙をご覧ください」


 言われて差し出されたのは、何やらありがちな、新聞の切り抜きで文章が貼られていたものだった。


 曰く『以下の日時を以って、我、大悪魔バーティミアスの秘鍵を貰い受けたいと思う』


「悪魔……」


 ぽつりと呟いて思い出すのは、ユーリアの街で香油を売っていた、あのバーバラという魔女だった。

 バーバラはたしか悪魔とは、この世界ではない別の世界で生まれて、この世界にいつくために何かに憑依したりして姿をその場に保っている、魔物の原型のようなものと言ってたっけ。


 その悪魔の秘鍵とやらと今回の依頼が、どのように関係するのだろうか?


 そんな疑問を説明するように、マーフォークの少年は話を続けた。


「実は、ウチがスポンサーを務めるマナビルディングでは、恒例として毎回領主様が採点係としていらっしゃるのですが──あぁ、この領主様というのは今のメイヴィス子爵様ではなくて、前の持ち主、アガレト皇国のバーン司教様のことです──、彼が常に、肌身離さず身につけているものが、その秘鍵なんです。

 今回は、そのバーン司教様のお守りする秘鍵を守ってくれないか、という話でして」


 ふむ。

 そう言われても、これと潜入調査というのがあまり重ならないような気がするが。

 もしかして犯人の目星でもついているのだろうか?

 そう思って尋ねてみると、案の定その通りで、しかもそれが大会の出場者の中に紛れているのだという。


「え、じゃあその人の出場を中止するとかできないんですか?」


 至極もっともな意見をステラが尋ねる。

 しかしマーフォークの少年は『それがそうも簡単じゃ無いのです』と返答した。


「実は、調べてみるとその相手というのが、メイヴィス子爵様の御息女、ランドール様と深い繋がりのある人物でして。

 迂闊に手を出すと、何をされるかわからないのです」


「つまり、まだ決定的な証拠もないから、下手に貴族との繋がりがあるらしい人物を刺激すると、そのコネでスポンサーになってるあなたたちの会社が、何らかの方法で潰されたりするかもしれない、ってこと?」


「えぇ。

 わかりやすくするとそんな感じです」


 どういうことかわからないでいた俺の表情から推察したのだろう。

 メアリーが確認のついでに、わかりやすいように解説してくれる。


 なるほど。

 貴族ってそういうイメージあるし、なんか納得する……って、そういやメアリーとステラも貴族──どころか、メアリーの方は元王族だったっけ。

 失敬失敬。


「そういうことなら、謹んでお受けいたします」


 最後に、レンが俺たち全員の表情を確認して意思を確認すると、最後にマーフォークの少年──この世界は12歳で成人だから、この子はたぶんもう大人だろうけど──に、依頼受諾の意思を伝えるのだった。


 ここまでお読みいただき、誠にありがとうございますm(_ _)m

 もしよろしければ、ここまで読んだついでに感想、いえ、評価だけでもしてくれたら嬉しく思います。

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