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美少女な俺様が世界を救う!  作者: 青咲りん
ミッション2:海底神殿を攻略しよう!
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美少女な俺様がオークを討伐する!

 異世界生活5日目の午後は、外に出て実戦訓練だ。


 森の浅いところにいるゴブリンは以前狩り尽くしてしまったので、今日はもう少し深いところまで行く事になった。


「ストップ。

 直ぐ近くにおっきい気配が3つある。

 なんか、デブの巨人と豚が組み合わさったみたいなやつ」


 斥候役としてパーティの先頭を歩きながら気配を探っていると、おそらくオークと思われる反応を捉えたので3人に伝えた。


「距離と方角は?」


 足を止めて背を低くし、レンが小声で確認をとる。


「11時の方向、距離は100メートルくらいかな。

 警戒している様子はない」


「わかった。

 なら、ステラは左から、ファムは右から挟み撃ちしてくれ。メアリーは俺と一緒に2人を援護だ。

 真ん中のやつは俺が弓で仕留めるから、真ん中のやつに矢が刺さったのを合図に攻撃を仕掛けてくれ」


 言って、レンがルーンも描かずに金属製の弓を魔力で作り出した。


「わかった」


 3人は了解の意思を示すと、3手に分かれて位置についた。


 森の木の間隔はそこそこ広く見通しもいい。

 あまり近づきすぎると臭いとかでバレそうだ。


 俺は茂みの中に身をひそめながら、他の3人の気配を探る。


 どうやらステラも配置についたようだ。

 茂みの向こう、オークを挟んだ向こうに、彼女の黒い髪の毛が茂みの向こうに少し揺れているのが見えた。


 距離は大体、50メートルくらいか。


 オークの方はといえば、こちらが風下に立っているせいもあってか、まだ俺たちには気付いていない。


 俺はブレイカーを取り出すと、レンの合図を待った。


 ──ギリリ。


 僅かに、闇が引き絞られる音が鼓膜に届く。

 それと同時に、何かの魔術の気配がレンの弓矢に追加されるのを感じた。


 おそらくメアリーの仕業だろう。


「……そういや、あいつの趣味は魔女っ娘だっけ」


 思わず口からついて出た言葉に、内心舌打ちする。


 今は目の前の作戦に集中するべきだ。

 これについてはまた今夜改めて──と、そこまで考えた時だった。


 照準を定め終えた彼の強烈な狙撃が、真ん中のオークのちょうど鼻の上あたりを貫通し、一撃で魔石へと変えた。


 強襲の合図だ。


 俺は静かに一番近い方のオークへと、《縮地》を使って一瞬で距離を詰めると、通り過ぎるようにして膝裏の腱を切って、そのまま蛇のようにするりとオークの正面へと回りながら脇腹を切り裂き、蹴り飛ばした。


