表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/55

♯07

 僕は藍原さんに湊斗から聞いた話をする。


「何よそれ! ますます怪しいじゃないあの女!」


「いや、藍原さんが怒ることでも無いんじゃ……」


「別に怒ってないわよ!」


 いや、怒ってんじゃん……。

 僕はそんな事を思いながら、白戸さんとため息を吐く。


「てか由羽。あんた今日も呼び出されてるんじゃないの?」


「そんな事どうでも良いのよ! 今は湊斗の幸せをどうやって踏み潰すかが重要なの!」」


「あんた……それをしても誰も幸せになれないって知ってる?」


「良いから行くわよ!」


「どこに?」


「二人を追いかけるの!」


「「マジで……」」


 僕と白戸さんの声がハモった瞬間だった。

 

「アンタ、呼び出しは?」


「そんなの無視!」


「酷すぎる……」


 こうして僕たちは湊斗達の後を追いかける事になった。





「ねぇどうかな?」


「良いと思うよ」


 俺は今、何故か清瀬さんとショッピングセンター内のアパレルショップに来ていた。

 なんでも洋服を買うので付き合って欲しいと言うことだったのだが、先程から一向に決まる様子が無い。


「ねぇねぇ、これはどう?」


「え……あぁ、可愛いと思うけど」


「うーん、じゃあこれにしようかな?」


 俺は清瀬さんとそんな会話をしていると、ふと一年前に藍原と一緒に買い物に来た日の事を思い出した。


『ね、ねぇ。どうかな?』


『い、良いんじゃないか……か、可愛いぞ』


『そ、そう? じゃ、じゃあ買っちゃおうかな』


 あの時藍原は確かスカートを買ったんだよなぁ……あいつの足、細くて長いから、スカートすげー似合うんだよなぁ……。


「春山君?」


「え……あぁごめん、ぼーっとしてた」


「ふぅ~ん……もしかして藍原さんの事考えてた?」


「え?」


 なんでわかったんだ?

 俺は素直にそう思った。


「あ、やっぱり藍原さんの事考えてたんだぁ~、酷いなぁ~私とデートしてるのに、他の女のことを考えるなんてぇ~」


「で、デート!?」


 デートだったのか……。

 まぁ、確かに放課後に女の子と一緒に買い物来てるし、デートか……。


「ねぇ、藍原さんとも来たの? 買い物とか」


「え? あぁ……まぁ昔は来たよ……」


「ふーん……じゃあ買い物した後はいつもどこ行くの?」


「え? あぁ……下にある喫茶店でお茶かな?」


「じゃあ、行こっか」


「え? もう良いの?」


「うん、それよりも早く行こうよ」


「あ、ちょっと!」


 俺は清瀬さんに手を引かれて、アパレルショップを後にする。

 清瀬さんは見た目よりも積極的だし、随分と行動的だということがわかった。

 そして、行動的すぎて、俺は少しついて行けていなかった。

 喫茶店に到着した俺と清瀬さんは、向かい合って席に座って話しをしていた。


「ねぇ……聞きたい事があるんだけど良い?」


「ん? 何?」


「あのさ……俺と清瀬さんが話したのって、あの図書室が初めてだよね?」


「さぁーどうでしょうねぇ~」


「え? それってどう言う……」


「まぁまぁ、そんな事どうでも良いじゃん。それよりもっと聞きたい事無いの? 私のスリーサイズとか?」


「な、何を言ってんだよ! そんなん別にどうでも……」


「ふーん」


「な、なんだよ……」


 目を細めながら、清瀬さんが俺に視線を向けてくる。

 べ、別にそんなの気にならないし、俺は別にどうでも良いし……。

 なんて強がってはみたが、やっぱり少しは気になるよなぁ……胸デカいし……。


「本当は気になるんだ」


「だ、誰もそんな事言ってないだろ」


「嘘だぁー、だって春山君、嘘ついてる時は絶対に耳の裏を掻く癖があるもん」


「え!?」


 俺は思わず自分の手を耳から離す。

 すると清瀬さんはクスクスと笑いながら、俺に続けた。


「自分の癖に気がついてなかった?」


「う……し、知らなかった……」


 自分でも知らなかった癖をなんで清瀬さんが知っているんだ?

 まさかこの子……ストーカー?

 それはあんまり考えたくないな……。

 俺がそんな事を心配していると、清瀬さんは俺をからかうように笑いながら、俺の方を見て言う。


「フフ……エッチ」


「な! 俺は何も言ってないだろ!」


「ウフフ、冗談だよ。まぁ、男の子だししょうがないよね」


「そう言うことじゃ無いんだが……」


 完全に清瀬さんのペースに飲まれてしまった。

 しかし、ここでこのまま終わる俺では無い。 なんで俺の事をそんなに思ってくれているのか、本当に俺の事がすきなのか、俺は清瀬さんに聞かなくてはならない。

 そうじゃないと、安心してこの子と一緒に居ることが出来ないからだ。

 いや、今だって考えてるよ、もしかしたら背後からガタイの良い男が二・三人出てきて、いちゃもんを付けて来るんじゃないかって……。


『てめぇ、人の女に何してやがんだ!』


『ひぃぃぃぃごめんなさい!!』


『お前……人の女に手ぇ出して、タダで済むと思ってんじゃねぇだろうなぁ?』


『は、はぃぃぃぃ!!』



 見たいな流れで金とか巻き上げられ無いよな?

 俺はそれだけが心配なんだ……。

 てか、こんな可愛い子が俺の事を好きだなんて、絶対裏があるに決まってる!

 そうだ、絶対に何かある!

 俺と付き合ったら100万円貰えるバイトとか!

 いや、どんなバイトだよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