第九幕 冬輝と千秋の放課後
『千秋さまぁ〜!どこですかぁ!?』
『白雪くん、どこ〜〜!?』
ここよ。みなさんごきげんよう、千秋です。隣にいるのは冬輝くんです。
さて、うっとうしい虫ケr・・・・・コホン、すいません、うっかり本音が・・・・・。
しつこいクラスメイトたちからなんとか逃げ切った私たちは、これから帰るところです。
夏魅ちゃんは他の子と帰るみたいだし、春斗くんはどこかへいってしまったし、今日は冬輝くんと二人きりで下校・・・・・
やァん!なんか緊張しゅりゅ!
・・・・・なんて事はありません。
ぶっちゃけ、飽きました、この顔。
整った顔立ちは3日で飽きると誰かが言いましたが、友達になったその日から飽きました。
見るのはイヤになりませんが、別にわざわざ見たいとも思いません。
アレ?私ってひょっとしてぜーたくですか?
・・・・・まぁ、それはさておき・・・・・
「つながった?冬輝くん」
そう聞くと、冬輝くんは首を横に振る。
実は冬輝くんはさっきから春斗くんのケータイに電話をかけているのですが、電源を切っているらしく、通じません。
ハッ!まさかこのまま行方不明とか!?
そんな!!!こんなことなら、こんなことなら・・・・・
・・・・・生命保険かけとくんだっt・・・・・コホン、もっと思い出を築くんだった!
うう、春斗くん!安心して!君の部屋のテレビの裏にある君のへそくりは、私が使い切ってあげ・・・・・
『あ、千秋ー?』
突然聞こえた聞き慣れた声。その発生源は私の耳のすぐそば。横目で見ると、そこには私の耳にケータイをあてる冬輝くん。
『わりぃな、心配かけたみたいで。俺は大丈夫だから』
「そうですか。よかったです。」
あーあ、せっかくの臨時収にゅ・・・・・コホン。
『ああ、俺のへそくりが誰かさんの臨時収入にならなくて、よかったよ』
・・・・・え?
『・・・・・じゃーな、あと、へそくりのありかは、テレビの裏じゃねーから』
ブツッ!ツ――・・・・・ツ――・・・・・
「・・・・・恐るべし」
それだけ言って歩きだす冬輝くん。
・・・・・右に同じ。
読んでいただき、ありがとうございます。第九幕は、実は冬輝をナレーションにして、新キャラでもだそうかと思いましたが、断念しました。・・・・・無口なんだもん、コイツ。