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Ⅶ
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「おじいちゃん」
「衣都出掛けるのか?」
「うん。十鶴と」
「十鶴君とだったら安心だな。十鶴君、衣都を頼んだよ?」
「はい」
楓さんはニコリと微笑んではいるが心の中ではとても心配しているだろう。竹箒を持つ手に力がこもっている。楓さんに見送られながら俺と衣都は鳥居をくぐった。衣都は鼻歌を歌いながら歩いていた。俺はその後ろを歩いていると衣都が急にこっちを振り向いた。
「なーに考えてんの?」
衣都は身長が低いから俺を見るときはどうしても上目遣いになってしまう。これがまた可愛い。
「いや」、なにも」
「ふーん。まぁ、荷物持ち頑張ってよ」
「わかってる」
なぜか衣都はニコニコしていた。どこにニコニコする要素があるかは俺にはわからないが衣都が楽しいならいいやと思い俺もニコニコしてしまった。
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「なぁ、衣都」
「んー?」
「なんで、あえてここの店なんだ?」
「何でってなんで?」
「いや、そこ質問返し?」
「うん」
「そっか」
「うん」