表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポルックス  作者: リア
ポルックス
20/212

19話 魔族

「柑那!届けに来てやったよ!」



 柑那さんに向かって気安く手を振る少女。この子、柑那さんを呼び捨てにしている。柑那さんは礼儀に厳しいと思っていたのだが、案外甘いのだろうか?



「久しぶりだね、明日香(あすか)。」



 おや?柑那さんも名前の後に「さん」を付けないあたり、相当親しい間柄なのか。でも、こんな10歳くらいの少女が?



「あの、柑那さん。どなたですか?」

「この人は明日香。私の幼馴染です。」



 なるほど、幼馴染。そりゃあ親しげなわけだ。...って、え?じゃあ明日香さんっていったい幾つなんだ?



「見ない顔だね。新入り?」

「えっと、この教会で1週間程前からお世話になっている海胴で、こっちは妹の四包です。...失礼ですが、年齢をお伺いしても?」

「女性に年齢を訊くなんて、野暮ってもんだよ。」



 そう言ってウインクする。その子供っぽい仕草は様になっている。小学生くらいにしか見えない。



「明日香は私より2,3歳上ですよ。」

「うそぉ?!」

「あーこらー、乙女の年齢をバラすなよー。つまんねーなー。」

「何が乙女ですか。いい年してまったく。」



 よく見ると、明日香さんの耳の先は少し尖っている。いわゆる、北欧神話に出てくるエルフというやつだろうか?



「そこの坊やが困惑しまくってるから、説明してあげなよ。」

「そうですね。」



 曰く、彼女は「魔族」という種族だという。正確には種族という程ではなく、突然変異のようなものらしい。

 変異する理由としては、妊娠した母親が魔素の濃い場所に居続けることで、体内を経由して胎児に渡る魔素が多くなるから、ということだ。

 魔素が多くてなぜ耳が尖るのかはよくわからないが、寿命が延び、体内を廻る魔素が増える代わりに、身体の器官が衰え、子供が産めなくなるらしい。



「だいたいどのくらい長生きするんですか?」

「うーんと、普通の人の3倍くらいって聞いたことあるよ。あ、そうそう。これを届けに来たんだった。」



 身体のわりに大きなリュックから大きな布を取り出す。いわゆるモノクロカラーで、チェック柄になっている。僕の好きなタイプだ。四包はもっと派手なのが良いらしいんだが。僕らはやっぱり似ていない。



「でっかい布ってこれしかなくてさー。我慢しておくれ、お嬢ちゃん。」



 背伸びして四包の頭をヨシヨシしようとする明日香さん。年齢は上だが見た目が伴わないとすごく違和感を感じるな。



「じゃ、積もる話もある事だし、今日は教会にお泊まりしていこうかな。」

「そう言うと思ってましたよ。仕事はいいんですか?」

「んー、まあ大丈夫かなー。」

「明日香さんはどんなお仕事してるの?」

「服屋さんってやつだよ。襲撃前はそれなりに繁盛してたんだけど、今じゃ仕事が少なくてねー。農業の手伝いもしてるんだよ。今日の分は若造どもに押し付けてきてやったけど。」



 ニシシと笑う明日香さん。柑那さんの肩を掴んで教会へと入っていく。子どもたちと混ざっても、違和感が働いていない。あれで三十路(みそじ)だぞ?さすが異世界。

 さて、第二段階、住の材料は手に入った。組み立てくらい旅先でもできる。



「あとちょっとだね、お兄ちゃん。」

「ああ、あとは食料。さて、どうなってるかな。」



 陽のあたる場所に置いておいた容器を覗き込む。



「うわあ。」

お読みいただきありがとうございます。

アドバイスなどいただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