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35/55

#35

 俺は直晄と久しぶりに帰ることにした。

 学校が終わり、俺は直晄と一緒にアパレルショップに向かった。


「さて……どれが良いんだ?」


「そうだなぁ、これなんかどう?」


「いや、それは派手過ぎるだろ」


 一応デートだし、私服がださいと言われるのも嫌なので、俺は真剣に服を選ぶ。

 こういう時、直晄と友達で良かったと思う。 直晄はセンスも良いし、何より服を買うのが好きなのだ。

 流行なんかも知ってるので、色々アドバイスをして貰える。


「そうだなぁ……無難に今流行の組み合わせで良いんじゃ無い?」


「なるほど」


「まぁ、湊斗には普通の格好が一番かもね……はい、これ着て」


「お、おう……てかこんなに着るのか?」


「服を選ぶのは簡単じゃないんだよ。ほら早く着て」


「わ、わかったよ……」


 俺はそう言って更衣室の中に入り、服を試着し始める。




 僕は今、湊斗と一緒にアパレルショップにきていた。

 デート用に服を買いたいと言った湊斗と一緒に来た。

 今は僕が選んだ服を湊斗が試着しているところだ。


「なんか懐かしいな……」


 昔もこうして湊斗とデート用の服を買いに来た。

 あの時はまだ、湊斗と藍原さんが付き合って間もないころだったけど。

 今は相手が違うんだよなぁ……。

 僕はそんな事を考えながら、湊斗が更衣室から出てくるのを待つ。


「あれ? 栗原君?」


「ん? あ、白戸さんと藍原さん。買い物?」


「まぁね、栗原君は?」


 湊斗の着替えを待っていると、偶然同じ店に白戸さんと藍原さんがやってきた。


「僕も服を見にね」


「あれ? 誰かと来てるの?」


「あぁ、実は……」


 そう言いかけた瞬間、俺は咄嗟に言葉を止めた。

 藍原さんに湊斗が清瀬さんとのデートの服を選んでいるなんて言ったら、きっと悲しむに違い無い。

 ここはなんとか誤魔化さないと……。


「あぁ……ちょっとクラスの友達と……」


「そうなんだ。あ! もしかして春山君?」


「一緒に来てるの?」


 案の定二人は湊斗と僕が一緒に来たと思っているらしい。

 まぁ、当たりなんだが……ここはなんとか誤魔化そう。

 丁度良く、湊斗は更衣室の中だし、この場から二人を離そう。


「いや、残念ながら今日は湊斗とじゃ……」


 そう僕が言いかけた瞬間、僕の直ぐ側の更衣室のカーテンが開いた。


「直晄、どうだっておわ!!」


 僕は開いたカーテンを無理矢理閉じ、出てきた湊斗を更衣室に押し込める。


「今、春山君の声が……」


「き、気のせいだよ!!」


「でも……」


「気のせい気のせい!」


 暴れる湊斗を抑えながら、僕は必死に誤魔化し続ける。

 てか、察してくれ湊斗!!

 なんでこんな時に限ってこんな暴れるんだ!!


「そ、そう……な、なんか大変みたいね……」


「芽生、なんか邪魔しちゃ悪いし……そろそろ行こう……」


「そ、そうね……じゃあね栗原君」


「う、うん! じゃあね!」


 そう言うと二人はレディースコーナーに向かって歩いて行った。

 

「はぁ……危なかった……」


「ぶはっ!! い、いきなり何しやがる!!」


「あぁ、ごめんごめん……でも感謝して欲しいなぁ、僕は湊斗と藍原さんのために頑張ったんだよ?」


「はぁ? なんだよそれ? それよりどうだ?」


「え? あぁ……良いんじゃ無い?」


「適当かよ!」


 バレなくて良かったけど、完全に変な目で見られてたな……。


「それより、さっさと服買って帰ろう」


「え? さっきは服を選ぶのは簡単じゃないって……」


「そんなのどうでも良いから、早くそれ買って帰るよ!」


「さっきと言ってる事違くない!?」


 僕たちはそうして店を出た。

 結局、湊斗は最初に試着した服を購入していた。


「たく……まぁ、服は買えたから良いけど……」


「だからごめんって、さぁ早く帰……」


「あら? 春山君?」


「あ、清瀬さん」


「え!?」


 店を出て直ぐだった、清瀬さんが丁度店にやってきたのだ。

 まずい……。

 この流れはもしかして……。

 僕がそう思った時には、もう遅かった……。

「あれ、湊斗?」


「え? 春山君?」


 店の方から今度は白戸さんと藍原さんが出てきた。

 

「……まずい」


「………お前がなんで俺を更衣室に押し込んだのかわかったわ……ありがとう」


「まぁ……それも無駄だったみたいだけど……」


 気まずい空気の中、湊斗は僕にそう言った。




 まず、なんでこうなったのか……俺は不思議だった。


「えっと……全員フリードリンクで良い?」


「う、うん……」


「私も大丈夫」


「ぼ、僕もそれだけで……」


「お、俺も……」


 服を買って買えるはずだった……しかし、今のこの状況何なのだろうか?

 俺は今、ファミレスの一番奥の席で、元カノと現在言い寄られている女の子に挟まれて座っていた。

 俺の目の前の席には気まずそうな顔した直晄と、なんだか興奮した様子の白戸さんが座っていた。

 マジで何、この状況……。

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― 新着の感想 ―
[一言] 恋愛は戦争。清瀬はこの中では孤立してるので、この四人の関係を壊すつもりで行かないと。 別れたことを本人の前で再確認して、煮えきらなかったら好きなことを伝えてな無駄でもこぼして、自分の気持ちを…
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