美少女な俺様が現代技術を持ち込む!
異世界生活8日目。
俺たちはサイズが合わなくなった下着を調整しに、工業地区の一角にある縫製工場が直接経営する衣料販売店へとやってきていた。
ちなみにレンはやることがあるからと、工業地区までは一緒に来たものの、すぐに別れてしまった。
(そういえば、貸してもらった剣。
結局壊しちゃって返せなかったなぁ)
今朝そのことを思い出してレンに謝ったが、彼は『お前のおかげでみんな助かったんだ、あれくらい安い代償だよ』と言ってくれた。
しかし、彼が剣を貸してくれなければあのゴーレムを倒せたかわからないのも事実。
実質、助かったのは彼のおかげでもあるわけで。
(また借りを作っちゃったなぁ……)
なんだか、助けてもらってばっかりだ。
俺もいつか、全部借りを返せればいいんだけど。
店に入ると、3人で下着売り場の店員さんのところへ向かい、調整を願い出た──のだが。
「申し訳ありません、お客様。
これ以上の調整となりますと、ブラのサイズ的に不可能でして。
よろしければ、お買い替えなさってください」
「ふぇっ!?」
店員の申し出に、顔を赤らめるステラ。
どうやら彼女の乳は、それほどまでに大きく成長していたらしい。
……サイズ、一体どれくらいあるんだ?
お風呂で揉んだ感じ、手のひらで収まるようなものではなかったのは確かだ。
綺麗な雫型をした彼女のそれは、俺の予想では推定F以上。
胸のサイズというのはトップとアンダーの差で測る、ということは前に店員に聞いたことがあるが、そういえば具体的にどうやって見分けるのか聞いたことがない。
店員曰く、調整が効くのはプラス2段階までらしいが、この世界の基準と元の世界の基準が同じかもわからない。
確かめる術もないし……とりあえず、ステラのおっぱいはすごく成長している。
それだけでなんかちょっと、ムラっとくるものがあった。
紆余曲折。
下着の調整が終わり、俺たちは店を後にする。
ステラは少し恥ずかしそうな面持ちだが、俺としては正直羨ましい。
だって、レンは大きい方が好きみたいだったから。
ベッドの上で揉まれた時も、若干物足りなさそうな顔してたし……。
「なぁ、どうやったらそんなにおっきくなるんだ?」
気になって、揺れるステラの胸部装甲を見上げながら尋ねた。
「えぇ〜。
私だってわかんないよぉ。特別なことなんて何もしてないし……」
なるほど、遺伝というやつか。
「ファムちゃん、騙されたらダメだよ?
ステラってば、毎晩隠れてちゃーんと育ててるんだ。
バトラリンクスのおじさん家でお世話になってた時はよくメイドに揉ませたりしてたよ?」
「えっ、そうなのか!?
やっぱり揉むと大きくなるのか!?」
バトラリンクスは、確かステラの家名だ。
つまりメアリーの言うことが正しければ、彼女は実家でメイドに胸を揉ませていたと言うことになる。
レズか。
レズなのか。
そういえば初めて一緒にお風呂に入った時、俺のことめっちゃえっちな手つきで触りまくってたな。
なるほど、そういうことね。
完全に理解したわ。
「ちょっと、メアリー!
あれは単に、胸があると色々擦れたりして痛いから揉んでもらってたわけで、気持ちよくなるためなんかじゃないんだよ!?」
メアリーの告発に顔を真っ赤にしながら、狼狽えつつも言い訳を試みるが、しかしステラよ。
お前今サラッと『気持ち良くなるため』って言ったよな?
