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ショートショート4月~

新しい卵

作者: たかさば

ああ、今日もやられた。


昨日買ってきたばかりの、新しい卵パック。


パックが開いて、ひとつ食べられている。



うちの冷蔵庫は、卵パックをふたつ、入れることができるようになっている。


卵は私の大好物。


一日三個は食べるからね。


子供たちも好きだし、ケーキも焼くし。


ふたパックぐらい、買いだめしておくのが、うちの常識。


二日に一回、新しいのを買うんだけれど、どうにもこうにも、旦那が新しいものから食べていく。


新しいものが食べたいからと、一番上の、新鮮な卵から食べていく。



今日、あたらしい卵を買ってきたけど、少しぷりぷり怒っている私は、いたずらを思いつく。


古いほうの卵と、入れ替えてやろう。


パックの中身を入れ替えた。



卵の中身を入れ替えて、どうなることかと思っていたら、旦那が卵を買ってきた。


パックが開いてて、ちょっと怪しいから自分専用の卵を買ってきたそうだ。



ああ、そうきますか、そうですか。



私は卵を元に戻して、普通通りに卵を使い始めた。



旦那の卵はすべて使われることなく、冷蔵庫の片隅に。


ひとつ食べて、後は放置。


どんどん古くなる旦那の卵を尻目に、旦那は私の卵を食べる。


自分の買って来た卵を食べないとは、どういうことかな?



ついついいつもの癖で、一番上の卵パックをあけて食べちゃうんだって。


そもそも、一番新鮮なのが食べたいから、だってさ。



はあ。



私は古くなった旦那の卵を全部使って、ふっかふかのホットケーキをたんまり焼いた。


旦那の見捨てた卵たちは、めっちゃおいしく焼きあがって、子供たちも大喜び。



旦那も、大喜びで、ホットケーキを食べた。


焼けばおいしく食べられる。


ひと手間かけたらおいしいもんだ。



手間をかけずに新鮮な生卵を好む旦那は、古い卵に興味がない。



新しい卵が大好きな旦那は、今日も新しい卵を食べて、新しいものに、夢中になっている。


古いものには目もくれず、新しいものに振り回されて。


本人はいたく喜んでいるけれど。


まわりはクールに、軽くスルー。


本人が喜んでるなら、まあ、いっか。




今日も私は、卵を焼いて、おいしいご飯をもりもり食べて。


旦那の愚行をスルーしながら、新しい卵パックを、ひとつ買った。

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