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悪役令嬢の害意

 武道会から数週間、やたらとボディタッチの多い王子をかわしつつ、妹の暴走を止めつつ、何とか俺は胃の痛い日常を切り抜けていた。


 そんなある日……


「ルクソール様は男の癖に王子を身体で篭絡したそうですね。」

「俺たちにもその手腕を見せてくださいよ。」


 何 で B L モ ブ プ レ イ 用 の モ ブ が 沸 い て 出 る ん だ 、 こ の ク ソ ゲ ー …… ! ! !


 人気の無い校舎の裏庭で、俺は見知らぬ生徒達に捕まっていた。モブプレイ用だから、顔は黒塗りイメージだな。ははは。


「余裕そうな顔だな。武道会をまぐれで準優勝したからって、調子に乗ってるんじゃないぞ? ここは魔術封じの領域になっているんだからな。」


 モブはニヤニヤしながら、両手に一抱えほどの大きさの魔道具を見せてきた。

 見たことがある。周囲で魔法が使えなくなる魔道具だ。結構な値段がするはずだが……。

 モブ達は中流以下の貴族だ。魔術封じの魔道具なんて買える財力はないはず。……裏に妹あたりがいて指示を出したか。……妹よ、お兄ちゃんをモブ姦してオカマになったらどうする気だ? 一生兄妹である事実は変らないんだぞ!??


「魔術が使えなきゃ、お前のひ弱な身体じゃ抵抗できねーだろ。小せぇもんな、大貴族様。」


 あ、コイツ、許さん……


 瞬間、ショートカットだった俺の髪の毛が一気に伸びた。髪は周囲に居た男たち全員を締め上げ、叩きのめした。続けて、魔術封じの魔道具のコアが破壊される。


「魔術封じはよくある手だからな、対抗策もいくつも考案されているんだ。」


 魔術封じは魔力を外部に放出する技を禁じるだけで、体内での魔力の移動まで妨げることは出来ない。身体強化は半分程度外部放出だから弱くなってしまうんだけど、身体の一部を変形させて武器にする運用法もあるんだ。


「魔道具一つで格上の魔術師に勝てると思ったのか? 甘すぎるぞ。」


 俺は人差し指の爪を鋭利に変形して伸ばし、一人だけ気絶せずに残っていたモブ、さっき俺の悪口を言った奴の頬を切った。


「ひっ……」


 男が怯える。


 さて、でも……、これからどうするかなぁ。

 被害届を出してこいつらを正式に罰してもらうと、黒幕に妹がいることがバレてしまう。そうしたら、公爵家のスキャンダルだ。


「公にはせず、ここでちょっと甚振って落とし前つけるか……。」


 何て考えていたら……、



「妙な魔術の気配がすると思ったら……。どういうことだ?」


 人が来てしまった。


 現れたのは王子以外の攻略対象キャラ、宰相息子のアルマンと、騎士団長息子のヒューゴだった。


「どういうことだ? ラヴェンナが下級貴族を苛めるとは思えないし……。」

「魔術封じの魔道具がありますね。これを使って利益のある側、倒れている方が悪ということですか。」


 アルマンが目ざとく魔道具を見つけてしまった。来るのが早すぎるよ。まだ証拠隠滅していない。


「ラヴェンナは綺麗だからな。狙われたか。」


 ヒューゴが一人で納得したように言う。状況は当たっているけど、そう簡単に納得されるのは嫌だ。まさか男が!?くらい欲しい。


「しかし、妙ですね。下級貴族や中級貴族に魔封じなんて高価な魔道具が買えますか?」


 アルマンが首を傾げる。ぐ……。攻略キャラチートだからって、推理が速すぎる。


「2人に話しておきたいことがある。実はこの黒幕は妹なんだ。」

「「えっ……!??」」


 慌てて言った俺の言葉に、2人が目を見開いた。


「といっても、妹に害意があったわけではない。以前、学園の風紀の乱れについて妹と話し合ったことがあってな。その時に、か弱い女性が狙われる前に、誰かが囮になったらいいんじゃないかと提案したんだ。」

「それじゃあ、わざと絡まれたのか?」

「そうだ。大貴族の俺相手なら、やった奴は確実に処罰される。それに、俺は男だから被害を報告するのに女性ほど抵抗感はない。」


 まあ、実際、身分の低い弱い立場の女の子が狙われる前に、犯罪者を俺の手で始末できたんなら良かったよ。


「なるほど……。」

「一応、筋は通ってますね。」


 違和感は残るようだが、2人とも一応は納得してくれた。


「それで、この話は王子にはしないでもらえるかな? 妹としても、裏でガラの悪い男を操っていたなんて、好きな相手に知られたくはないだろうし。」


「そ、そうか?」

「貴方の妹なら、お構い無しに自分の手柄話にしそうですが……。」


 ぐ、妹の評価が低い。


「と……、とにかく、そういうことで。このことは他言無用で頼む!」


 俺は何とか押し切ることが出来た。




 その後、3人で教室に戻ると、王子が妹に絡まれていた。また上級生の教室まで押しかけたらしい。


「ん? ラヴェンナ、突然髪が伸びているな。どうした?」

「あ、あ、髪を伸ばす魔術を覚えたので、2人に見せていたのです。」


 俺の言葉に、隣に居たアルマンとヒューゴが微妙な顔で頷いた。


「そうか。長い髪も似合うな。可愛いぞ。」


 王子は長くなった俺の髪をいじって遊びだした。

 妹の顔が般若みたいになっているので、やめてください。


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