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叩き上げ天使が神様に成り上がるまで。発  作者: IS提督
第0章 プロローグ 天界まで
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第1話 男の話

第1話


 パンッ!



 爆竹の音を数倍に大きくしたような音...銃声があたり一面に響く。



「な‥‥‥なんで?」


 声を上げた女が目を見開きながら跪き、声を上げる。


 「何で‥‥‥まだ生きているの⁈」


 そう言いながら、女は目の前の男に目を向ける。


 男の容姿は、短く整えられた黒髪に、アジア人特有の黒い瞳、この地域で活動をしてた故の黒く日焼けした肌に、ある程度整った顔。


 彼の容姿は、居るべき場所にいるべき時間に居たのであれば間違いなく女受けが良い...。


 そんな男では在るが、今の男にはその様な場所に行ったとしても女受けが良いとはお世辞にも言えないだろう。


 何故ならば、彼の手には妙にしっくりときている銃...回転式拳銃が収まっており、そして彼のわき腹からは滝の様に血がとめどなく垂れ流れていた。


「う、嘘よ‥‥‥。何で? 何かの冗談でしょ?」


 女はいかにも場違いな程の男に目を向け、話かける。

 

 その男の手に在る回転式拳銃には、まだかすかに白い煙が立ち上って居る為、先ほどの銃声が何所から発生したのか想像することは容易い。


 「ハァ、ハァ、何故って‥‥‥、生きてるんだから仕方がないだろ‥‥‥」


 血塗れの男は、苦しそうにしながらも女の質問に答える。


 答えると言っても明快な理由をつけることなく、ただその様な結果が起きている故の事だと在りのままの事を言う。


 「ハァ、さてっと」


 男は、生きている事さえ苦しい程の傷を受けながらも徐に立ち上がり、ゆらり、ゆらりと女に歩み近づいていく。


 何故、男が動かない体に鞭を打ってまで近づいてくるのか?


 女は考える。‥‥‥この迫りくる「悪魔」と化した男について。何が奴を此処まで動かしている?彼を止めるには一体何をすれば良いのか?


 何故? 何故‥‥‥?

 ま、まさか!?


 女はかつて男が語っていたことを思い出す。


 「や、やめて! こないで!」


 女が叫ぶが、男は歩みを止める気配はない。


 何とかしないと! 何が!? 何がある!?

 

 女は自分の置かれている状況について頭をフル回転させ、打開策がないかを考える。


 女の手の中にある武器は男と同じタイプの回転式拳銃、男を撃ったのを最後に弾が無くなってしまい使えない。


 他に! 他に何か?!


 女は思考を巡らせる。緊急用に何かを準備していたはず!


 焦るな! ほかに手は無いのか?


 !?そうだ、もう一つあるではないか! 自分だけが知っている、自分しか知らない隠し武器が!


 女はグニャリと口元を歪め、右手を後ろ腰に伸ばし掴んだ武器を思いっ切り引き抜こうとする。


 パンッ!


 「ウグゥ!?‥‥‥ア? ァ?!」 


 男は女の微妙な変化に気づいたのか、女が行動を取るよりも先に女の右腕を打ち抜く。

 

 予想外の事が起こった女は、その衝撃と痛みで自らを救うはずだった隠し武器の飛びナイフを自分の背中に誤射した。


 「ウグァァッ!!アガァァァァ‥‥‥」


 そのうめき声からは、女の綺麗な声からは想像できないような声を出して悶え苦しむ女の視界の端には、この世の人間とは思えない男の姿...例えるので在れば【悪魔】が映りこんでいた。


 ゆらり、ゆらり、ゆらり、男が女に近づく。その歩みは男の果てしない怒りを通り越した哀れみを感じ、その姿はどうしようもないほどの男の切なさを感じ、そのすべてには男の、男が男に対するふがいなさを感じさせた。


 「お願い‥‥‥助けて‥‥‥。」


 涙声を出しながら女は男に命乞いをする。


 「ハァ、ハァ‥‥‥、アンタがこんなことを仕出かさなければ、アンタと私は今頃この危険地帯を抜け出し、温かい食事を食べてふかふかのベットに身を包まってただろうに!」


 言葉を言い終えると同時に男はガックリと膝を地面に付く。まるでその姿は、この世のすべてに絶望をしたかの様に。

 

「けれども、その小さな幸福も叶わぬ夢となり消え去った」


 男はそう言うと、手に持っていた回転式拳銃を女の額の前に構える。


「お願い! 本当にごめんなさい! 私が悪かった! 命だけは助けて!」


 女は叫ぶ。

 

命だけはどうか助けてほしいと。この状況で命乞いをしても意味はない事を女は理解しているのにも拘らず声の出る限り叫び続ける。


 「お願い‥‥‥。お願いよ‥‥‥」


 火事が鎮火したかのように、先ほどまでのヒステリックなまでの勢いを失った女の声が男の耳に入る。


 「‥‥‥」


 しかし、男は以前として女の吐く言葉に反応を示さず女の前で銃を突き付けている。その姿からは女から出てくるであろう言葉を待っている様でもあった。


「本当にお願い‥‥‥。私にできる事は何でもするから‥‥‥。お願い‥‥‥お願いよ‥‥‥許して‥‥‥」


 女からこぼれた声に男がピクリと反応を示し、回転式拳銃のハンマーを起こす。


 「一つだけ‥‥‥アンタには感謝してることがある。本当にありがとう」

 

