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王家のお茶会

 お茶会は王宮の奥深まった、王族のプライベート空間にある小さな庭園で行われた。

 大貴族だから、王宮には何度も行ったことがあるし、王家主催の夜会には欠かさず出席していたが、こんな奥の庭にまで案内されたことはなかった。


 いいのだろうか。妹が不祥事を起こした直後なんだけど。


「いらっしゃい。今日は、エリカちゃんが謹慎中で、お兄さんが来てくれたのね。」


 気さくに迎え入れてくれたのは王妃様だ。プライベートだから、話し方は普通のお母さんみたいになっているけど、この国の最高権力者の奥様だ。


「はい。このたびは、妹が情けない失態を晒してしまい、王家の方々には大変申し訳なく……」


 深く頭を下げて俺がお詫びを言うのを遮って、


「そこまで仰々しくしなくとも構わん。子どもの内に悪さの1つや2つ、あっても仕方がない。」


 王様が許して下さった。


「ありがとうございます。」

「さあさあ、座って。お茶会を始めましょう。堅苦しい話はしないのよ。楽しくいきましょう。」


 王妃様に促され、俺は席に着いた。


 話をしていて分かったのは、王様たちは、妹が俺の教科書を破ったことしか知らないということだった。

 ギョッとする話ではあるが、他の妹の問題行動や、まして、不良生徒に俺を襲撃させたことなどは、全く触れられてこない。知らないか、知らないふりかは分からないが、王家としてそれほど問題を大きくする気はないらしい。


 俺はホッとした。

 ……いや、ホッとしたいんだけど……、


「ちょっと貴方たち、そんなにジロジロ見たら、ラヴェンナくんが困っているでしょう。」


 王妃様が幼い王子と姫をたしなめた。

 2人はカルロス王子の弟と妹なのだが、なぜかその2人からすごく視線を感じるのだ。さらに、それだけでなく、王様と王弟殿下も、子ども達ほど露骨ではないが、さっきから俺をガンガン見てくる。


「……すみません。ラヴェンナ殿があまりに美しいので、見とれていました。」

「はい。私、こんなに綺麗な方を今までに見たことがありません。」


 何言ってるの!? このちびっ子たち。


「ははは。ラヴェンナ殿ほどの美貌は、この叔父も見たことがなかったよ。」


 王弟殿下が姪の姫に言うと、


「そうだな。私も外交で海外の貴族など見てきたが、これ程の美しさは他にない。」


 王様まで乗ってきた。

 ちょっとちょっと、何言ってるの、この人たち!??


「皆、ラヴェンナが気に入ったようだな。だが、ラヴェンナは俺の親友だ。父上や叔父上といえど、渡しませんよ。」


 隣に座ってる俺の腰を抱きながら、カルロス王子、やめて下さい。


「ずるい。兄上ばっかり。」

「そうです。ラヴェンナ様とは、将来私が結婚するのですから。」


 妹姫さま、それは、幼いお戯れでしょうが、王族が言うと結構影響力があるのでやめましょうね。


「あらあら。小さい頃のエリカちゃんを見た時もすごかったけど、今回はそれ以上ねぇ。」


 王妃様は苦笑いだ。


 ん? 小さい頃のエリカちゃん?

 ん、んんん!????


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