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#54

 暇になったし、芽生に電話でもしてみようかしら?

 何かあったみたいだし、至急って書いてあるし……。

 私は着替えを済ませ、店を出て彩葉に電話を掛けると、直ぐに指定された喫茶店に来るように言われた。

 なんだか凄く焦っている感じで、私は少し心配になってしまった。


「あ、おまたせ、どうしたの?」


「どうしたのじゃないわよ!」


「……いや、呼び出したの芽生じゃ……」


「もう訳が分からないの!」


「それは私の言葉だと思う……」


「良いから座って話しを聞いて!」


「そのつもりだけど……」


 私が席に着くと、芽生は静かに話し始めた。

「昨日……春山君とアンタのデートを尾行してたんだけど……」


「まって、最初になんで私達のデートを尾行したかについて詳しく」


「いや、その件はとりあえず置いておきましょう」


「私にとっては重要な事なんだけど……」


 話しを聞くと、芽生と栗原君は私たちと一緒に水族館に入ったは良かったものの、あまりに楽しすぎて尾行を忘れてしまい、後半は普通に二人で遊んでいたらしい。


「それで、それの何が大変なの?」


「話しはここからなのよ……」


「ここから?」


「えぇ……別れる間際……栗原君から……」


「から?」


「なんか……告白? みたいな事をされた……」


「ふーん……告白ねぇ……って、え!?」


 私はその話を聞いた瞬間、思わず持っていたコップを落とし掛けてしまった。

 

「こ、告白されたの!? 栗原君に!?」


「た、多分……」


「多分って……そんな遠回しな感じで言われたの?」


「えっと……『好きなんだ! 白戸さんの事が!』って言われたわ」


「それは『みたい』じゃなくて確定よ! え? そ、それでなんて答えたの!?」


 私は自分が興奮している事を理解していた。 栗原君は私も昔から知っている。

 人当たりも良いし、ルックスも校内では一番と言われている。

 性格の良さも知っているから、私は芽生と栗原君はお似合いのカップルだと思った。


「いや……あの……逃げ……ちゃった……」


「は?」


「そ、その……なんか思わず……」


「な、何してるのよ!! きっと栗原君きっとショック受けてるわよ!」


「や、やっぱり?」


「そうよ!」


 至急会いたいって言うのはこういうことなのね……。

 きっとどうしたら良いのか分からなくなって、私に相談してきったて感じね。


「もう、立場が逆だったらって考えなさいよ」


「そう言われても……私恋ってしたことないし……分からないし……」


「そうだと思うけど、何も言わずに逃げるなんて」


「た、確かにそうだけど……」


 いつもの芽生とはなんだか様子が違っていた。

 なんだか弱々しい感じで、いつものような堂々した雰囲気を感じない。


「んで、どうするの?」


「どうって?」


「だから、栗原君と付き合うの?」


「そ、そんな事言われても……」


 あぁ、なんか立場が逆になった気分。

 私も湊斗と別れたばっかりの時、芽生にいろいろ言われたっけ。


「好きじゃ無いの?」


「好きとか好きじゃ無いとか以前に……栗原君をそう言う目で見たこと無いから……」


「まぁ、初恋もまだだもんね」


 そんな芽生にこんな質問をしても仕方ないか……。

 

「じゃあ、栗原君が他の女の子とデートしたり、一緒に居たりするところを想像してみて」


「え? う、うん……」


「どんな気持ち?」


「うーん、後ろをこっそり付けて行って、後でからかいたい気持ち」


「あぁ……芽生らしいわね……」


 ダメだ。

 芽生は多分、栗原君に恋愛感情を抱いてはいない。

 恋愛感情を抱いているのであれば、少しはヤキモチを焼くはずだ。


「あ、でも……」


「ん? でも?」


「なんか……一緒に帰れないのは……嫌かも……」


「え?」


 ん?

 もしかしてこれって……脈が無い訳でも無い?

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