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#15

 帰りの車の中で、母さんは俺に色々と聞いてきた。


「何、漫画の主人公みたいな事してるのよ。こっちは心配したわよ」


「ごめん」


「まぁ、喧嘩とかじゃ無いから良いけど、親は子供が怪我したって言われたら心配なのよ」


「あぁ、うん」


「はぁ……何? 助けた子って知ってる子だったの?」


「まぁ……ちょっとね……」


 まさか元カノなんて言う訳にはいかないしな……。

 俺は藍原の事を車の中で考えながら、自宅に到着するのを待った。

 藍原は大丈夫だろうか?

 あいつ、性格はあぁだけど可愛いからな……狙われるのも無理も無いか……。

 俺はそんな事を考えながら、自宅の自室に真っ直ぐ向かい、ベッドに倒れ込んだ。

 今日は疲れた。

 

「はぁ……疲れた」


 声に出すと同時に俺はベッドの上で大きく伸びをする。

 

「はぁ……まぁ、あの状況じゃ仕方ないよな……」


 俺は先程の事を思い出しながら、藍原の事を考えていた。

 あいつ……怖かっただろうなぁ……。

 大丈夫だったか連絡してみるか……清瀬さんにも今日急に帰れなくなった事を謝りたいし。

 俺はそう思い、バックに入れていたスマホを取り出す。

 しかし……。


「げっ! 画面バキバキじゃねーか……うわっ……マジかよ最悪……」


 俺が咄嗟に鞄を投げ捨てたのが悪かったのか、俺のスマホは見るも無惨な姿になっていた。

 画面はバキバキに割れ、タッチパネルが機能しない。

 ボタンは反応するので、液晶だけが壊れたのだと思うが……。


「はぁ……明日ショップ行くか……母さんに委任状も書いて貰わないと」


 俺はスマホを机に置いて、ため息を吐きながら母さんに事情を説明し、機種変の許可を貰う。

 はぁ……バックアップとか取れるのかな?

 俺のソシャゲのデータ……。





『藍原!!』


 私が連れ去られそうになった時、私を救ってくれたのは、別れたはずの彼氏だった。


「……湊斗」


 私は自室のベッドで天井を見上げながら、今日の出来事を考えていた。

 いきなり男の人に車に乗せられそうになり、私は恐怖を感じていた。

 そんな時、湊斗の声がした。

 見ると、湊斗が走って私の元まで駆け寄り、私を助けようとしてくれた。

 必死で私の腕を掴み、私を助けようとしてくれた。

 湊斗が来たとき、私は自然と安心していた。 でも、湊斗が殴られた時、私は湊斗を心の底から心配した。


「……大丈夫だったかな……」


 私は警察に少し事情を聞かれ、後日詳しく話しを聞かせて欲しいと言われ、今日は帰ることになった。

 怖い思いをしただろうからと、一日ゆっくり休んで欲しいということらしい。


「あいつ……頭から血出てたし……」


 私は湊斗の事が心配になり、湊斗に久しぶりにメッセージを送った。


【今日はありがとう。頭大丈夫だった?】


 大丈夫かしら?

 可笑しな事書いてないわよね?

 私は文章を見返して、変なところが無いかを確認する。

 大丈夫よね?

 変じゃないわよね?

 そんな事を考えていたら、文章を作成して送信するのに十分も掛かってしまった。

 

「はぁ……なんでこんな緊張してんだろ……」


 私はそんな事を考えながら、湊斗からの返信を待つ。


「あいつ……本当に大丈夫よね?」


 私は湊斗が病院に行っている間に、両親が迎えに来たので、湊斗の怪我の具合について何も知らない。

 私のせいで怪我をしたようなものだし、怪我の具合が気になる。


「……あの馬鹿……何格好つけて無茶してるのよ……弱いくせに……」


 あいつがそういう奴だってことは、昔から知っている。

 誰に対してもそうなのだ。

 そんなあいつを……私は……。


「あぁぁぁ!! 何考えてんのよ私!! もう……終わったじゃない……」


 私は自分にそう言い聞かせる。

 そうだ、もう湊斗と私は終わったんだ。

 一回助けられたくらいで、私の決心は揺らがない!

 そう私は自分に言い聞かせる。

 でも、湊斗が助けてくれたのは事実だし、ちゃんとお礼は言わないとね……。


「あいつ……本当に大丈夫かな?」


 あれから数分経つのに、湊斗の奴既読も付かない……。


「も、もしかして……入院とかしてないわよね?」

 

 私はそんな事を考えながら、湊斗からの返信を待つ。

 しかし、待てども待てども湊斗からの連絡は無いし、既読も付かない。


「もう! なんなのよ! 私が折角心配してあげてるのに!」


 結局、私は一晩中湊斗の返信を待っていた。




 朝、俺はベッドから起きて体のだるさを感じた。


「あぁ……昨日の疲れが残ってる感じがする……」


 昨日は色々な事があり過ぎて疲れたし、一日で疲れが取れるわけないか……。

 俺はそんな事を考えながら、準備を済ませて学校に登校する。

 教室に着くと、クラスの皆の視線が俺に集中した。

 原因は恐らく頭に巻いた包帯だろう。


「おい、あれ!」


「うわ……まじかよ……これが修羅場ってやつだな」


「三角関係の縺れね……怖いわ~」


「やったのは藍原かな?」


 なんかクラスメイトがコソコソ話しをしていたが、多分勘違いだと思う。

  

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