00;25「会いたい」
カリカリ シュッシュッ
“美奈子ってさ、よく絵描けるよね。”
「?、そう?」
“うん、それに背景とか男キャラとか女キャラとか。この前だって都知事賞受賞したじゃん。”
「……ごめん。覚えてない。」
“さすが、美奈子。”
正直どうでもいいんだ、俺は早くあいつに会いたいんだ。……綾。
中学生になった彼いや彼女は友人を探していた。忘れられない“鳴神 綾”。以前、前世で友人で恋人で最愛の妻。
二人でかいた小説と漫画を買う。「忘れたくない。忘れてしまったら自分の世界が終わる。」と美奈子は(彼)は言っていた。
ちなみに二人の漫画・小説のペンネームは時が変わる事に変えている。
一回目<神宮(漫画)・あゆみや(小説)>
二回目<鳴神 稔・神楽 綾>
である。
今回の転生で三回目。美奈子はペンネームとどのような路線・漫画の方針でいくか考えていた。
あいつなら どう行く? どうすすめる?
分らない あいたい会いたいあいたい 綾。
この思いを今は絵にぶつけるしかない、会えるなら会って話したい。
この寂しさから時離されたい。美奈子にはそれしか思いつかない。
“あれ、なんか刺激的な絵描いているね。みな。”
「!、あぁ、ちょっとね。いる?」
“え!”
「女の子、誰にしようか迷っていて、うまく描けないの。」
“………んー、!、じゃあ男の子をリクエストなんだけど。”
「?」
“男の子、○○君にしてほしいなーんて。”
「いいよ。」
“ええ!!”
サラサラ カリカリ ペンがサラサラと進む。
「はい、終了。」
“早っ! わぁ、ありがとう。大切にするね。”
「………うん。」
綾あやあやあやあやあやあやあやあやあや 会いたい
消えないで 消さないで 綾
カリカリ その思いの衝動か
たくさんの絵を描いていた。「会いたい・会いたい。」
「忘れないで」
一時混乱に落ちてしまったが
「あの大丈夫ですか?」
「!」
美奈子は中三で声をかけてきた彼は高校生で、美奈子は暑い夏に恋をした。
「(あ、これって一目ぼれか?)」
「何か、悩みがあるなら聞きますけど?」
「…………っ、だ、大丈夫です!」
美奈子は思わず、その場を飛び出し去ってしまった。
「………まさか、な。」
のちにこの二人が出会うことなど誰も知らない。
だがそれを人は「運命」と呼ぶのだろうか。
「……っ、何やってんだ俺は。」
そのころの美奈子は、反省していた。