 そう言いながら男は力強く回転式拳銃を握りしめる。


 「え‥‥‥?」


 涙を流しながら、男の言っている言葉の意味を理解できない女は腑抜けた声を出す。


 女が腑抜けた声を出す理由は簡単である。瀕死とは行かないものの自身の体に多大な傷を受けながらも女にも多大なダメージを与えた男は、清々しい顔で感謝の言葉を口から吐き出す。


 その行為がさらに女の感じる不安を巻きたてる。


 「一つだけ‥‥‥アンタを許すことが出来ることが在る」


 女の不安が最高潮に達する頃に、男の口から放たれる一言の言葉。その言葉に一瞬、安堵をしたかの様に表情を緩める女に男は口元を優しく緩めながら言う。


「アンタが俺の手で死ねば、今までの全てを許せる」


 男の声は何処までも優しく、全てを包み込むような安心感があり、そして女にすべてを悟らせた。


 「あ‥‥‥あァァァァ‥‥‥」


 女の目からは、だらしなく涙がポロポロと頬を伝って乾いた地面に滴り落ちる。


 「今までありがとうな。これが、俺からアンタに対する最大のお礼だ。‥‥‥もし、向こうで会ったらよろしくな。アンナ」


 「待って!! お願い!! まっ‥‥‥!!」


 女は最後まで言葉を紡ぐことはなかった。


 何故ならば、女が言葉を最後まで紡ぐよりも先に男が女の額を撃ったからだ。


 「ふぅ‥‥‥」


 男の口から、大きな息が漏れる。


 男は、自分の血なのか、それとも先ほどの女の血なのか、あるいは両方の血なのか、が付着した手で胸元にあるポケットに手を突っ込むと、紺色の小さな箱に英語の文字、日本語に直すと『平和』と書かれた紙製の箱と、大昔にドイツ軍将兵が使用していたと言われる機械的なオイルライターを取り出す。


 ジュッ!


 男はライターで口元に加えた一本の両切り煙草に火を灯し、煙を口腔内まで導き、肺に煙を入れることなく鼻から6割、口から4割の割合で煙を吐き出す。


 フゥー‥‥‥。

 

 ‥‥‥死ぬ前の一服、まさに冥土の土産だな。まぁ、冥土に行ければの話だがな。


 男は心の中で穏やかな調子で思う。


 あぁ‥‥‥、『今回』もクソ同然の人生だった。だが同時に、自分に不足しているものを再確認出来た人生だったな。いや、自分の環境をクソにしている原因は自分で在ったか‥‥‥。


 煙が立ち上る煙草を咥えながら、男は『今回』について分析を行い原因を突き止める。


 ‥‥‥結局は、全ての結末を考えれば簡単にわかる。自分の選択の悪さがすべての元凶である事に。


 しかし、しかしだ。自分自身、一番良い結果となるであろう行動をとってきたのだ。

 結果論から言えば、間違いの選択ではあったが‥‥‥。

 どうすれば‥‥‥。

 どうすれば今回の問題を一番良い形で納める事が出来たのだろうか‥‥‥。


 『他人を信用なさい。そうすれば、どんな時でもあなたが描く未来になるわ!』


 ある人物がその様な事を自分へ助言してくれた。しかし、結局のところ他人は他人でしかなく信用するには足りないモノである。


 プォォン! プォォン! プォォン!


 男の思考がそこまでに到達すると、何処からとも無くラッパの様な音が聞こえてきた。


 やっとか‥‥‥。


 男は『待ち望んでいた』かのように煙草を咥えたまま両手を広げ空を見た。


 ようやく、ようやく、終わりを告げる合図のお出ましだ!


 男は、痛く苦しいはずの体を動かし立ち上がる。


 何故男はここまで歓喜を露わにしているのだろうか?それには、今現在聞こえているラッパの様な音が大きく関係しているからである。


 男はどんな致命傷を受けていても、どんなに苦しみを味わってもこのラッパの音が聞こえない限りは苦しみから解放されることはない。

 その証拠に男が今さっきまで座り込んでいた場所は在り得ない程の血が水たまりの様になっており普通で在れば絶体に絶命しているほどの失血量であるのにも関わらず、男は今だに両足で大地を踏みしめ歓喜を露わにしている。


 

 ラッパの様な音が聞こえ始めてから数分。男はこれまでに感じたことのない違和感にさらされていた。


 ‥‥‥ラッパの音、音程が違う?


 男は先ほどの喜びから打って変わり、ラッパの音に違和感を感じてしかめっ面をしていた。

 

 普段であれば、ラッパの音は単調でテンポを取る様な音程があるわけが無く、もうすでに『新しい人生』に移っているはずなのだが?

 今回に限っては音が流れる時間が多い。そして一番の違和感の原因‥‥‥、まるで音楽を奏でている様な音程が聞き取ることが出来たからだ。

 

 その音楽は、何かを祝福しているようにも感じる‥‥‥。

 その様な音楽である。


 

 急にラッパの音が鳴りやみ、世界を静寂が包んだ‥‥‥。そして男の視界には眩いばかりの光が視界を塞ぐ。 

ご無沙汰しておりました。IS提督でございます。

文章力の無さに常に悩まさせられる日々です。…もっと勉強しなければですね。

今回よりも次話、次話よりもその次の話。この様にして文章のクオリティを上げていけるように精進致します。


…後書きってこんなことを書いても問題ないですよね…?

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