墓穴掘ってんぞ。
どうやら俺の想像は正しかったらしい。
そんな、ちょっと普段の彼女からは想像でき──なくもないえっちな部分を垣間見て、少しだけそういう気分になる。
どういう気分かは──ご想像に任せるとして。
それから俺たちは商業地区で軽く外食でお腹を満たすと、軽くウィンドウショッピングを楽しみながら砦へと戻った。
なんか、今日は女の子らしい1日だったなぁ。
女の子と下着を買ったり、胸の話したり、ご飯したり、スイーツ食べたり、ウィンドウショッピングしたり。
……うん。
異世界要素の薄い1日だった。
一昨日死にかけたと言うのに、2日経てばもうこんな日常に戻れているというのは、まぁ、ある意味では異世界要素なのかもしれないが。
そんな感傷に浸りながら砦に戻ると、2人のドワーフが関所の前にある空き箱に腰を下ろして、今日も門番をしているらしいバトスとアビとの4人で駄弁っていた。
「おっ、噂をすれば。
ファムちゃーん! ファムちゃんにお客さんだぜーっ!」
人相が確認できるくらいの距離まで近づくと、彼らも俺たちの方に気がついたのか。
バトスがブンブン手を振って、俺の名前を呼んだ。
ドワーフのお客さん……ということはもしかして、俺が注文してたカバンが完成したのだろうか?
「バトス! アビ! それからゴドウィンさんと……?」
2人の門兵と、片方のドワーフの名前は分かったが、しかしもう1人は知らない顔だった。
こちらもゴドウィンと同じく、ザ・ドワーフといった見た目をしているが、彼の体毛は赤毛だった。
正直、毛の色でしか見分けがつかないくらい似ている。
髭と髪の毛で顔が隠れてるせいだな……。
目で見分けるのはやめて、気配のパターンで見分けるしか無さそうだ。
「ふむ、嬢ちゃんがアニキの言ってた美人さんだな?
確かにいい声だ、耳が洗われる。
ワシはザドウィン、ゴドウィンの腹違いの双子の弟だぜ。
工業地区に金属加工の工房を持ってる」
腹違いの双子って何ぞ?
聞いたことのない組み合わせの単語に一瞬頭が混乱するが、とりあえず双子の弟だという認識で済ませておく。
「よろしく、ザドウィン。
金属加工の工房……ってことは、もしかして?」
「あぁ、そのもしかしてだ。
作るの大変だったんだからな?」
言って、俺の依頼した通りに作られたカバン──というかポーチを取り出してきた。
腰に巻くタイプのカバンで、革製のベルトで留められるようになっている。
いわゆるポーチだ。
ポーチにつけられたカバン部分は全部で3つある。
一番でかい横長の長方形のカバン、ポーションをすぐに取り出せる小さめのポーチ、そしてとりあえず予備の小さいポーチ。
それぞれカバンのカバーには、この世界にはまだ存在していなかったらしいジッパーとスナップボタンが使われている。
スナップボタンはすぐにカバーを開けたりできるし、ジッパーは革紐でしめたりするより袋の容積確保できる上、取り出しが容易だ。
この世界だとカバンの蓋は布を被せて更にその上からベルトで留めるようなものが主流だったが、これが入ることによって若干軽量化されるのだ。
腰に巻いて、確認してみる。
しっかりと腰に張り付くように、カバンの裏側に細工がしてあるのだろう。
激しく動いても鞄が揺れない造りになっている。
なるほど、レンが紹介した通りゴドウィンは腕がいい。
さらにこのジッパーも、デザインはかなりゴシックでトゲトゲしているものの、ちゃんと機能するし、スライドしても違和感がない。
スナップボタンの性能も完璧だ。
素早くポーションを取り出したりも容易になるだろう。
……ポーション、まだ使ったことないけど。
俺は使用感を確かめ終えると、満足した表情でサムズアップを決めた。
「最高だよ、2人とも!
まさかこの短期間でここまで完璧に仕上げてきてくれるなんて思ってなかった。
てっきり1ヶ月はかかると思ってたから……想定以上の出来だよ!」
「へへっ、そう言ってもらえれば職人冥利に尽きるってもんだぜ、嬢ちゃん」
差し出したサムズアップに合わせるように、ゴドウィンとザドウィンも同じく親指を立てて拳を合わせた。
「これは、ちゃんと2人のことを宣伝して回らないとね」
「おぅ、よろしく頼むぜ!」
こうして、俺は新しいカバンを手に入れることができたのだった。
シーフ
冒険者のクラスの一つ。
短剣などを装備し、斥候を担う。
斥候とは、パーティメンバーより先行し、敵や罠などの探知をして、安全なルートを確保する役割のこと。
戦闘ではサブアタッカーとして活躍して、敵を撹乱させるのが主な役割。
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