Prologue
「ねぇ知ってる?」
「何を?」
「死神の少女の話なんだけどさ」
「うわぁ~なんか名前からして嫌な雰囲気出てるんですけど・・・」
「いや、それがね~意外と違うんだよ」
「???どんな話なの?」
「ん~とね~人の人生を延ばしてくれる死神の少女がいるって話」
「なにそれ?」
「理不尽な死を迎えた人にだけ現れて人生を少しだけ延ばしてくれるらしいよ」
「そんなのいるの~ww」
「いや~実際に会ったって人もいるみたいよ」
「そんなのいるわけないでしょ~wwいたとしてもアタシたちには縁がないよw」
「そだね~第一理不尽な死なんて普通起きないよね~」
「そうそう、ま、その話は置いといて、春休みの課題やったの?」
「うげ!!あ、あとで写させてください~~!!!」
「しょうがないな~もう・・・」
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「ふぁ~、あ~ねむい・・・」
朝のだるさが消えずにだらしなく俺はあくびをしながら机に突っ伏す
俺の名前は雪原広人、高校三年生だ、誰でもわかるがあと一年で卒業を迎える
まだ眠気が取れずに少し背伸びをしてると
「ヒ~ロト~!な~に眠そうな顔してんだよ!」
と、眠気を吹き飛ばすような大きな声と背中を思いっきり叩かれる
背中を叩いてきたのは夏樹耕太郎、高校で知り合い何か気が合ったのか
学校にいるときはいつもこいつと一緒にいる
「お前な~朝からうるさいんだよ」
「いいじゃねーか!テンションあげてこーぜ!」
「うざい」
「朝からドライ!?だがヒロトに罵倒されて喜んでる自分もいる!!」
「気持ちが悪いので帰っていただけると・・・」
「悪いがそれはできないお願いだ、いくら愛しいヒロトちゃんでもな!!」
「・・・」
「あ、あの、ちょっと、ねぇ!!スルーしないでくれない?俺泣いちゃうよ?」
俺は横でひたすら一人でしゃべっている残念な人を無視してると
太もものポッケに入れてる携帯のバイブが突然鳴り出す、どうやらメールが来てるらしい
開いて内容を確かめてみると
『今日のバイトなんだけどヒロ代わってもらえるかい?』
慣れたフリックで即答で返事を送る
『めんどくさい』
すると送った相手からこんな地味に長い文よくこんな短時間で送ったなと
思ってしまうくらいのスピードで返信が来る
『どうしてだい?ヒロはか弱い乙女のお願いを聞いてくれないのかい?』
『あそこにはろくに人なんて来ない』
『そうかもしれないけど、お店閉めてたらだめだろう?』
『なんで代わらなきゃいけないんだ?』
『女の子には秘密が色々あるんだよ、ヒロ』
と、はぐらかされてしまった・・・俺ははぁ~っと深いため息をついて
『わかったよ、代わってやるよ』
諦めて返信すると
『ありがとう、この恩はどこかで返すよ』
メールを見てていつも思う、あいつは顔文字とか使わないのかと
ふと、横を見ると半泣きした状態で耕太郎がこちらを見ていた
「え、お前まだいたの?」
「素で返すな!!!!バーカバーカ!!ヒロトのバーーーーカ!!!」
と耕太郎は泣きながら自分の席へと走って行った、それを見ながら思った
男がそれやってもキモイだけなのと・・・・
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り周りのクラスメイトもそれぞれ自分の席へと戻りHRが始まる
そう、ここから俺、雪原広人の最後の高校生活が始まるのである