#20
まったく!
別に怖くなんて無かったわよ!
私一人でだってなんとか……出来たわよ。
「なぁ……」
「なによ?」
「なんで俺たちって……なんで仲悪くなったんだけ?」
は?
なんでこいつはこんなそんな事を聞いてくるのよ……。
そんなの……私だって……わからないわよ……。
なんでか知らないけど……いつの間にかお互いに喧嘩が多くなったんじゃない……。
「……知らないわよ……お互いに合わなかったからでしょ?」
「そうか……なんで合わなかったんだろうな……」
なんでそんな事を聞いてくるの?
私はそっちの方が気になるわよ……。
もしかしれこいつ……私と……。
いやいや、ないない!
私と湊斗はもう……。
「……もう……終わったことでしょ?」
「そうだよな……悪い……変な事を聞いた」
「良いわよ、気にしてないわ」
そんな話しをしているうちに、私と湊斗は目的地である私の住んでいるマンションに到着した。
「ん……ここで良いか?」
「うん……ありがと」
「じゃあ、俺はもう帰るな、機種変行かないとだし……」
ここで湊斗とはお別れか……。
なんか、付き合い始めたころ見たいで……少し楽しかったなぁ……。
明日からこいつ……清瀬さんと帰るのかな?
「ん?」
「あ……いや……」
私はそんな事を考えながら、自然と湊斗の制服の袖を掴んでしまった。
私、何やってるの!!
こんなことしたら、何か勘違いされちゃうかもしれないじゃない!!
「なんだ? どうした?」
「あ、あの……私も……行く……」
「え?」
*
もう訳がわからない。
俺はそんな事を思いながら、一旦家に戻った藍原を待っていた。
機種変に行くと行ったら、なんか藍原も一緒に行くと言い出した。
いや、なんで?
あいつも機種変とかするの?
てか、そんな話し一切してなかったし……。
「わからん……」
俺が藍原の行動に頭を悩ませていると、準備をしてきた藍原がマンションから出てきた。
「お、お待たせ」
「おう……全然良いけど……お前も機種変?」
「ま、まぁ……そんな感じよ……私のスマホもバッテリー持たなくなって来てたし……アンタが行くなら、付いて行った方が安全だし……」
「そ、そうか……じゃあ行くか」
俺と藍原は携帯ショップに向かい始めた。
まさか、携帯ショップに藍原と一緒に行くことになるとは……。
俺がそんな事を考えていると藍原が俺に聞いてきた。
「機種……何にするの?」
「え? うーん……そうだなぁ……ゲームとかも結構するし……無難にMYPhoneかな?」
「アンタスマホゲーム好きだもんね」
「だって、無料でどこでも遊べるんだぜ? 神だろ?」
「はいはい、アンタは暇さえあればずっとスマホ弄ってるタイプだもんね」
「そう言うお前だって、写真撮りまくるじゃねーか!!」
「わ、私は趣味なのよ! 写真を撮る趣味!」
「その度にSNSに上げてる癖に……なんだ? 映えか? なんとか映えってやつか?」
「うるさいわね! このゲーマー!!」
「ぎゃっ!! ケツを蹴るな……」
俺は蹴られたケツを押さえながら、藍原にそう言う。
俺と藍原はスマホの機種が違う。
俺のは全世界で売れている人気機種で、藍原のはカメラ性能が異常なまでに良いスマホだ。
正直、俺は今回も大人気のMYPhoneの新機種にしようと思っているのだが、藍原は何にするのだろうか?
「そう言うお前は今回は何の機種にするんだ?」
「ん……なんか新しいMYPhoneのカメラ性能が凄く良いって聞いたから……私もそれにしようと思ってるわ」
「マジかよ、今のスマホと全然操作とか変わっちまうぞ?」
「大丈夫よ、どうせすぐ覚えられるから」
「本当かよ……」
ショップに到着し、俺たちは整理券を取って呼ばれるのを待った。
平日の夕方と言うこともあってか、すぐに順番が回ってきた。
「いらっしゃいませ~、本日はどのようなご用件でしょうか?」
「あぁ、どっちも機種変なんですけど」
「あ、はい! かしこまりました」
担当のお姉さんにそう言うと、すぐに機種変の準備を進めてくれた。
契約者に必要な書類なんかを渡し、色々説明をされた後、つに機種変する機種を選ぶことになった。
「さて……どうするかな……」
「あんた、さっきMYPhoneにするって行ってたじゃない?」
「あのなぁ、MYPhoneって言っても一種類じゃないんだよ。ProとかSEとか色々あるし、色とか容量も選べるんだよ」
「そうなの?」
「はい、色も現在四種類がありますし、大きさも二種類用意しているんですよ」
「ふーん……ねぇ、アンタどれにするのよ?」
「それを今決めてるんだろ、どうするかなぁ……」
「もう、面倒だから一番性能が良くて容量の大きいこれにしたら?」
「そう言うのは高いんだよ、しかもなんでピンクゴールドなんだよ……」
「可愛いじゃん」
「俺は男だぞ!」
「男の子も最近はピンクの服とか着るじゃない? アンタは多分絶対似合わないけど」
「うるせぇ! 大体、お前は決まったのかよ!!」




