右と左足
ファサッ、ファサッ。
「タカユキよ、それが最後か」
「ロマネスクめ...!」
もはや力尽き地に伏しているタカユキを見下ろしロマネスクがその邪悪なる白い翼を羽ばたかせながら言った。
「もはや貴様もここまでか。最後の英雄と謳われた貴様が倒れればこの世界も終わりだ。さらばだタカユキ、塵となって消えよ!イーサ・デル・コマフ・アロー!」
キュウイイイィィ~ン!!
「う、うわああぁぁぁ~!」
ロマネスクの放った光は刃となりタカユキの胸を貫いて爆ぜた。タカユキの五体は爆風により跡形もなく消失した。もはや彼のポーマは感じない。ロマネスクは勝利への歓喜と来たる暗黒の支配への嘱望から高らかに笑い上げた。
「ふはははは!!邪魔者はすべて消し去った!ついに世を支配できる時が来たのだ!待ってろよソラジンども、いま新たなる恐怖を見せてやる...!」
ピシュ~~ン!
ロマネスクはソラジンの住むママフストの都へと飛び立った。
ママフストへの道すがらロマネスクは自らの強さを再確認するかのようにこう囁いた。
「私に勝てる者などいないのだ...」
ロマネスクがママフストへ飛び立ってから半刻が過ぎたころ、タカユキのポーマの消失を感じたハルカゼとトキカゼが爆風の震源地に到着した。そして姿の見えない師の安否を知るべく辺りを探しまわった。
「先生ー!先生ー!どこにおられるのですかー!」
ハルカゼは口に手をあて怒鳴るように呼びかけた。だが、先生の返答はない。
「先生は死んだのだ...」
微かに残るポーマの残滓から師はこの地で爆風に飲まれ死んだのだと二人は悟った。
「うわ~~ん!!ぶえ~~ん!!どわ~~ん!!、グヘっ、グヘっ!オロロロロ、ビチョビチョビチョビチョビチョ」
ズズズズズ。二人はその場に泣き崩れた。