第十六幕 出会いとラブストーリーは突然に?
久々に書いたら長くなりました・・・・・
〜〜前回のあらすじ
憧れのミサ先輩への告白前夜、レイトは幼なじみのナナに河原に呼び出される。
そしてレイトはそこでナナに告白されてしまう!
「レイトがミサ先輩を好きなのは知ってる・・・。でも、もう我慢出来ない!あたし、レイトの事が好き!」
自分の胸から溢れんばかりのミサ先輩への気持ち・・・。
自分を一途に想ってくれる幼なじみ・・・。
彼は、果たして・・・
「どっちを選ぶべらァァァ!何しやがる!ナツミカン!」
突然のアッパーカットによりあらすじを中断された俺、春斗は発生源であるナツミカン(捕獲レベル9)にシャウトした。
「こっちのセリフよ!何このあらすじ!?
本編と関係ない上に微妙に凝ってるし!
むしろこの設定で恋愛小説かけよ!」
「くぉのバカチンがぁ!この小説の作者なめんな!コイツに恋愛小説かけると思ってんのかぁ!バカ作者なめんじゃねぇ!」
「なめるどころか中傷してる奴にいわれたくないわよ!」
俺たちが論争を繰り広げているここは、安芸波第一公園。
休日と言う事もあってか、このだだっ広い公園には、家族連れが楽しそうに弁当を広げている。
そういえば・・・
「ここでナツミカン達と出会ったんだよなぁ」「・・・ハル、変なモノでもたべた?」
「なにゆえ?」
「や、なんか遠い眼してるし、首に紫色のじんましん出てるし」
「うぞっ!?どの辺!?」
「後のはウソ」
「ぐっ・・・・腐ったミカンめ」
「そうだよね・・・・ここで初めてあんたと出会ったんだよねぇ・・・・・・」
そう言うと、ナツミカンは遠い眼をした。
視線の先には、サッカーをする子ども達。
十二年前、俺はここに引っ越してきた。
引っ越して来て間もない頃、俺はこの公園の片隅でよく体操座りをしていた。
いつものように体操座りしていると、
トンッ!
足に何かが当たった。
見ると、そこにはサッカーボール。どこかから転がってきたようだった。
少しして、足音が聞こえた。
足音の主は、サッカーボールの前で止まった。
サッカーボールの先に青い靴が見える。見上げると、そこには、俺と同じくらいの男の子がいた。
少し鋭く、意志の強そうな瞳を持った、整った顔立ちの少年だった。
「・・・・・・ぼ」
「え?」
少年の言葉を聞き逃した俺に、少年はもう一度、さっきよりも通った声で言った。
「・・・・・・あそぼ」
「・・・俺と?」
少年は頷いた。
「おーい!フユー!」
少年の後ろから元気な声が聞こえた。
「ボールあった・・・誰?その子」
元気な声の主であるその女の子は俺を見てそう言うと、首をかしげた。その後ろにいた可愛い女の子も同じように首をかしげた。
「・・・・・・友達」
少年はニコッと笑ってそう言った。
「その後4人でサッカーしたんだよな」
「そうそう、それで千秋ちゃんのシュートがカツアゲしてた不良に当たったんだよねぇ」
「ああ、それでその不良泡吹いて倒れて、ちょっとした騒ぎになったんだよな」
元気な声のナツミカンと俺は思い出話に花を咲かせた。
「じゃね!ハル!」
俺はそう言って帰宅する隣人を見て、思った。
お前らがいたから、今の俺がいるんだ。
照れくさくて口に出して言えねーけど・・・・・・
ありがとな、ナツミカン、千秋、冬輝。
家に入る直前、俺の視線に気づいたのか、ナツミカンがこっちを見て、言った。
「どーしたの?変な顔して。
あと、ほっぺに緑色の発疹が出てるわよ?」
「どーせまたウソだろ?」
「・・・・・」
パタン。
ナツミカンは無言で家の中に消えた。
「・・・え?ウソだよね?・・・・・・おい、ナツミカン?・・・・・・夏魅さん?・・・・・・夏魅さまァァァァァァ!!!!」
ちょっと過去編っぽいのを書いてみました。 感想や意見などを送っていただけるとうれしいです!