 それとほとんど同じタイミングで茂みから飛び出したステラの方はといえば、剣を一閃してその胴体に見合わない細い脚を斬り飛ばし、返す太刀でその胴体に一閃。

 そのまま流れるようにして大上段から唐竹割りにして魔石へと変えた。


 ちなみに俺が蹴り飛ばした方は、何本か太い樹木をへし折りながら飛んでいき、最後にはへし折れた樹の幹が腹を貫通させて魔石に変わっていた。


 どうやら、相当な度合いで筋力がブーストされていたらしい。


「あちゃぁ、ちょっとやりすぎたかな」


 そういえば、この世界に来て全力で何かを蹴り飛ばしたのって、もしかするとコイツが初めてかもしれない。


 蹴り飛ばされてへし折れた樹にステラがポカンとした表情を浮かべる。


「さ、さすがだね、ファムちゃん師匠……」


「あぁ、うん。

 ちょっと全力で蹴ったらどんなもんか試してみたんだけど……想像の100倍くらい凄かったや……」


 これは完全に人間を辞めてる人の威力だと言わざるを得ないだろう。

 いや、もしかするとこの世界だとこれくらいの人はそこそこいるのかもしれないけど。


 ほら、ギルマスのオウルコスとか、俺より強そうだったし、これくらいは余裕でやってみせるかもしれない。


 そんなこんなで2人と合流して、魔石とドロップ品を回収。

 今回残ったのはオークの皮と肉が少し。


 魔物は魔力との定着が弱い部分が、こうしてドロップするのが特徴とは聞いていたけど……結構、綺麗にひん剥けるんだな。

 肉の方はぐちゃぐちゃだけど。


 素材がドロップしたり、魔物を倒すと経験値みたいなやつが獲得できたり、それが一定以上蓄積すると体に変化がおとずれたり……って、なんか、まるでゲームみたいだな。


「これはどうするんだ?」


 とりあえず引っ張ってきたドロップアイテムをレンに見せながら、指示を仰ぐ。


「それくらい綺麗に残ってるなら、冒険者ギルドに持っていけば買い取ってくれるはずだ。

 一度街まで戻って換金してこよう」


 しかし、その提案もメアリーのある一言で却下される事になる。


「待って。

 それなら私のカバンに入れた方がいいよ!」


「カバン?」


 オウム返しに尋ねると、メアリーは一瞬だけ、しまった!といったような顔を見せるも、しばらくして『まぁいっか』と諦めたように呟いて教えてくれた。


「私の精霊術だよ。

 倉庫の精霊と契約してるから、制限はあるけどたくさん亜空間に物を収納できるの」


 あー、なるほど。

 ラノベとかでいうところのアイテムボックス的なアレか。


 ……ところで、今また初めて聞く用語が出てきたな。


 そんな俺の考えが顔に出ていたのか。

 メアリーは悟ったように注釈を加えた。


「あっ、精霊術っていうのは、自分が契約した精霊に魔力をあげて力を貸してもらうことだよ。

 精霊とは同時に一柱としか契約できないから、基本的に1人につき一種類の精霊術が使える事になるのかな」


 言われて、思い当たるシーンがいくつか頭の中にリストアップされる。


「あっ、もしかしてルーンを使わないで使ってた魔術みたいなやつのことか!?」


「そう、それ!

 でも基本的にこういうのってみんな秘密にしたがるから、あんまり突っ込んで聞いちゃダメだよ?」


 めっ、と指を立ててそう忠告するメアリーに、俺はうんと頷いて返事をする。


 ということは、ステラがあの時何もないところから盾を取り出してたのとか、レンが弓とか剣を魔力で出してたのって、精霊術によるものだったのか……。


 なるほど。

 ということは、俺の場合はガイドラインを通じて神様と会話することが俺の精霊術になるわけか。


 うぅん、すごいのかしょぼいのかよくわからんな。

 後々グレードアップさせる予定とは言ってたけど、魔力が足りないからそんなに使えないっぽいんだよなぁ。


 こうなったら、レベリングを頑張らねばなるまい。

 皇都迷宮アガレティア、もとい白狼の迷宮を攻略するためにも必要だしな。


 というか、そもそもそっちが目的なんだけど。


 それから俺たちは、ドロップアイテムや魔石は、メアリーの精霊術の亜空間にに一旦全部預けておきながら、この4人パーティでの連携の練習のために魔物を狩って狩って狩りまくるのだった。


⚪⚫○●⚪⚫○●


 狩りを終えてある程度の戦果を冒険者ギルドで換金して砦まで帰ってきた頃には、すでに空はオレンジ色になっていて、ゴマ粒みたいなカラスが空にシミを作っていた。


「ふわぁ……。

 今日も疲れたなぁ……」


 夕食を終えて反省会も終わったその後。

 砦に泊まるようになって初めて、俺は自分に分け与えられた客室のベッドに寝転がっていた。


 昨晩はレンとシてたせいでろくに眠れなかったし、お風呂に入ったら今日はもう早めに寝よう。


 そう思ってノロノロと準備をしようとするが、柔らかい布団のせいもあって、なかなか起き上がる気になれない。

 もしこの世界にスマホがあれば、迷わずツイ○ターを開いていたに違いなかった。


「……お風呂の前に、トイレ行かないとなぁ」


 下腹に感じる尿意に両脚をくねらせる。


 でも、まぁこの程度なら、まだ我慢しても平気だろう。


 それにしても、なかなかレベルっていうのは上がらないもんだ。

 魔物や悪魔は死ぬ時に魔石になるが、魔石になり切らなかった余った魔力が体に流れ込むことで、どうやら経験値みたいなものが溜まっていくらしいが……。


(この感じだと多分、魔石になる瞬間に近くにいないと、その経験値は手に入らない可能性があるよなぁ)


 逆に言えば、魔物を生きた状態で食えば、経験値をある効率という面で効率は最良なのだろう。


 自分の魔力を増やすにはそれが一番手っ取り早いが……。


 しかしアガレティア攻略という最終目標を見ると、おそらくレベリングだけしていればいいというものでもなさそうだ。


 筋力だけ鍛えても、技がなければ根本的に強さを得た理由にはならない。

 メンバーの教育もやはり必要だが、それ以前にやっぱり、俺自身の強化も必要だろう。


 それができる人物がいるとすれば──。


「ふぁ……眠い……」


 そこまで考えたところで、いつの間にか俺の意識は暗闇の中に沈んでしまっていた。

 (オセル)


 土地を意味するルーンです。

 コアイメージは『自分が支配している空間』。


 空間系の基礎ルーンで、今自分がいるその場所に対して効果を発揮させることができます。

 『結○師』に出てくる結界みたいなイメージで、指定した空間内に力を発揮させたり、あるいはその境界線を作ることで空間を分断したりすることができます。


 漢字一文字に変えると『界』。


⚪⚫○●⚪⚫○●


 ここまでお読みいただき、誠にありがとうございますm(_ _)m

 もしよろしければ、ここまで読んだついでに感想、いえ、評価だけでもしてくれたら嬉しく思います。

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