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#53

「好きなんだ! 白戸さんの事が!!」


「え………」


 そう言った瞬間、僕の目の前に居る彼女の顔が見る見るうちに赤くなって行った。

 そして、彼女はそのまま僕を残して去って言った。


「……言っちゃった」


 僕はそこからどうやって家に帰ったのかを覚えていない。

 答えを聞かないまま、白戸さんは言ってしまった。

 急にあんなことを言ったのだ、気が動転してしまったのだろう。

 後悔もあったが、今はなんだかスッキリした気分だった。

 僕は家に帰った後も白戸さんのあの表情が忘れられなかった。





 翌日、俺は直晄と共にファミレスに来ていた。


「「はぁ……」」


 二人でため息を吐きながら、注文したポテトを食べていた。

 しかし、なんで直晄までため息を?

 あいつも何か話したいことがあるって言ってたけど……何があったんだろうか?


「はぁ……それでデートはどうだったの?」


「え? あぁ……まぁ……上手くはいったけど……」


「結局どっちか決められ無いって落ちか?」


「……ま、まぁ……そうなるな……」


「だと思った……湊斗はそういう奴だよ」


「決めなきゃとは思ってるんだけど……正直どっちも良い奴なんだよな……」


「それは何? 断るのが申し訳ないって事?」


「あぁ……」


「でも、早く答えを出したほうが良いよ……二人の為にも、振られる方も早いほうが良いだろうし」


「そうか……」


 連休明けの学校で俺は二人の告白の返事を出来ればと思っていた。

 直晄の言うとおり、早く答えを出した方が、二人には良いのかもしれないと思ったからだ。

「んで……おまえはどうしたんだ?」


「うん……実は昨日ちょっとね……」


「何かあったのか? こっちも色々あったけど……」


「あぁ……実は思い切って白戸さんに告白してさ……」


「へぇ、そうなのか………って、え!?」


「ん? どうしたの?」


「いや、何さらっと言ってるんだよ! お前今結構重要な事を言ったぞ!」


「まぁ……昨日の今日で少し心の整理が着いたからさ」


「いや、理由になってねーよ!」


 驚いたな……まさか俺と藍原がデートをしている裏でそんな事態になっていたなんて……。

 俺は直晄から昨日の出来事を聞いた。


「マジか……」


「なんか、言っちゃった……」


「言っちゃったってなんだよ」


「うん……でも正直なんかスッキリしたよ……ずっと言えなかったから……」


「……そうか……良かったな」


「うん……まぁ、答えがどうなるかわからないけど」


「……やっぱり……待ってるのは辛いか?」


 俺は直晄にそんな質問をしていた。

 告白の返事を待っている直晄と、告白の返事をする俺は対照的な位置に立っている。

 だから俺は、返事を待っている方の意見を聞いてみたかった。


「あぁ……辛いって言うよりは……なんか、合格発表を待ってるみたいな感じかな? ソワソワして落ち着かない感じ」


「なるほどな……」


 俺も早く答えを出さなくてはいけない。

 この一ヶ月が、俺には一年にも近い凄く長い期間に感じる。

 

「さて、今日はどうする? 解散して一人で悩むかい? それとも僕とボーリングでも行くかい?」


「じゃあ、ボーリングで」


「そう言うと思ったよ」


 俺と直晄は席を立って、そのままボーリング場に向かった。





「いらっしゃいませー」


 ゴールデンウイーク前半、私は家の手伝いで、今日はパン屋のレジに立っていた。


「由羽! 休憩行ってきなさーい!」


「は-い!」


 母親にそう言われ、私はパートのおばさんとレジを変わり、奥の休憩室に向かう。

 

「はぁ……疲れた」


 私は休憩室でそんな事を呟きながら、付けていたエプロンを外して昼食を食べ始める。


「……湊斗、何してるかな?」


 ふと、私はそんな事を考える。

 昨日は楽しかった。

 久しぶりに時間が過ぎるのが早いと感じた。 

「あんな事は言ったけど……」


 私じゃなくて、清瀬さんを選んでとは言ったものの、湊斗から直接振られるまでは諦めがつかないと言う本音もある。


「……はぁ……でもまた付き合って、また喧嘩ばっかりになるかもしれないし……やっぱり清瀬さんの方が良いよね……」


 誰かから聞かれている訳でもないのに、私は何を言っているのだろうか……。

 私がそんな事を考えながらご飯を食べていると、スマホに誰かからメッセージが送られてきた。


「ん? 芽生から? どうしたのかしら……」


 私はスマホのロックを外して、メッセージを確認する。


【相談 有り 至急 連絡】


「なにこれ?」


 送られてきていたのは、単語が四つだった。 とりあえず、至急連絡が欲しいのは分かったけど……何かあったのかな?

 でも、あと一時間くらいで戻らないといけないし……。


「由羽!」


「ん? 何、お母さん?」


「あんた、今日はも上がって良いわよ。今日はそんなに忙しくないし」


「え? 良いの?」


「えぇ、お父さんが最近、誰かの影響で凄いやる気出してるから、仕事が早いのよ。だから余裕があるからアンタは遊びにでも行ってきなさい」


「あぁ……そう言うこと」


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 正直序盤からうざったかった友人たちの恋愛に興味ないし長い
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