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お友達になりましょう。

 謹慎の1週間のうち、1度だけヒロインに家に来てもらった。彼女相手にエリカがどういう態度をとるか、確認したかったのだ。

 家に来てくれるように頼むと、婚約者のアルマンは渋ったが、ヒロインは大丈夫だとすぐに受け入れてくれた。


 結果として、妹の態度に問題はなかった。さらに、ヒロインが宰相家の婚約者になったことで、今後の貴族生活で人間関係上重要な人物になることも理解できていた。


「未来の宰相夫人に、失礼な態度はとれませんわ。」


 妹が言うと、ヒロインは照れくさそうに笑った。しかし続けて、


「出来れば、私の身分が上がったから仲良くするとか、そういうのじゃなくて、他の身分の低い人たちのことも考えて欲しいのです。」


 ヒロインの言葉に、俺はちょっと焦った。ヒロインに説教っぽいことを言われて、妹がちゃんと話を聞いていられるか不安だったのだ。しかし、妹は落ち着いていた。


「エリカ様は公爵家令嬢で、未来の王妃様ですから、例えば召使に傍若無人な振る舞いをしても、非難されることはないでしょう。貴方の命令に、下は従うしかありません。でも、貴方が少しでも優しくしてくれたら、きっと下の者はすごく喜ぶと思うのです。」


 そう言って、ヒロインは俺の方を見た。


「入学式の日の放課後、ラヴェンナ様に会って、公爵家って、雲の上の人なのに、困ったことがあったら力になると言って下さって、私、すごく嬉かったんです。それで、週末に実家に戻った時、家族にもその話をしました。家族はそれを、店に来てくれたお客様にも話したと思います。」


 ヒロインがじっと妹を見つめる。ああ、やっぱりこの子は賢い子なんだな。


「人って繋がってるんです。小さな取るに足りない者の言葉でも、そこから、噂が広がることもあります。良い噂も、悪い噂も。世の中の価値観や人に対する評価を形作っているのは、権力者だけではありません。声の大きさに大小はあっても、皆言葉を発します。エリカ様には、そういう大小の言葉に応えられる王妃様になって欲しいんです。」


 妹は静かにヒロインの言葉を聴いていた。それから、そっとヒロインの手をとって言った。


「私、今、貴方と出会えて良かったと思いました。お友達に、なって下さいます?」

「はい。私でよかったら、是非!」


 悪役令嬢とヒロインの間に友情が芽生えた!





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